「相続の開始があったことを知った日」とは。相続税の申告期限「10ヶ月」はいつから数える?

この記事は約 4 分で読めます。

 

相続税の申告書の提出期限は相続税法という法律で
「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」
と決められています。

この「相続の開始があったことを知った日」という表現。
これ、具体的にいつのことを指しているかご存知でしょうか。

人が亡くなったことを知った日じゃないの?

 
…だいたい合っているんですが、厳密に言うと正しくはないです(^^;

そもそも「相続」って何?

「相続の開始があったことを知った日」という表現を読み解くためにまず押さえなければいけないこと。
それは、そもそも「相続」って何やねん?ということです。

「相続」とは、

人の死亡によって、一定の人がその死者の財産上の権利義務を一括して受け継ぐもの

引用元:「口語六法全書 口語親族相続法」自由国民社

を言います。
つまり、人が亡くなることはあくまでも相続の発生原因に過ぎなくて、
人が亡くなることによってその人(=被相続人)が持っていた財産債務を誰かが承継することが「相続の発生」なんです。

ここをまずはしっかりと押さえてしまいましょう!

「相続の開始」と「相続の原因が発生」とは意味が違う

これを踏まえて、冒頭の相続税法の文言をもう一度見てみましょう。

相続税の申告期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」

ここでも、「相続の原因(つまり人の死亡)が発生したことを知った日」とは書いていませんよね。
言っているのはあくまでも「相続」が発生したことを知った日、つまり、被相続人が亡くなったことによって自分が財産を承継することになった日です。

後日相続権を得るような場合に注意!

とはいえ、通常の場合、相続が発生するタイミングと人が亡くなるタイミングは同じです。

前述のように、相続は人の死亡を原因として発生しますし、人が死亡すれば、相続人はその瞬間から、被相続人が持っていた財産や債務を丸々承継します。

じゃあ別に「相続の開始=人が亡くなった時」でええやん…

 
そう言いたくなる気持ちもわかりますが、それでは済まない場合があるんですよね(^^;

なぜなら、被相続人が亡くなった時点では財産を貰える権利が無かった人が、その後何らかの理由で権利を得ることになることもあるからです。

それがどんな場合かというと、例えば↓こんなことが後日判明した場合。

・失踪の宣告を受けて死亡とみなされた人が出て、その人に相続人がいる場合
・失踪の宣告を受けていた人がその取り消しを受けて相続人となった場合
・認知の裁判や相続人の廃除の取り消しの裁判が確定したことによって相続人となった場合
・被相続人が亡くなった時点では胎児だった人がその後無事に出生した場合
・相続人以外の人が遺言によって財産を承継できることを知った場合

※より詳細な文言は相続税基本通達27-4をご覧ください。

このように、死亡の日から一定の日数が過ぎた後に自分に相続権が回ってきたような場合には、その相続権が回ってきたことを知った日が「相続の開始があったことを知った日」となります。

ほか、「戸籍をたどったら相続人が1人いるみたいだけど所在がつかめないので不在者財産管理人を置こう」というような場合にも、家庭裁判所によって不在者財産管理人が選任された日がその所在がわからない相続人にとっての「相続の開始があったことを知った日」になります。

相続税法の文言が「被相続人が死亡した〜」ではなく「相続が開始した〜」となっているのにはちゃんと理由があるんですね(^^;

申告期限がバラバラの場合は申告書を分けて出すことも?

というように、実は相続税の申告期限は「全員一律、死亡日から10ヶ月後」とは限りません。

5人の相続人のうち4人は同じ申告期限だけど、1人だけ申告期限が半年ズレている

ということも十分あり得ます。

「じゃあ、そんな場合申告書はどうやって出すの?」となるかもですが、
相続税の申告書は各相続人が別々に提出することも認められていますので、このような場合には申告書を2回に分けて出すことも可能です。

ただ、通常は最初の申告期限の時点で全員分まとめて出すことになるかと思われます。
その時点で相続税の計算は終わっている場合が大半ですし。
ちょっとしたリスクもあるので、私も分けて出したことは1度もありません…。

まとめ 「申告期限」はしっかりと意識する必要あり!

今日は「相続税の申告期限のカウントはいつから始まるのか」という話をネタにしてみました。

相続税に限らず「この日までにちゃんと申告して納税してね」と決められている税金が怖いのは、
もしその期限を守らなかった場合、本来払うべき税金に加えてペナルティの罰金(延滞税や、場合によっては無申告加算税)まで払う必要が生じてくるという点です。
しかもその罰金は、本来払うべき税金の額に一定の割合をかけて計算するので、税額が高額になりがちな相続税の場合、罰金の存在は余計に無視できません。

余分な税金を払う羽目にならないためにも、申告期限はしっかりと意識することが重要です。
(自戒を込めて書いています(汗))

関連記事

・申告期限日の数え方にも税法独特のルールがあります!
税金の「期間」の数え方はちょっと独特。そのルールとは?

ご案内

相続税・贈与税についてまとめたページを作りました
この記事以外にも、基本的な内容からマニアックな話まで、全記事の一覧は↓こちらをクリック!
【全記事を一覧で紹介!】相続税・贈与税の解説記事のまとめ

相続でお困りの方へ:お気軽にご相談ください!
弊事務所では、相続税に関するご相談や申告のご依頼をお受けしています。
「相続税に強い」税理士が、確かな知識でわかりやすく皆様をサポートします。

AUTHORこの記事を書いた人

京都市左京区で開業している税理士です。元税理士試験受験予備校「相続税法」講師。相続税に強く、クラウド会計に特化した税理士として活動中。
「専門用語をなるべく省いたわかりやすい説明」と「税理士が直接お客様に全てのサービスを提供すること」を大切にしています。
この記事は、投稿日現在の法律・状況などに基づいて書いています。
このサイトの閲覧・利用にあたっては、免責事項に合意されたものとして取り扱わせていただきますのでご了承ください。