相続税の申告期限までのタイムスケジュール

相続税の申告期限までのタイムスケジュール

不幸にも身内の方に相続が発生し、相続税の申告が必要だと分かった場合、「いつまでに」「どのような」流れを経て相続税の申告・納付に至るのでしょうか。
具体的な時間でいうと、死亡から3ヶ月後、4ヶ月後、10ヶ月後に訪れる法律上の期限に注意が必要です。

この記事では、そんな相続が起こったあとに意識すべきタイムスケジュールを解説していきます。

びとう
びとう
【この記事は私が書きました】
税理士・尾藤 武英(びとう たけひで)
京都市左京区で開業している税理士です。
過去に税理士試験の予備校で相続税を教えていた経験から、相続税が専門分野。
事務所開業以来、相続税や贈与税の申告、相続税対策など、相続税に関する業務を多数行っています。
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相続税の申告期限は被相続人の死亡から10ヶ月後です

まずは「相続税の申告期限って具体的にいつまで?」という話からです。

相続税の申告期限は相続税法という法律で
「相続の開始があった(=人が亡くなった)ことを(相続人などが)知った日の翌日から10ヶ月以内」
と決められています。

具体的な日付で言えば、
もし故人(以下「被相続人」と書きます)が亡くなったことを相続人などが知った日が3月18日なのであれば、申告期限はそこから10ヶ月を足したその翌年の1月18日です。

このように、基本的には
被相続人が亡くなった日に10月(とつき)を足した日が相続税の申告期限
と考えていただいてOKです。
この日までに、相続税の申告と納付を終わらせなければいけません。

10ヶ月後が暦上存在しない日なら?

ただ、もし亡くなった日が4月30日だとすると、そこから10月(とつき)を足せば…あれ?翌年の2月30日??そんな日無いけど??
この場合、相続税の申告期限は翌年の2月28日(その年がうるう年なら2月29日)となります。

また、10月(とつき)を足した日が土日祝日や年末年始となる場合はその翌日(例:週明けの月曜日や年始最初の平日)が申告期限となります。

これらの根拠、というか、相続税の申告期限の正確な数え方については「税金の期間や期限の正しい数え方 – 国税通則法の決まりを解説します」という記事で詳しく解説していますので、興味のある方はどうぞご覧ください。

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国税通則法の条文

「相続の開始があったことを知った日」にも細かい決まりが!?

そして、「相続の開始があったことを知った日」という表現にも実は細かい決まりがあります。

わかりやすく言えば「故人が亡くなったことを相続人などの家族や親族が知った日」ですが、
本当の意味合いは、
「被相続人が亡くなったことにより自分が被相続人の遺産を承継することを知った日
を指します。

どういう場合に↑この解釈が適用されるのかについては「「相続の開始があったことを知った日」とは。相続税の申告期限はいつから数える?」という記事で詳しく解説しています。

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相続税の申告書第1表

意識すべき法律上の期限は3ヶ月、4ヶ月、そして10ヶ月

というように、相続税の申告期限は基本的には被相続人の死亡日から10ヶ月後に来ます。

じゃあ、相続人は10ヶ月後の相続税の申告期限だけを意識しておけばいいのか、といえば、実はそうでもなく…。
この10ヶ月の間に、法律上気を付けなければいけない「期限」が他にも2つあります。
それは、「3ヶ月以内」「4ヶ月以内」です。

  • 3ヶ月以内…相続の承認または放棄の意思表示の期限
  • 4ヶ月以内…所得税、消費税の準確定申告の期限

これらと10ヶ月後の相続税の申告期限を合わせた3つが、相続発生後に意識しなければいけない法律上の期限です。
まとめると↓こうなります。

では、それぞれの期限について詳しく見ていきましょう!

3ヶ月以内=相続の承認または放棄の意思表示の期限

まず意識すべきなのは、相続が起こってから、つまり、被相続人が亡くなってから3ヶ月以内です。

相続人の方が、被相続人が遺した遺産(プラスの財産はもちろん、借金などのマイナスの財産も含めて)を相続するかしないかの意思表示の期限がここできます。

特に何もしなければ、ここを過ぎれば自動的に、被相続人が遺した全ての遺産をそれぞれの相続人が相続することを承認したことになります。

もし被相続人が借金を多く遺していてそれを引き継ぎたくない、ということであれば、この日までに

  • プラス、マイナス問わず全ての遺産を相続しない(「相続放棄」と呼びます)
  • プラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産を相続する(「限定承認」と呼びます)

のいずれかの意思表示を家庭裁判所に申述する必要があります。

したがって、この日を経過するまでには

  • 遺言書の有無やその内容の確認
  • 遺産の内訳(プラスの財産、マイナスの財産がどれぐらいあるか)の把握
  • 相続人の確認(自分達が知らない相続人はいないかなど)

といった作業は済ませておくのがベストです。

ただでさえ、お葬式やその後の法要などでなかなか時間が取れない中ではありますが、のちのち不利益を被らないためにもここでもう一踏ん張りが必要です。

相続放棄と限定承認について詳しい解説は以下の裁判所のページをご覧ください。
相続の放棄の申述 _ 裁判所
相続の限定承認の申述 _ 裁判所

4ヶ月以内=所得税、消費税の準確定申告の期限

次に意識すべきなのは、相続が起こってから4ヶ月以内です。

↓以下の別記事で紹介している所得税と消費税の準確定申告期限がここで来ます。
参考記事人が死亡した場合に必要な税金の手続き7つ【一覧で紹介】

被相続人が事業をしていたり何らかの収入があった、という場合は、
死亡日までの間に発生した所得(もうけ)や売り上げに対して所得税や消費税の準確定申告が必要になります。

