税理士試験では
「普段から成績の良い人がなかなか受からない」
という現象が起きがちです。
昨日も、いつも通っているお店の人からこんな質問を受けました。
その人に会ったことがないのでなんとも言えませんが、
ひょっとしたら、その人がなかなか受からない原因は「勉強ができる」ところにあるのかもしれません。
この記事を書いた人
2007年から2012年まで「資格の大原 税理士講座」で相続税法の常勤講師として勤務。
受験経験者コースを主に担当し、2012年には全国統一公開模擬試験の計算問題の作問も担当しました。
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税理士試験の勉強方法・攻略法まとめ
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税理士試験に必要以上の「思慮深さ」は必要ない
私自身も「税理士試験」というものを嫌ほど体験しましたし(8回受けましたから(^^;)、
元O原の講師としてもいろんな方を見てきたのでわかるのですが、
税理士試験って、頭の良さはあまり問われない試験なんですよね。
もちろん、暗記ができる、問題文に何が書いてあるか理解できるなど、最低限の「頭の良さ」は必要です。
ただ、それはちゃんと勉強していれば自然と身についてくるものであり、
それ以上の「頭の良さ」、つまり、真の理解力が問われる試験ではありません。
それよりも、どっちかといえば、
- 「○○について説明しなさい」→○○について覚えた理論をひたすら書く
-
「○○について計算しなさい」→教えられた・覚えた計算方法でひたすら解答する
こういったことを2時間の中でどれだけこなせるかが問われる試験じゃないですか。
そんな試験で強いのは「ひたすら解答マシーンに徹することができる人」であって、
そこに「思慮深い」という意味での「頭の良さ」は必要ではないのです。
税理士実務では間違いなく必要な能力だけど…
「思慮深い」とはどんな意味の言葉なのか、検索で調べてみました。
思慮深いとは、思慮が深い、つまり物事について深くじっくりと考えるさまを意味します。
冷静に物事をとらえて深く考えたり検討したりする様子を表現する言葉です。
つまり思慮深いとは、見えている表面的な部分だけに注目せず、物事の真の意味や内容について分析し、正しい判断をするための材料とする様子と理解しておくといいでしょう。
勉強がよくできる人は、基本的に、思慮深く物事を考える能力に長けています。
過去の受験生活もそうやって乗り越えてきたハズですし、
「思慮深さ」というのは税理士実務の世界においても間違いなく必要とされる能力です。
それがわかっているからこそ、
思慮深い人は税理士試験にも同じアプローチで挑んでしまいがちです。
ただ、残念なことに、税理士試験ではその能力は足かせとなるのです(^^;
思慮深さが現れた答案は税理士試験の配点傾向にマッチしない
なぜ「思慮深さ」が税理士試験において足かせとなるのか。
それは、思慮深い人は配点が来ない箇所にムダに時間と労力を割いてしまいがちだからです。
たとえば、「〇〇について答えなさい」という問題が出されたとき。
マシーンと化している人は
と考えます。
一方、思慮深い人は
せやし、この4つを解答しよう。(ここまで知ってる俺凄いやろ!)
と考えてしまいます。
その結果、思慮深い人が作る答案はAランク項目(基本論点)、Bランク項目(応用論点)、Cランク項目(超応用&未学習論点)をまんべんなく押さえたものとなります。
一方、マシーンな人が解答できたのはAランクばかりで、Cランクに至っては1つも解答できていません。
単純に解答した数だけで比較すると、
全体の50%を解答できている思慮深い人の方が45%しか解答できていないマシーンな人より有利に思えるかもしれません。
しかし。
税理士試験ではAランク項目に重点的に配点が振られるため、Aランク項目の解答濃度の差が両者に大きな違いを生んでしまうのです!
配点全体の7割を占めるAランク項目で35点しか得点できなかった思慮深い人は、合計49点しか獲れず、合格点に遠く及ばない一方…、
マシーンな人はAランク項目で多くの点数を稼ぎ、合計71点と、合格点をはるかに超える点数を獲ることに成功しました!
上の配点例は極端かもしれませんが、本試験でも、未学習項目には基本的に配点は来ないと考えておいた方がいいですよ。
思慮深い人が合格するために必要なこと
上のような状態にならないために、思慮深い人が心がけるべきこととは何でしょうか?
問題が聞いていることに素直に答える!
とにかく言えるのは、問題が聞いていることに素直に答えるということです。
「普段の成績はいいのになかなか試験に受からない」という人は「試験に合わせよう」という努力が足りない可能性が高いです。
「自分はこう答えたい!」ではなく、
「問題が何を答えて欲しいと思っているのか」=出題意図を素直に読み取ることをまずは意識しましょう。
「大多数の人はどう答えるか」を意識する!
また、たとえ出題意図が読み取れたとしても、そこでまた自分を出してしまっては意味がありません。
「自分はこう答えたい!」
「『自分はわかってる』ということを示したい!」
という欲はここでも消して、
「こう聞かれたら大多数の人はどう答えるかな」=Aランク項目はどれなのかを必ず意識しましょう。
1つ上の章でも紹介したように、本試験の配点は学校の答練のソレとは根本的に違います。
実質相対試験である税理士試験で重要なのは、誰もが獲れる基本論点(=Aランク項目)を絶対に落とさないこと。
確かに、Bランク項目(応用論点)が合否の分かれ目となる場合もあります。
ただ、それもAランク項目がカンペキに獲れていることが前提であり、
Aランク項目がちゃんと取れていなければ、いくらBやCを獲っても合格なんてたどり着けません。
「ホームランが出やすいバレルゾーンを意識して、ちょっとボールの下を叩いてみよかな(時代はフライボール革命やからね)」
なんてイラんことを考える必要はありません!
(って、マニアックな野球ネタですいません(^^;)
税理士試験に頭の良さは不要!のまとめ
以上、この記事では、問題を解くときに考え過ぎてしまう人へのメッセージとして、
- 税理士試験に必要以上の「思慮深さ」は不要
-
大切なのは「自分を出すこと」ではなく「誰もが獲れる論点を絶対に落とさないこと」
の2点をお伝えしてみました。
2020年の税理士試験まであと約1週間ですが、
残りの期間の復習では「誰もが解けそうなところをしっかりと理解できているか」を重視してください。
また、本試験では「Aランク項目のみをひたすら解く解答マシーン」と化しましょう。
ちょっとクセのあるネタではありましたが、
今年の本試験を受験される方の参考に少しでもなれば幸いです!
【関連記事】
- Aランク項目が大事!という記事は過去にも書いています。
合格に必要なのはAランク(基本論点)を合わせる力 - 直前期におすすめ!
税理士試験まであと1週間。今年絶対に受かりましょう! - 「『マシーン化』が過ぎて受からない」という方はこちらの記事が参考になるかも。
税理士試験の勉強は主体的かつ能動的に。それが独立後にもつながるから
私自身の合格体験はもちろん、講師時代に得た経験や情報をぎゅぎゅっと凝縮しました。
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良い大学を出てて、いかにも勉強ができそうな奴なのに…。