人が亡くなった場合に必要となる7つの税金の手続き

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不幸にも身内の方に相続が発生した場合、ご遺族の方にはその後どういった税金上の手続が必要となるんでしょうか。
パッと頭に浮かぶのは相続税の申告ですが、それ以外にも実は様々な手続があります。

そこで、このサイトでは、亡くなられた方(=被相続人)が亡くなった後に必要となる税務上の手続について、

1 被相続人ご自身に関してまず必要となる手続
2 相続人が被相続人の事業を承継する場合に必要となる手続

と、2つに分けて紹介していきます。

まずこの記事では、第一弾として「1 被相続人ご自身に関してまず必要となる手続」を紹介します。

注意点
1:下記の手続の提出先は全て「被相続人の住所や事業所を管轄する税務署」です。
2:これらの手続を行う際は被相続人のマイナンバーは書く必要はありません。
(逆に、相続人のマイナンバーは書く必要がありますので要注意です。)
関連記事相続税申告書、亡くなった方(被相続人)のマイナンバーの記入が不要に!

1.相続税の申告

相続、遺贈(=遺言での財産の取得)で財産を取得した方について、

・相続税額があるとき
または
・税額は無くても、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例などの規定を受けたいとき

は、その財産取得者は相続税の申告書を提出する必要があります。
[手続名]相続税の申告手続|国税庁

【提出期限】
相続開始があったことを知った(=死亡を知った)日の翌日から10ヶ月以内
(通常は亡くなった日の10ヶ月後の応答日です。)
関連記事

・どんな場合に相続税の申告が必要になるかは以下の記事で解説しています。
相続税はいくらからかかる?遺産の総額と相続人の数で決まります
相続税がかかる財産取得の理由は3つ。相続、遺贈、死因贈与
相続税はどんな財産に対してかかる?

・相続税の申告期限が来るまでに意識すべきスケジュールとは?
相続税の申告手続のタイムスケジュール。10ヶ月の間に何をすべき?

・「10ヶ月」はいつから数えるかについて、マニアックな論点を解説しています。
「相続の開始があったことを知った日」とは。相続税の申告期限「10ヶ月」はいつから数える?

申告書の提出義務の承継(申告書を出すべきだった方が亡くなった場合)

以下、ちょっと細かい話になります。
(当てはまらん!という方は所得税の手続まで飛ばしてください(^^;

相続税の申告書については、
「亡くなった方が出すべきだった相続税の申告書をその相続人が代わりに出す」
という場合もありえます。

どういう場合にそれが起こるかというと、上の1により相続税の申告書を出すべき方が、その申告書を出す前に亡くなった場合です。
(相続の発生が短期間で重なった場合などに起こります)

その場合には、本来申告書を出すべきだった方の相続人(包括受遺者を含みます。以下同じです)は、その方が出すべきだった申告書を、その方の代わりに提出する必要があります。

提出期限は「改めて10ヶ月後」に伸びます

この場合の相続税の申告書の提出期限は、
「その方(本来申告書を出すべきだった方)が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」
です。

つまり、たとえば

・被相続人は3月16日に死亡。
・被相続人死亡時の家族構成は妻と子2人。
・妻は相続税の申告書を出す前に9月16日に死亡。

という状況の場合、

・被相続人の死亡による相続税の申告期限は原則翌年1月16日。子2人はこの日までに被相続人の死亡による相続税の申告書を提出する。

・ただし、妻は申告書を出す前に死亡してしまっているので、妻の相続人である子2人は
「妻が出すべきだった、被相続人の死亡による相続税の申告書」(←今やっている話はこっち)と、
「妻自身の死亡による相続税の申告書(税額があれば)」の両方を、
同じ期限である翌年7月16日までに提出しなければいけない。
(というか、妻が出すべきだった被相続人の申告書については、期限をここまで延ばしてくれる。

