贈与税の申告の受付は2月1日から始まります。
期限は所得税の確定申告と同じ3月15日です。
この記事では、
「贈与税の申告をせなあかんみたいやけど作り方がよーわからん!」
という方のために、
- 国税庁の「贈与税の申告書作成コーナー」を使って贈与税の申告書を作る方法
はもちろん、
- 作った申告書の提出や税金の納付の方法
まで、贈与税申告の一連の流れをまとめてみました。
この記事を参考に、是非「贈与税を自分で申告する」ことにチャレンジしてみてください!

税理士・尾藤 武英(びとう たけひで)
過去に税理士試験の予備校で相続税を教えていた経験から、相続税が専門分野。
事務所開業以来、相続税や贈与税の申告、相続税対策など、相続税に関する業務を多数行っています。
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このページの目次
贈与税の申告書の作成なら「贈与税の申告書作成コーナー」が便利!
最初に完成形を載せてしまうと、↓これが今から作る贈与税の申告書です。
税務署に置いてある申告書に手書きでもいいですが、よりカンタンにできるのが国税庁が出している「贈与税の申告書作成コーナー」です。
↓こちらの確定申告書等作成コーナーの1コンテンツとして用意されています。
上のデータもここで作りました。
最初はちょっととっつきにくいですが、役人が作っている割にはそこそこ使いやすくてオススメです。
というわけで、以下、贈与税の申告書作成コーナーで申告書を作る流れを確認していきましょう!
まずは「確定申告書等作成コーナー」内で事前準備をする
まず、確定申告書等作成コーナーのトップページに入って、オレンジ色の「作成開始」ボタンをクリックします。
すると、新しいウィンドウが立ち上がって以下の画面が出てきます。
「e-Tax(電子申告)で提出する」と「印刷して書面提出する」の2つのボタンがありますが、e-TaxはマイナンバーカードとICカードリーダライタがないと利用できません。
「そんなん持ってへんわ」って方が大半だと思いますので、今回は紙で出しましょう。
「印刷して書面提出する」ボタンをクリックします。
次の画面は利用環境の確認です。
e-Taxの場合はここで弾かれるケースが多いのですが、紙で提出する場合はここはほぼ大丈夫なハズ…。
(もしエラーメッセージが出たら指示に従って利用環境を整えてください)
↓この画面が出ていればOKですので、一番下にあるオレンジ色の「利用規約に同意して次へ」ボタンをクリックします。
「平成30年分の申告書等の作成」のタブをクリックしたら4つのボタンが出てきますので、
このうち一番右の緑の「贈与税」をクリック。
いよいよ贈与税の申告書作成コーナーから申告書の作成を開始!
ここからが「贈与税の申告書作成コーナー」の開始です。
2つあるボタンのうち、青色の「贈与税の申告書作成開始」をクリックします。
次の画面では、もらったお金について住宅取得等資金の非課税の適用を受けるかどうかを聞かれます。
今回申告する尾藤武英さんは単にお金をもらっただけなので非課税の適用は受けません。
というわけで、「贈与税申告書作成開始」という青いボタンをクリック。
次の画面では提出方法を確認(あらかじめ「印刷して税務署に提出する」が選択されている)して、生年月日を入力します。
申告する人の生年月日は特例の適用の有無にも関わるので、贈与税の計算では大事な情報です。
「入力終了(次へ)」を押したら、次の画面に飛びました。
何やらボタンが3つありますね。
普通に贈与税を計算するなら「一般の贈与」を選択
ここもまた「どの方法で贈与税を計算するか」を聞いてきています。
と分かれていますが、単にお金をもらっただけの武英さんの申告はごくごく基本的なものなので、水色の「一般の贈与」ボタンをクリックします。
すると、次の画面から本格的な贈与税申告書の入力が始まります!
贈与者ごとに贈与の詳細を入力
ここで改めて、今回申告する武英さんの基本情報を確認しておきましょう。
父と兄、2人の人から現金を500万円ずつもらっています。
この情報を以下で順番に入力していきます。
入力は贈与者ごとに行う
まず、贈与者(誰からもらったのか)の情報を入力します。
贈与者が2人いる場合は1人ずつ順番に入れていく必要があるので、まずは父である国英さんの贈与から入力していきましょう。
↓こんな感じで国英さんの個人情報をひと通り入力して、画面下の「入力終了(次へ)」をクリック。
ここではどんな財産をいくらもらったのかを入れていきます。
どんな財産をもらったのかを入力
「1 財産を取得した日、種類等を入力してください。」の欄に、もらった財産が現金である旨を入力します。
(現金の場合は「財産の所在地」欄は空欄でもOKです。)
「2 不動産、株式等の贈与を受けた場合には次の項目を入力してください。」は何も入力しなくてOK。
(逆に、土地や建物、上場株などをもらった場合はここから詳細な入力が必要です。)
さらに下に画面をスクロールさせると、「3 贈与を受けた財産の価額を入力してください。」とあります。
ここに、もらった金額500万円を入力します。
今回国英さんからは現金しかもらっていないので、国英さんからの贈与の入力はこれで終わりです。
「入力終了(次へ)」をクリックすると↓確認画面に移るので、問題が無ければここも「入力終了(次へ)」をクリック。
これで、国英さんからの現金500万円贈与の入力が完了しました!