これ以外にも、被相続人が事業をしていたり、その事業を相続人が承継される場合には様々な手続が「4ヶ月」という期限にかかわらず必要です。
参考記事死亡した個人事業主の事業を承継するために必要な手続き9つ【一覧で紹介】

これらは提出期限もバラバラです(1ヶ月以内とか2ヶ月以内なんていうのも多いです)ので、提出遅れにはくれぐれも要注意です。

10ヶ月以内=相続税の申告期限

上記2つの期限を経れば、あとは相続税の申告期限に向けて邁進(?)あるのみです。

  • 遺産の調査、相続税評価額の金額の算定
  • 遺産分割協議書の作成
  • 相続税の申告書の作成
  • 相続税の納付方法の検討(原則は金銭で一括。特例として延納、最終手段として物納)

といった作業を順次行っていきます。

気を付けなければいけないのは以下の2点です。

遺産分割協議が整わなくても(=遺産が未分割でも)申告は必要です!

たとえ相続税の申告期限までに遺産分割協議が整わなかったとしても、相続税の申告と納税は10ヶ月以内に必ず行わなければいけません。

この場合、遺産の合計額を法定相続分で割った仮の分割結果を元に申告書を作成し、そこで出てきた税額を一旦納付します。

その後、遺産分割協議が整った段階で、正式な分割結果に基づいて相続税の申告書を再作成し、
そこで出てきた税額が以前納付した税額よりも少なければ差額を還付してくれます。
(多ければ差額を追加で納付する必要があります。)

未分割なら配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例の適用はありません

仮の分割結果で申告をする場合に注意なのが、
配偶者の税額軽減や小規模宅地等の減額といった特例規定はこの時点では使えない、ということです。

これらの特例規定は分割協議が整った段階で適用が可能になりますので、
もし将来、遺産分割が整った際にこれらの特例を受ける予定なのであれば、「申告期限後3年以内の分割見込書」という書面を最初の申告の際に併せて提出する必要があります。

この辺の内容は以下の国税庁のページでも解説されています。
No.4208 相続財産が分割されていないときの申告|国税庁

申告期限までに「納付まで完了」するのが大原則です

また、相続税の申告で忘れてはいけないのが税金の納付です。
「税金の申告」には申告書の提出だけではなく、その税額の納付も含みます。

つまり、たとえ申告書を期限内に出せたとしても、税額の納付が期限までに完了していない場合は延滞扱いとなります。
(この場合、遅れた税額に応じた利子(延滞税)・罰金(無申告加算税など)が付いてきます。)

相続税の納付方法には金銭一括納付のほか

  • 延納(分割払い)
  • 物納(相続財産で払う)

の2つも選べますが、これらの納付方法をとる場合には申請が必要で、その申請も申告期限までに行わないと受け付けてもらえません。

「これだけの税額を金銭一括納付なんて無理やわ!」
という方は一般の方以上に早めの準備が必要です。

相続税の延納と物納について詳しい解説は以下の国税庁のページをご覧ください。
延納・物納申請等|国税庁

名義変更手続は遺産分割協議が整えばいつでも可能です

ちなみに、遺産の名義変更は遺産分割協議の結果を踏まえて行いますので、
遺産分割協議さえ整えば、相続税の申告期限にとらわれずに随時行うことが可能です。
(10ヶ月以内でもそれ以降でもOK)

ただ、期限が無いからといっていつまでもほったらかしで良いハズは無く…。
たまに、不動産で
「登記費用がもったいないから」
と相続登記をせずにほったらかしにしている方を見かけますが、それは将来子孫に余計な手間や火種を残すだけですので、これらの登記も忘れずに行いましょう!

相続税の申告期限までのタイムスケジュールのまとめ

以上、この記事では相続が起こった時点から相続税の申告・納付に至るまでの一連の流れをまとめてみました。
最後にもう一度、意識しなければいけない法律上の3つの区切りを挙げておきます。

相続税の申告期限を迎えるまでの10ヶ月間は長いようであっという間に過ぎ去ります。
なんせ、四十九日の法要が終わって一息ついた時点でも既に2ヶ月弱が経過していますから…。
そこから相続税の申告準備を一から、と考えると、意外と時間が足りません。

ご自身で申告までをされる場合には早め早めの準備を心掛けて下さい。
また、税理士などの専門家に頼むにしても、任される側としても、早い段階で依頼を受けた方がより精度の高いお仕事を提供することが可能です。
お困りの際には是非早めにご相談下さいね。

新型コロナウイルスの影響で、相続税の申告期限は当面の間延長の措置が取られています。
延長を受けるために必要な手続きなどの詳細は「新型コロナ禍で相続税の申告期限が延長可能に!必要な手続きや注意点とは」という記事で解説しています。

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この記事を書いた人

税理士 尾藤武英
税理士 尾藤 武英(びとう たけひで)
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