税理士試験の合格答案の書き方。他の答案と差別化が図れる6つの方法

税理士試験の合格答案の書き方。他の答案と差別化が図れる6つの方法

この記事は7月14日に書いています。
今年の税理士試験まであとわずかですね。

先日書いた以下の記事では、これからの時期優先して手を付けるべき教材が何なのかを紹介しました。

この記事でお伝えするのは「本試験での解答の仕方」です。
本試験で「受かる答案」を書くにはどんなことに気を配るべきなんでしょうか。
私自身の経験や講師時代に得た過去の試験委員の話などを踏まえて私が考えるポイントは以下の6つです。

  • 見やすい答案を作成する努力を!
  • 税法用語は正確に!
  • 出題者の意図を問題文から正確に読み取れ!
  • 計算過程こそ大切に!
  • つながりを意識した答案作りを!
  • 解答順は点数に直結しやすい方から!

なお、今回の記事も、元O原の相続税法講師である私の意見によるものです。
科目によっては当てはまらないこともあるかもですが、基本的な部分は変わらないはずなので記事にしてみます。

この記事を書いた人


税理士 尾藤武英
税理士 尾藤 武英(びとう たけひで)
京都市左京区下鴨で開業している税理士です。
2007年から2012年まで「資格の大原 税理士講座」で相続税法の常勤講師として勤務。
受験経験者コースを主に担当し、2012年には全国統一公開模擬試験の計算問題の作問も担当しました。
詳しいプロフィール(運営者情報)
税理士試験の勉強方法・攻略法まとめ
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見やすい答案を作成する努力を!

「この答案見にくいなー。何書いてあるかさっぱりわからんわ!」
そんな理由で減点されたら(加点されなかったら)もったいないと思いませんか?

過去の試験委員の先生のお話を聞いていると、
「私は書いてあるものはなるべくちゃんと読むようにしたよ」
とおっしゃる方と
「受かりたいならそっち(受験生)が努力すべき」
とおっしゃる方の両方がいます。

とはいえ、リスクは少ない方がいいに決まっていますから、試験委員が採点しやすいように、見やすい答案作りを心掛けましょう。

「鳥の目線」で探しやすい答案を

ちなみに、ここで言っている「見やすい」というのは、綺麗な字を書けという意味ではありません。

たとえば理論なら「タイトルは大きめの文字で書く」とか「規定本文の左隅は1〜2文字分空けて書く」とか。
答案の体裁さえしっかりと整えて書いてあれば、多少字は汚くても(よっぽど読めないのはさすがにまずいですが(^^;)採点する側にとっては読みやすい答案になります。

試験委員は専門学校講師みたいなチマチマした(笑)採点はしません。
理論なら、答案用紙全体を俯瞰して見て、必要なキーワードが順序立てて書かれているかを見ます。
いわゆる「鳥の目線」というやつですね。

私は講師時代、
「理論は絵を描くようなイメージで解答しましょう」
と言っていました。

試験委員が鳥の目線でキーワードを探しやすいように、答案用紙全体をひとつのキャンバスと捉えて解答するような心掛けが「見やすい」「採点しやすい」答案作りに繋がるのではないかと思います。

税法用語は正確に!

税理士試験は税のプロフェッショナルを選定する試験であり、採点を行う試験委員ももちろんその道のプロフェッショナルです。
そんな方々が、誤字脱字が連発されている答案を合格答案とするでしょうか。

プロ相手に隙を見せるのは厳禁です。
税法用語は正確に暗記しましょう。

出題者の意図を問題文から正確に読み取れ!

本試験は時間との勝負です。
2時間という限られた時間の中で最良で最高の得点を得ようと思えば答案作成上のロスは許されません。

「出題者がこの問題を通じて何を問いたがっているのか?」
「答案用紙にどんな指示が挙がっているのか?」
などをしっかりと見極め、それを踏まえた解答を答案用紙に反映することができれば、極端な話、たとえ箇条書きな理論でも合格答案にはなります。

解答を始める前には必ず問題と答案用紙(←これも必ず!)に目を通して、試験委員が与えてきた情報を見落とさないようにしましょう。

計算過程こそ大切に!

計算の解答用紙に計算過程欄が設けられている問題の場合、試験委員はそこも採点の対象にしています。

「計算過程欄に書いてある算式から法令への理解度を見る。」
「場合によっては、その項目の最終値よりも計算過程欄の方が配点が多いこともある。」

これらは全て過去の試験委員の先生方が発した言葉だといわれます。

計算パターンをむやみに省略しない、いい加減な数字は書かない、算式中の不等号(大なりと大なりイコールなど)は正確に使い分けるなど、素直な答案作りを心掛けましょう。

私自身も、計算過程を雑に書いていない答案は採点していても気分が良かったですね。
その逆は…皆さんのご想像にお任せします(^^;

つながりを意識した答案作りを!