2人以上からもらっている場合は2人目以降の入力を忘れずに!
1人からしか財産をもらっていなければ上の画面の一番下にある「入力終了(次へ)」ボタンを押して次の作業に行けますが、
今回は父・国英さん以外に兄の一朗さんからも500万円の現金をもらっています。
こういう場合は表のすぐ下にある「贈与者を追加する」ボタンから、2人目からの贈与の入力を忘れないようにしてください!
財産の入力も終わって、2人分ちゃんと入りました〜(^^
この状態を確認したら、画面一番下までスクロールして「入力終了(次へ)」をクリックします。
ここまで入力すれば、ひととおりの計算が完了です!
贈与税額の計算結果が出た!
次の画面に行くと武英さんが払うべき贈与税額が計算・表示されます。
今回、武英さんは204万円の贈与税を払え!と出ました。
半分の500万円分は特例贈与で税率が下がっているとはいえ、それでも1,000万円のうちの204万円なので、やはり贈与税は高いですね…。
納付方法を確認の上、住所・氏名など申告する人の情報を入力
その次の画面からは、申告する武英さん自身の情報を入力していきます。
まず目に入るのは納付方法の案内。ここでは3つが表示されています。(詳しくは後述)
ただ、実はもう1つ、今年から新しく始まった納付の方法があって、
それで税金を払いたい場合はここでひと作業が必要です。
その方法とは、コンビニでのQRコード納付です。
コンビニQR納付希望の場合=チェックを入れるのを忘れずに!
コンビニQRコード納付の詳しい内容は後述しますが、もしこれをを希望する場合、
ここで↓これと似たような画面が表示されているので(↓コレは所得税の確定申告書の作成画面です)、
ここで「納付用QRコードを作成する」のボタンを押してチェックマークを入れてください。
こうすることで、申告書と一緒にQRコードも作成してくれます。
ただ、このコンビニQRコード納付は税額が30万円までしか選べません。
今回の武英さんは204万円も払わなきゃいけないので、この方法は選択不可。
なので↑上の画面にも出てこなかったんですね(^^;
申告する人の住所・氏名などを入力
納付方法を確認したら、その下の画面にスクロールして申告する人自身の住所・氏名などの情報を入力します。
(タテに長くて、しかも字が細かいのです…)
ひと通り入れたら…お、「申告書等作成終了 次へ」という、今まで見たことないボタンが現れました!
これを押すと…。
申告書が出来上がりました!!
この画面から申告書などの保存と印刷が可能です!
コンビニQRコードを選択した場合、ここの中にQRコードもちゃんと入ってきます(^^
【ついに】贈与税の申告書が完成!
こうした流れを経て、冒頭にお見せした贈与税の申告書がついに完成しましたー!
ふー、疲れましたね(^^
…ここまで読んでくれている方は果たしてどれだけいるんでしょうか?
申告書が完成したら、お次は提出&納付!
って、ここでホッとしててはダメですよー。
申告書を作って印刷して、これで終わり…ではもちろんなく、申告書を提出して税金を納めるまでが贈与税の申告です。
以下、申告書の提出から税金の納付までの流れをざっとお伝えします。
添付書類を準備しよう
今回の武英さんの場合、申告書に添えて出さなければいけない書類は以下の2点です。
- 武英さんの戸籍謄本(原本提出です)
マイナンバーの本人確認書類のコピー(申告書にマイナンバーを記入している場合)
国英さんからの贈与について税率が安い「特例税率」を使うためには、
税務署に対して、武英さんと国英さんの親子関係を証明する書類(=武英さんの戸籍謄本)の提出が必要なので、それを添付します。
(戸籍謄本は本籍地のある市区町村で取ることができます)
あと、マイナンバーの本人確認書類としては、
- マイナンバーカード(プラスチックのやつ)
- マイナンバーの通知カード(紙のやつ)+写真付きの身分証明証(免許証など)
マイナンバーが記載された住民票の写し+写真付きの身分証明証(免許証など)
のいずれかの組み合わせのコピーの添付が必要です。
印刷した申告書の中に貼り付け台紙が含まれていますので、その中の指定された場所に貼り付けてください。
(↓こんなフォーマットをしています)
いざ提出!
