相続税の申告手続のタイムスケジュール。10ヶ月の間に何をすべき?

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京都市左京区で開業している税理士です。 元税理士試験受験校「相続税法」講師。 相続税や所得税、贈与税など「個人の方にかかる税金」に特化した税理士として活動しています。詳しいプロフィール個人ブログも更新中です

不幸にも身内の方に相続が発生し、相続税の申告が必要だと分かった場合、「いつまでに」「どのような」流れを経て相続税の申告・納付に至るのでしょうか。

このサイトでは、相続が発生した場合に必要となる税務手続をいろいろと紹介してきました。

今日はこれらの手続の中でも「相続税の申告」にスポットを当てて、相続が発生した時点から相続税の申告・納付に至るまでの一般的な流れを紹介します。

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この記事以外にも、基本的な内容からマニアックな話まで、いろいろ書いています。
相続税、贈与税ってどんな税金?【解説記事のまとめ】ページはこちら

意識すべきは3ヶ月、4ヶ月、10ヶ月の3つの区切り

相続税の申告期限は「相続開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」です。
通常は亡くなった日の10ヶ月後の応答日(平成28年3月18日死亡ならその10ヶ月後の平成29年1月18日)がそれにあたります。
この日までに、相続税の申告と納付を終わらせなければいけません。

じゃあ、10ヶ月後の相続税の申告期限だけを意識しておけばいいのか、といえば実はそうではなく…。
この10ヶ月の間に、法律上気を付けなければいけない「期限」が他にも2つあります。
それは、「3ヶ月以内」と「4ヶ月以内」です。

・3ヶ月以内=相続の承認または放棄の意思表示期限
・4ヶ月以内=所得税、消費税の準確定申告期限

これらと10ヶ月後の相続税の申告期限を合わせた3つが、相続開始後に意識しなければいけない法律上の期限です。

これら3つの期限を線表にしてみたら↓こうなります。(手作り感満載ですね(^^;)
申告手続スケジュール

では、それぞれの期限について詳しく見ていきましょう!

3ヶ月以内=相続の承認または放棄の意思表示期限

相続人の方が、被相続人が遺した遺産(プラスの財産はもちろん、借金などのマイナスの財産も含めて)を相続するかしないかの意思表示の期限がここできます。

特に何もしなければ、ここを過ぎれば自動的に、被相続人が遺した全ての遺産をそれぞれの相続人が相続することを承認したことになります。

もし被相続人が借金を多く遺していてそれを引き継ぎたくない、ということであれば、この日までに

・プラス、マイナス問わず全ての遺産を相続しない(「相続放棄」と呼びます)
・プラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産を相続する(「限定承認」と呼びます)

のいずれかの意思表示を家庭裁判所に申述する必要があります。

したがって、この日を経過するまでには

・遺言書の有無の確認
・遺産の内容(プラスの財産、マイナスの財産がどれぐらいあるか)の把握
・相続人の確認(自分達が知らない相続人はいないかなど)

といった作業は済ませておくのがベストです。

ただでさえ、お葬式やその後の法要などでなかなか時間が取れない中ではありますが、のちのち不利益を被らないためにもここでもう一踏ん張りが必要です。

4ヶ月以内=所得税、消費税の準確定申告期限

一昨日の記事で紹介した、所得税と消費税の準確定申告期限です。
参考記事人が亡くなった場合にまず必要な7つの税務手続

また、被相続人が事業をしていたり、その事業を相続人が承継される場合には、昨日、一昨日に紹介した様々な手続が4ヶ月以内という期限にかかわらず必要になってきます。
参考記事相続人が被相続人の事業を承継する場合に必要な9つの税務手続

これらは提出期限もバラバラです(1ヶ月以内とか2ヶ月以内なんていうのも多かったですよね)ので、提出遅れにはくれぐれも要注意です。

10ヶ月以内=相続税申告期限

上記2つの期限を経れば、あとは相続税の申告期限に向けて邁進(?)あるのみです。

・遺産の調査、相続税評価額の金額の算定
・遺産分割協議書の作成
・相続税の申告書の作成
・相続税の納付方法の検討(原則は金銭で一括。特例として延納、最終手段として物納)

といった作業を順次行っていきます。

気を付けなければいけないのは以下の2点です。

遺産分割協議が整わなくても申告は必要

たとえ、相続税の申告期限までに遺産分割協議が整わなかったとしても、相続税の申告と納税は10ヶ月以内に必ず行わなければいけません。
この場合、遺産の合計額を法定相続分で割った仮の分割結果を元に申告書を作成し、そこで出てきた税額を一旦納付します。

その後、遺産分割協議が整った段階で、正式な分割結果に基づいて相続税の申告書を再作成し、そこで出てきた税額が以前納付した税額よりも少なければ差額を還付してくれます。(多ければ差額を追加で納付します。)

また、仮の分割結果で申告をする場合には、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の減額といった特例規定はこの時点では使えません。
これらの特例規定は分割協議が整った段階で適用が可能になりますので、もし将来、遺産分割が整った際にこれらの特例を受ける予定なのであれば、「申告期限後3年以内の分割見込書」という書面を最初の申告の際に併せて提出する必要があります。

申告期限までに納付まで完了するのが大原則

相続税の場合、申告期限には申告だけを終わらせればいいわけではなくて、相続税の納付もこの日までに完了する必要があります。

相続税の納付方法には金銭一括納付のほか
・延納(分割払い)

・物納(相続財産で払う)
も選べますが、これらの納付方法をとる場合には申請が必要で、その申請も申告期限までに行わないと受け付けてもらえません。

「これだけの税額を金銭一括納付なんて無理やわ!」
という方は一般の方以上に早めの準備が必要です。

名義変更手続は遺産分割協議が整えばいつでも可能です

ちなみに、遺産の名義変更は遺産分割協議の結果を踏まえて行いますので、遺産分割協議さえ整えば、相続税の申告期限にとらわれずに随時行うことが可能です。
(10ヶ月以内でもそれ以降でもOK)

たまに、不動産で
「登記費用がもったいないから」
と相続登記をせずにほったらかしにしている方を見かけますが、それは将来子孫に余計な手間や火種を残すだけですので、これらの登記も忘れずに行いましょう!

まとめ

以上、今日は相続税の申告手続のタイムスケジュールをまとめてみました。

相続税の申告期限を迎えるまでの10ヶ月間は長いようであっという間に過ぎ去ります。
なんせ、四十九日の法要が終わって一息ついた時点でも既に2ヶ月弱が経過していますから…。
そこから相続税の申告準備を一から、と考えると、意外と時間が足りません。

ご自身で申告までをされる場合には早め早めの準備を心掛けて下さい。
また、税理士などの専門家に頼むにしても、任される側としても、早い段階で依頼を受けた方がより精度の高いお仕事を提供することが可能です。
お困りの際には是非早めにご相談下さいね。

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