本試験の計算問題ではわからない項目が必ず何個かは出題されます。
(しかも、ビビらせることを狙って大概問題の最初の方に。)

そんな問題に出くわした時の対処法はもちろん「すっ飛ばす」ですが、
すっ飛ばす際は白紙にしたりゼロと書くのではなく、問題の資料から推測して出てくる適当な数字を入れるようにして下さい。

これ、「こうしてくれ」と言っている試験委員の先生は案外多いです。
相続税法の財産評価などでは特に意識して欲しいところです。

前後の流れを切らさない、つながりを意識した答案作りを心掛ければ、試験委員もきっと良い印象を持って採点してくれるハズです!

解答順は点数に直結しやすい方から!

これ、何を言っているのかというと、理論と計算、どっちから先に解答するのかという話です。

たとえば、私が講師をしていた頃の相続税法であれば

  • 【理論】
    ・不確定要素が強く、自分が書いたものが点数に直結するかどうかわからない。
    ・必要なキーワードに則って順序立てて解答すれば、たとえベタ書きじゃなくても合格点は貰える。(と過去の試験委員は言っている)
  • 【計算】
    ・解答したものが確実に点数に直結する。

という特徴から、私が提唱していた解答順は

理論問題の素読み:1〜2分 出題内容、必要な解答時間を測る。(タイトル挙げまではやらない)

計算:75分程度 わからないところはどんどん飛ばしながら最後まで解き切る。

理論:40分程度 残った時間で最大限点数が取れるような書き方で理論を埋める。

でした。

やみくもに解くのではなく、この問題はどちらから先に解くのが一番点数を得やすいのかを考えてから解く癖を付けておくと、それが本試験では絶対に活きます。
どちらが先が正しいかは科目によって傾向が違うと思うので、担当講師の意見と自分の中での感覚を参考にして下さい。

考えてから解いていたことで救われたあの年

上の考えは実体験にも基づいています。

私が消費税法に合格した年は理論でCランクを半分書かせる問題が出題されました。
私は書けない部分をあっさりと捨てて、その分の時間を計算に充てました。
結果、90分以上を計算に使うことができて、そのおかげで無事合格することができました。

実は、この年の私は消費税法が初学だったので、解答スピードがなかなか上がらずに直前答練の成績も散々だったんです。
例年通りの問題だったら確実に勝負にならないレベルでしたが、この年はたまたま計算にそれだけの時間が使える問題が出てくれたので、私のような解答スピードの遅い受験生でも勝負になりました。

理論と計算と、解ける方から優先して解く。そして、それぞれの問題の中でも解ける項目から優先して解くのは本試験では非常に大事な戦略になります。

科目によって、また、その年の問題によって、どちらでも対応できるように準備しておきましょう。
手を付けてみたけど「あ、これはムズイわ」と感じたら潔く飛ばすのも大事です。
Cランクに固執するのは厳禁ですよ!
その飛ばし方を残りの直前答練で学んで下さい。

 

税理士試験の合格答案書き方まとめ

以上、この記事では元講師である私が考える税理士試験の合格答案の書き方を紹介してみました。
もう一度、全6つのポイントを一覧でまとめておきます。(各項目へのリンク付きです)

税理士試験は努力の量が問われる試験ですが、
だからと言ってただ闇雲にやっても効率が悪いだけです。
戦略を持って挑まなければ最良の結果は望めません。

本試験までの残りの期間でこれらを意識して解答する癖を付けられれば最後の一押しになるかも!?です。
ご自身のこれまでのペースを崩さない程度に、是非取り入れてみて下さい!


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税理士 尾藤武英

税理士 尾藤 武英(びとう たけひで)
京都市左京区下鴨で開業している税理士です。
2010年税理士試験合格(簿記論、財務諸表論、所得税法、相続税法、消費税法)。
2007年から2012年まで「資格の大原」で相続税法の常勤講師として勤務。そのときの経験を活かし、税理士としても相続税の申告業務をメインに活動中です。
詳しいプロフィール(運営者情報)を見る
税理士業の日常をつづるブログ
 京都の税理士・尾藤武英税理士事務所
専門は相続税、会計ソフトはクラウド推しな税理士事務所です。
代表税理士がすべての業務を直接担当。
元講師の経験を活かしたわかりやすいアドバイスでお困りごとを解決します。
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