財産債務調書を出した場合に受けられるメリットとは?

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京都市左京区で開業している税理士です。元税理士試験受験予備校「相続税法」講師。相続税に強く、クラウド会計に特化した税理士として活動中。
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財産債務調書関連の記事3つ目です。
この記事では、財産債務調書を出すことによって受けられるメリット=アメについて考えてみます。

【財産債務調書関連の記事一覧】
初回の記事:今までと同じでしょ…では済まされない「財産債務調書」
2つ目の記事:財産債務調書の罰則規定について考える
3つ目の記事:財産債務調書を出した場合に受けられるメリットとは?(←今はここ)
まとめ記事:財産債務調書のまとめ記事:で、結局どう対応するのか

どういう場合にアメが貰える?

前回の記事でも取り上げた国税庁のページの文章をもう一度引用してみましょう。

財産債務調書の提出がある場合の過少申告加算税等の軽減措置
財産債務調書を提出期限内に提出した場合には、財産債務調書に記載がある財産若しくは債務に対する所得税等又は財産に対する相続税の申告漏れが生じたときであっても、その財産若しくは債務に関する申告漏れに係る部分の過少申告加算税等について、5%軽減されます。

引用元:No.7457 財産債務調書の提出義務|国税庁

ムチの規定では挙がっていなかった「相続税」という言葉がここで初めて出てきました。
アメについては、所得税だけじゃなくて相続税でも貰うことが出来るんですね。

アメとムチの有無について、所得税と相続税の2つの税金の違いをまとめると、

所得税→アメとムチ両方ある
相続税→ムチは無いけどアメはある

となります。

相続税に所得税のようなムチが無いのは、
「生前に調書を出していなかったのはあくまでも亡くなった人の責任なので、その罰をその人の相続人にまで負わせるのはさすがにきついでしょ。」
という理由からです。
その辺は国も一応考慮してくれているんですね(^^;

具体的に考えてみます

じゃあ、次は、相続税の観点からもう少しアメについて掘り下げてみるとします。
資産税に力を入れている税理士としては、やはり相続税でどうなのかが気になりますので…。

相続税でアメが貰えるケースって具体的にどんな場合なんでしょうか?
先ほど紹介したアメの文言のうち、相続税について書かれている部分だけを再度引用します。

「調書を期限内にちゃんと出していたら、もしそこに載っていた財産に対する相続税ついて申告漏れがあっても、その部分の過少申告加算税や無申告加算税は5%軽減される。」

調書に載せていた財産について相続税の申告漏れが指摘されても加算税は割り引かれる??
うーん、イマイチよくわかりません。

というのも、この文章を単純に読んだ場合、つまり、調書に載せていた財産を相続税の申告書に書き漏らすケースって、そもそもそんなにあるんでしょうか?
そんなの、調書と相続税の申告書を作成する税理士が違う場合以外はあまり無いでしょうし、もしそうだとしてもそんなん言い訳にはならないでしょうし…。

で、思ったのは、例えば以下の場合はどうなんでしょうか?

調書に載せていた財産が化体していたらどうなる?

【以下、前提です】
亡くなった方が生前にかなりの費用をかけて自宅をリフォームしていたが、
そのリフォームによって増大した自宅の価値相当額を申告書に財産として記載していなかった場合、その後の税務調査で増大した自宅の価値相当額を財産に加えろと指摘されることがあります。

なぜこういう指摘がされるかというと、もしリフォームをしていなければその分のお金が手元に残っていたハズだからです。
単なる修繕費用としてお金を出したのならしょうがないけど、もしそれが自宅の価値の上昇に繋がったのであれば、その分は、「現金」という財産が「自宅の一部」に換わってるだけでしょ?
だったらそれにも課税しまっせ〜、という理屈です。
【前提おわり】

※この内容については「家屋をリフォームしていた場合の相続税評価の注意点」という記事で詳しく紹介しています。

上記のようなケースに当てはまった場合、それによって増えた相続税額にも過少申告加算税が課されるわけですが、こういう場合もアメの対象になると考えてOKですよね??
だって、生前に亡くなった人が出していた調書にはそれに相当する現金の記載があったわけですから。

こういう場合に適用がないとなると、相続税のアメって作った意味が無いと思うんですが…。

結局どうする?

この記事を書いた時点ではまだ運用開始前なので当然なんですが、現時点では不明な点が多過ぎるこの制度。
そもそも義務規定なので、罰則の有無に関わらず、該当するお客さんには調書の提出を促すのが税理士の役割なのは重々承知していますが、素直にハイわかりましたとは言えないものを感じます。

お客さんに出すの嫌と言われたらどう説明しようかなぁ…。
これだけ書いても自分の中での結論は結局出ず仕舞いです(^^;

とりあえず、所得税の確定申告書とは全く別個の税務書類なんですから、せめて提出期限を確定申告期限とはずらして欲しいなぁと思いますよね。
まずはそこから変えて欲しいです。

【財産債務調書関連の記事一覧】
初回の記事:今までと同じでしょ…では済まされない「財産債務調書」
2つ目の記事:財産債務調書の罰則規定について考える
3つ目の記事:財産債務調書を出した場合に受けられるメリットとは?(←今はここ)
まとめ記事:財産債務調書のまとめ記事:で、結局どう対応するのか

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