相続税の総額の計算方法とは。「相続税の申告書第2表」で確認します

亡くなった方(被相続人)の課税財産全体に対する税額に相当する「相続税の総額」。
相続税の計算上、どこでこれを求めていくのかについては、前回の「相続税の計算の流れとは。「相続税の申告書第1表」で確認します」という記事で紹介しました。

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今日は、昨日の記事では詳しく触れられなかったこの「相続税の総額」について、その具体的な計算方法を見ていきます。

今日も実際の申告書にお越し頂いています。
今日お越し頂いたのは、「相続税の総額の計算書」こと、「相続税の申告書 第2表」です。

この記事の運営元:京都市左京区の尾藤武英税理士事務所
税理士試験受験予備校「相続税法」の元講師が運営する税理士事務所です。
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計算の流れは大きく分けて4つ

昨日と同じ感じで相続税の総額の計算の流れを分けるとすれば、以下の4つに分かれます。

手順1:第1表マル6に入っている金額の合計から相続税の基礎控除を引いて、相続税が課税される遺産の総額を求める

手順2:手順1で求めた金額を相続税法で定める相続分で按分する

手順3:按分したそれぞれの金額に対して税率をかけて税額を出す

手順4:出た税額を再び合算する(→第1表マル7へ)

どういった計算をしていくのか、順に確認していきましょう。

手順1:課税遺産総額を求める

ちょっと細長くて見にくいですが、ここで見ていくのは第2表で言えば一番上のマル1からマル3までの欄です。

まず、第1表マル6に入っている、相続税の課税の対象になるものの金額の合計(「相続税の課税価格の合計額」)を一番左のマル1のマルイの欄に記入します。
(マルホの欄は農業をやっている方の特殊な計算で使っていく欄なので無視して下さい。)

そこから、マル2の欄に記入した「遺産に係る基礎控除額」を引いて、残った金額をマル3のマルニの欄に記入します。(マルヘの欄も同様の理由で無視です。)

この流れで、相続税の課税の対象になるものの金額(第1表マル6の金額の合計)のうち、実際に税率がかけられるものの金額が出たことになります。
この金額のことを「課税遺産総額」と言います。

ちなみに、基礎控除額を計算する際には気を付けなければいけない点が1つあります。

かけるのは「相続税法で定める」相続人の数です

基礎控除額は「3,000万円+600万円×相続人の数」で求めていきますが、その相続人の数には決まりがあります。

マル2の部分だけ拡大してみました。
相続人の数を記入するマルロの欄の上に小さい括弧書きで(マルAの法定相続人の数)とありますが、いくら「法定相続人」とあっても、ここには民法上相続人に該当する人の数をそのまま入れることは出来ません。

相続税の計算では、恣意性の排除を目的として、民法上の相続人とは別に定めた「相続税法上の相続人」を計算に使っていく場面があります。
それがどんな内容なのかは「法定相続人には2種類ある?民法と相続税法の相続人の違いを解説!」という記事で詳しく述べますが、今日のところは、ここで入れていく相続人の数は民法上の相続人の数とは少し違うんだ、という点を押さえておいて下さい。

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手順2:課税遺産総額を法定相続分で按分する

次に、税率をかける前段階の作業として、上で求めた課税遺産総額を各相続人の相続分で按分します。
第2表では、マル4の欄に相続人の名前を、マル5の欄にそれぞれの相続分を書いて、その割合を課税遺産総額にかけて出てきた金額をマル6の欄にそれぞれ記入していきます。

なお、ここの手順でも、使っていく相続人や相続分は民法上のものではなく、先ほど述べた相続税法上の相続人や相続分であるという点に注意が必要です。

手順3:税率をかけて税額を出す

上の手順で按分したそれぞれの金額に対して、第2表の下の↓この表に載っている税率をかけて、それぞれの金額に対する税額を求めます。(その金額をマル7の欄に記入)

手順4:税額を再び合算する

マル7の欄に入っている税額を合算すれば、相続税の総額の計算は終了です!(マル8)
こうして求めた税額が第1表のマル7の欄に入るというわけですね。

目的は「恣意性の排除」

ご覧のとおり、今日見てきた「相続税の総額」の計算方法はかなり独特です。
第1表のマル6で求めた金額を合算して、そこから基礎控除を引いて、それを相続分で割って、税率をかけて、出てきた税額をまた合算して、ようやく求まります。

「足して、割って、かけて、また足して」って、なんでこんなに回りくどいことする必要があんの??と思われる方も多いでしょうが、
これと「相続税法上の相続人」を併用することによって、遺産の分割結果や相続の放棄の有無などの相続人の意思に左右されない公平な税額計算の実現を目指しています。

数年前に「この計算方法を抜本的に改正しよう!」という流れが起こった時期もありましたが、政権交代などが絡んで立ち消えに。
今ではその話もすっかり聞かなくなりました。
賛否両論ある計算方法ですが、当分の間はこの方法が続いていきそうな感じです。

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