申告書も印刷したし、添付書類もちゃんと揃えた。
そうなれば、お次はそれを、住所地を管轄する税務署に出すだけです。
(どの税務署に出すかは申告書に印字されています。京都市左京区であれば左京税務署、など。)
紙で出す場合、税務署への提出方法は2つあります。
直接持参と郵送です。
直接持参する場合
税務署の開庁時間(8:30〜17:00)内に受付窓口に提出しましょう。
開庁日は基本平日ですが、一部の税務署は2/24と3/3(2019年の場合)も開庁していますので、サラリーマンの方はこの日に持って行くのがベストでしょうか。
参考ページ【税務署の開庁時間】|国税庁
窓口に提出したら収受日付印を押した控えを返してくれます。
これで提出は完了です。
そして、そのまま別の窓口で税金の納付までやっちゃいましょう。
税務署に行く時間は取られますが、提出→納付までスムーズに行くのはおそらくこちらかと思われます。
郵送する場合
持参するのはめんどくさいという方は郵送でもOKです。
こちらの場合、注意点がいくつかあります。
返信用封筒の同封を忘れずに!
収受日付印を押した控えを返送してもらうために、切手を貼った(←ここ重要)返信用封筒を同封するするのを忘れないでください。切手を貼ってない、とか、料金が足りない、なんて場合に、税務署側で負担してまで控えを返送してくれることはありません。
「えー?」って思うでしょうが、逆の立場(返送する側)で考えてみたら、まぁ納得かな、と…。贈与税の申告書の控えは、贈与の時点だけではなく、その後の相続を見据えてもとても重要な書類です。
申告書の控えは確実に手元に残るようにしておきましょう。郵便または信書便で送る!
確定申告書は信書にあたるので、郵便か信書便でしか送ることができません。
ゆうパックなど信書便以外の方法での送付は法律上厳禁ですし、期限ギリギリの場合、提出期限までに間に合わない、なんて事態も起こりかねません。納付についても別途確実に行う!
以下のいずれかの方法で、確定申告期限までにしっかりと納付しましょう。
納付の方法は主に3つ
途中でも出てきましたが、紙で申告書を出す方が現実的に採れる税額の納付方法は以下の3つです。
その1:コンビニQR納付
1つ目は、先ほども紹介した、今年から新たに加わったというコンビニQRコード納付です。
このコーナーで指示を出せば(前述)↓こんなQRコードが作成できますので、
これをコンビニの「Loppi」や「Famiポート」に読み取らせることによってバーコード(専用の納付書)を出力し、それをレジに持参して納付します。
注意点は、
- 利用可能なコンビニエンスストアは
・ローソン、ナチュラルローソン、ミニストップ(いずれも「Loppi」端末設置店舗のみ)
・ファミリーマート(「Famiポート」端末設置店舗のみ)
のみ - 利用可能額は30万円以下
の2点です。
使える税額に制限はあるものの、いちいち払いに行く時間もないサラリーマンの皆さんにとっては便利な方法かもしれませんね。
その2:クレジットカードで納付
お次は、これまた最近(2017年)可能になったクレジットカード納付です。
専用サイトから画面上でパパッと納付が完了するので、こちらも平日に銀行なんか行けない!という方にオススメです。
この方法のデメリットは納付の金額に応じた手数料がかかることです。
納付額の約0.8〜0.9%ほどの率なので、今回の国英さんの場合は16,744円もかかります。
ポイント還元率が低いカードの場合は手数料負担で赤字になりますし、単純にこの額は高いですよね…。
(ただ、便利な方法ではあるので、納付税額が少ない場合は検討に値しますね。)
その3:納付書を使って現金で納付
最後は、「納付書」という専用の用紙を使って金融機関で現金で納付する方法です。
納付書は金融機関機関に置いてある場合が大半ですが、もし無ければ、税務署から取り寄せる必要があります。
申告書を郵送する場合、
「納付書で納めたいので控えの返送時に納付書を同封してください」
みたいな感じのメモ書きを添えれば控えと一緒に納付書を送ってくれるケースがほとんどですが、
その場合でも、納期限は3/15で変わらないので、遅れないよう早めに送りましょう!
繰り返しになりますが、税金を納めるまでが贈与税の申告です(^^;
税金の納付を3/15までに完了させないと、滞納扱いでいらん利子がついちゃいますので気をつけて下さいね!
「自分で贈与税の申告」のまとめ
以上、「贈与税の申告書作成コーナー」を使って贈与税の申告を自分でする方法について、
申告書の作成から提出・税金の納付まで、一連の流れを全て紹介してみました!
恐ろしく長い記事になってしまったので「おえ〜っ」と思われている方もいるかもですが、
いざやり始めると意外とスムーズに行けちゃうので大丈夫です!(多分…)
贈与税の特例を適用したり、もらった財産について複雑な計算を伴う場合は
我々税理士に申告を任せる方が良いと思いますが、
この記事のように、「現金だけ!」という場合は、自分で作って持って行った方が結果的に早く&安く(←税理士が言うかオイ)済みます。
是非、ご自身で申告することにトライしてみてください!
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この記事を書いた人

過去に税理士試験の予備校で相続税を教えていた経験から、相続税が専門分野。
事務所開業以来、相続税や贈与税の申告、相続税対策など、相続税に関する業務を多数行っています。
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