相続税の基礎控除の引き下げで相続税がかかる割合はほぼ倍増!

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京都市左京区で開業している税理士です。元税理士試験受験予備校「相続税法」講師。相続税に強く、クラウド会計に特化した税理士として活動中。
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本日(平成28年12月15日)、国税庁から「平成27年分の相続税の申告状況について」というプレスリリースが公表されました。
平成27年分の相続税の申告状況について|国税庁

昨年1月から相続税の基礎控除(「ここまでは税金をかけませんよ」という非課税枠)がそれまでよりも4割引き下げられ、
相続人が2人の場合、7,000万円だった基礎控除が4,200万円に減額されています。

これを受けて、それまでと比べて相続税がかかる人の割合がどれだけ増えるのかが注目でしたが、上のプレスリリースによって昨年1年間の数値が明らかになりました。

平成27年中に全国で相続税がかかった方の割合は8.0%
平成26年の4.4%と比べて3.6ポイント増と、ほぼ倍増となっています。

プレスリリースに掲載の内容は4点

今日国税庁から公表されたプレスリリースに掲載されている内容は以下の4点です。

1:亡くなった方の数と、そのうち相続税が発生した方の割合
2:相続税の課税対象になった財産の金額の合計
3:相続税の税額の合計
4:相続財産の金額の構成比

1:亡くなった方の数と、そのうち相続税が発生した方の割合

中でも一番の注目は1の「亡くなった方のうち相続税が発生した方の割合」(以下「課税割合」と書きます)ですよね。
基礎控除が4割もカットされて、それがこの割合にどう影響するのか。
結果、それまでずっと4%前半で推移していた割合が一気に倍増することとなりました。

平成 27 年中に亡くなられた方(被相続人数)は約 129 万人(平成 26 年約 127 万人)、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約 10 万3千人(平成 26 年約5万6千人)で、課税割合は 8.0%(平成 26 年 4.4%)となっており、 平成 26 年より 3.6 ポイント増加しました。

引用元:平成27年分の相続税の申告状況について|国税庁

過去10年間の相続税の課税割合の推移は以下のようになっています。
課税割合の推移

ずっと横ばいだったのが昨年だけ急激に上振れしています。
見た目にもとてもわかりやすい推移ですよね(^^;

ちなみにこれは「全国平均」なので、地価が高い首都圏や大阪圏の中心部ではこの割合はもっと高くなります。
詳しいデータはこの記事では省略しますが、首都圏の課税割合は約20%と、1/5の人に相続税がかかる状況となっています…。

2:相続税の課税対象になった財産の金額の合計

以下、その他公表されている項目についても紹介しておきます。

2つ目は「相続税の課税対象になった財産の金額(=課税価格)の合計はいくらなのか」です。

課税価格の合計は 14 兆 5,554 億円(平成 26 年 11 兆 4,766 億円)で、被相続人1人当たりでは1億 4,126 万円(平成 26 年2億 407 万円)となっています。

引用元:平成27年分の相続税の申告状況について|国税庁

ここで見るべきポイントは亡くなった方(=被相続人)1人あたりの財産の金額の合計です。
改正前の平成26年と改正後の27年を比べてみると、

平成26年:2億407万円

平成27年:1億4,126万円

と、6,000万円以上も下がっています。
これは単純に、基礎控除の引き下げで以前なら相続税がかからなくて済んでいたけど…という方の数が増えたことの影響でしょう。
相続税は一部の超お金持ちの方だけの税金ではなくなってきている、ということですね。

3:相続税の税額の合計

上で紹介した傾向は相続税の税額にも表れています。

税額の合計は1兆 8,116 億円(平成 26 年1兆 3,908 億円)で、被相続人1人当たりでは 1,758 万円(平成 26 年 2,473 万円)となっています。

引用元:平成27年分の相続税の申告状況について|国税庁

ここで見るべきポイントも、亡くなった方(=被相続人)1人あたりの税額です。

平成26年:2,473万円

平成27年:1,758万円

と、改正前に比べて715万円下がっています。

4:相続財産の金額の構成比

相続税がかかった財産の金額の構成比では、現金・預貯金等の割合が増加しているのが目立ちます。

相続財産の金額の構成比は、土地 38.0%(平成 26 年 41.5%)、現金・預貯金等 30.7%(平成 26 年 26.6%)、有価証券 14.9%(平成 26 年 15.3%)の順と なっています。

引用元:平成27年分の相続税の申告状況について|国税庁

こちらはプレスリリース内の↓こんなグラフで見るとわかりやすい(?)です。
相続財産の金額の構成比の推移

わかりやすいようなわかりにくいような感じのグラフですが…。
縦軸が年分で、一番右端が平成27年分の財産の構成比です。
紫の土地の割合が減って、赤の現金・預貯金等の割合が増えていますね。

この推移にはいろんな背景がありそうですが、1つ言えるのは、

改正後の相続税は、地主さんだけではなく
「自宅に加えて、サラリーマン時代のお給料で金融資産をそこそこ貯めていた」
というような、いわゆる「中間層」方にもかかるようになってきている。

ということです。
だからこそ、現預金の割合が増えているんでしょう。
私も今年そのような方の申告を担当させて頂きましたし、その方も以前であれば基礎控除の範囲内で収まっていて相続税はかからなくて済んだ方でした。

まとめ 相続税の対策は生前の早目の段階から!

以上、今日は本日国税庁から公表された、昨年1年間の相続税の申告状況をご紹介しました。

「『倍に増えましたよ』と言われたところでだからどうなん?」
とお思いの方も多いでしょうが、上のプレスリリースから改めて見えてきたのは
以前は縁遠かった相続税も(特に都市圏に住む方にとっては)だんだんと身近な税金になりつつあるということです。

相続税は亡くなった後にできる節税はほとんどありません。
相続税を少しでも少なくしようと思えば、いかに生前の段階から家族みんなで将来の相続のことを考えておくかが大切です。

この記事がそのきっかけになれば幸いです。

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