税金の「期間」の数え方はちょっと独特。そのルールとは?

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京都市左京区で開業している税理士です。元税理士試験受験予備校「相続税法」講師。相続税に強く、クラウド会計に特化した税理士として活動中。
代表税理士1人で運営し、「税理士が直接お客様に全てのサービスを提供すること」を大切にしています。
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今日は2016年9月21日ですね。

突然ですが、
「今日から10ヶ月後はいつですか?」
と聞かれたら皆さんはどう答えますか?

「2017年7月21日です」
と答えますよね?

じゃあ、どうやってその日を求めましたか?
おそらく皆さん、「今日の日付に10ヶ月を足したら来年の7月21日になる」という計算をされたのではないかと思います。

実は、我々が生きている税金の世界では、
「この申告書は今日から10ヶ月後に出してね」
「この申請書は今日から2ヶ月後に出してね」
といったように、「提出期限が一定の期間経過後」とされている手続がたくさんあります。
そして、税金の世界でのこれらの期間の数え方は、上の問いかけに対して多分皆さんがされたであろう求め方とも少々異なります。

今日はそれらのルールを紹介してみます。
ちょっとマニアックな論点ですが、よろしくお付き合い下さい(^o^)

単純に10ヶ月足しただけ、とはちょっと違う…

「提出期限が一定の期間経過後に来るもの」としてこのブログの過去の記事で紹介してきたものの代表例といえば、相続税の申告期限です。

相続税の申告期限は、相続税法という法律で
「相続の開始があった(≒人が亡くなった)ことを(相続人などが)知った日の翌日から10ヶ月以内
と決められています。

具体的な日付で言えば、もし被相続人が亡くなったことを相続人などが知った日が今日(9月21日)なのであれば、申告期限は来年の7月21日となります。

あれ?
冒頭で(おそらく)皆さんがされたように、9月21日に単純に10ヶ月を足した場合と求まった日付の結果は全く同じですよね。

ただ、求め方はちょっと違うんです。
どんな求め方をして来年の7月21日に辿り着いたのか、計算過程を書いてみると↓こうなります。

具体例その1:相続開始を知った日が2016年9月21日の場合

【スタート】
亡くなったことを知った日:2016年9月21日

【1:まず1日を足す】
2016年9月22日

【2:次に10ヶ月を足す】
2017年7月22日

【3:最後に1日を引く】
2017年7月21日

と、3段階の流れを経て来年の7月21日という日付を出していくことになります。
単純に10ヶ月を足すんじゃなくて、1日足して、最後にまた1日引いてと、余計なことを2つもしています。

何でこんなややこしいことをしていくのか。
それは、次のような決まりが税法にあるからです。

「国税通則法」という法律で決められている期間の数え方

国税通則法の第10条第1項というところに、
「税金の世界では期間の数え方はこうしろ!」
と定められています。

該当する部分の条文をiPhoneで表示させてみました。
うじゃうじゃと難しい文章が並んでいます(^^;
iPhoneで表示した国税通則法の条文

以下、この条文の骨子をまとめてみました!

1:期間の初日はノーカウント。数えるのは翌日から。
ただし、各税法で具体的に「この日から数えるよ」と書かれている場合などは、その日から数える。
(ちなみに、こうして数え出す日のことを「起算日」と言います。)

2:「今日からひと月後」といえば翌月の応答日を指す。月によって間の日数は異なるが、そこは気にしない。
また、↑このように月や年単位で期間を定めている場合は、それぞれの応答日の前日が期間の末日となる。

3:応答日が存在しない日になる(例:2月30日など)場合は、その月の末日が期間の末日となる。

上の具体例もこれらの考えに則った結果なんです。
上の具体例の流れごとに根拠を照らし合わせてみると…

【1:まず1日を足す】
期間の初日(9月21日)はノーカウント。かつ、相続税法で「亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」と具体的な起算日が書かれているのでまずは1日を足す。

【2:次に10ヶ月を足す】
1日足したあとの期間の起算日(9月22日)の10ヶ月後の応答日は翌年7月22日。

【3:最後に1日を引く】
月単位で期間を定めている場合、応答日(翌年7月22日)の前日(7月21日)が期間の末日になるので最後に1日を引く。

という考えにそれぞれ則っているんですね!
あー細かい(笑

相続開始を知った日が4月29日なら??

上の日付(相続開始を知った日が9月21日の場合)では、3つ目の骨子として挙げた

3:応答日が存在しない日になる(例:2月30日など)場合は、その月の末日が期間の末日となる。

という考えは出る幕が無かったですが、たとえば、相続開始を知った日が4月29日の場合にはこの骨子が威力を発揮します。

具体例その2:相続開始を知った日が2016年4月29日の場合

【スタート】
亡くなったことを知った日:2016年4月29日

【1:まず1日を足す(この日が起算日)】
2016年4月30日

【2:次に10ヶ月を足す(この日が応答日)…??】
2017年2月30日???

【3:応答日が存在しないのでその月の末日が期間の末日になる!】
2017年2月28日

どーですか!便利でしょう(^o^)
この数え方さえ習得すれば、どんな日が期間の初日になっても正確な期限を求めることができますね。

起算日を翌日としているのは平等にするため

おそらく、皆さんが疑問に思われるのは
「なんで期間の初日ではなく、その翌日が起算日になるの?」
というところだと思いますが、それは、人が置かれた状況によって期間に長短が発生することを防ぐためです。

たとえば、相続があった場合で考えて頂きたいんですが、同じ「今日亡くなったことを知った」のでも、人によって知った時間というのは様々ですよね。
今日の午前0時過ぎに知った人も、午後11時過ぎに知った人も、知った日は同じ「9月21日」です。

もし知った日当日から期間を起算するとすれば、上の2人の場合だと、期限にほぼ1日の差ができてしまうことになります。
午前0時過ぎに知った人も、午後11時過ぎに知った人も、等しい期間を期限とするために翌日を起算日としている、というわけなんです。

厳密には「亡くなった日」=「相続開始の日」ではなかったりします。
「相続の開始があったことを知った日」とは。相続税の申告期限「10ヶ月」はいつから数える?

期限が休日の場合はその翌日が期限になります

ついでに紹介しておきますと、上で骨子を紹介した国税通則法第10条第1項の続きの条文である第2項には、こんな決まりも定められています。

期限が土曜日、日曜日、祝日、12月29日から翌年1月3日までの間にあたるときは、その翌日が期限となる。

たまに所得税の確定申告期限が3月15日ではなく3月16日や17日の年がありますが、それは本来の確定申告期限である3月15日が土曜日や日曜日で、この規定が生きてくるからです。
土曜日日曜日が終わった次の日である月曜日が期限となる、ということですね。

まとめ?

以上、今日はかなりマニアックな論点を取り上げてみました!

この記事がどれだけの方のお役に立てるかはわかりませんが(なんだかまた業界人向けの記事を作ってしまった気がしますが…(^^;)、
「ふーん、そんな考え方があるんや」
と少しでも思って頂けると嬉しいです!


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