という扱いになります。
ただ、これも「期限が延びる」というだけなので、実務上は3人分一緒に提出していく場合が多いですが…。

追加で書面の提出が必要です(納税義務等の承継に係る明細書)

ちなみに、上の例のように相続人が複数いる場合、子2は以下の書面に連署して申告書に添付する必要があります。
「我々が母(妻)の代わりに申告書を出しますよ」という意思表示のための書面です。

「納税義務等の承継に係る明細書」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/h29pdf/01fu1.pdf

2.贈与税の申告(申告書の提出義務の承継)

贈与税の申告についても、↑すぐ上の相続税と同じように、
亡くなった方自身に贈与税の申告義務がある場合には、亡くなった方が出すべきだった贈与税の申告書をその相続人が代わりに出す必要が出てきます。

具体的にどんな場合かというと。

・年の中途で亡くなった方で、その年1月1日から死亡の日までの贈与について贈与税額がある
・年の中途で亡くなった方が相続時精算課税の適用を受けていて、その年中に精算贈与で財産を取得していた
・前年に受けた贈与について贈与税の申告書を出すべき方が、その申告書を提出する前に(=1月1日から3月15日までの間に)亡くなった

これらのいずれかに該当する場合には、その方の相続人は、その方が出すべきだった贈与税の申告書をその方に代わって提出する必要があります。
贈与税(贈与税の申告書作成コーナー)|国税庁

この場合、相続人や包括受遺者の方が2人以上いる場合には、以下の書面にこれらの方全てが連署して申告書に添付する必要があります。
(相続税と同じですね。)

「贈与税の申告書付表」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/zoyo/yoshiki2017/pdf/09.pdf

【提出期限】
その方が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内

所得税関連

以下に挙げているものは全て個人事業主の方が亡くなった場合に必要となる手続です。
(=亡くなった方が事業をしていなかった場合には以下の手続は不要です。)

3.個人事業の廃業の届出

亡くなったことによって事業を廃止します、という届出です。
「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。
[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁

【提出期限】
相続開始の日(=死亡の日)から1ヶ月以内

4.所得税の準確定申告

続いては、亡くなった方自身の所得税の申告です。

・年の中途で亡くなった方で、その年分の所得について税額が発生する
・年の中途で亡くなった方で、その年分の所得税について源泉徴収された税額や予定納税した税額などの還付を受けたい
・年の中途で亡くなった方で、その年分の所得税について「純損失の繰戻しによる還付」(詳しくは後述)の適用を受けたい
・前年分の所得税について申告書を出すべき(出せる)方が、その申告書を提出する前に亡くなった

被相続人が上記のいずれかに該当する場合には、その方の相続人や包括受遺者は、その方が出すべきだった所得税の申告書をその方に代わって提出する必要があります。
(これを、所得税の準確定申告と言います。)
No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)|国税庁

この場合、所得税でも以下の書面の添付が必要です。

「死亡した者の確定申告書付表」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/fuhyo/f01.pdf

【提出期限】
その方が亡くなったことを知った日の翌日から4ヶ月以内
(ただし、上記ボックス内の2つ目、還付を受ける場合についてのみ、提出期限は5年以内となります。)

5.純損失の繰戻しによる還付請求

青色申告の承認を受けて事業を営んでいた方が、

・年の中途で亡くなって、その年分の所得が赤字になった(純損失の金額がある)
・死亡時点で、まだ控除しきれていない、前年に発生した赤字(純損失の繰越控除)の金額がある

上記のいずれかに該当する場合、前年または前々年に納付した所得税のうちの一定額の還付を受けられる場合があります。
これを「純損失の繰戻しによる還付」と呼んでいます。

この規定の適用を受けたい場合には、「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書」という書面を提出する必要があります。
[手続名]純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求手続|国税庁

【提出期限】
青色申告書の提出と同時に
つまり、上記の準確定申告書の提出期限まで(4ヶ月以内)に、上記の申告書に添えて提出をする必要があります。

消費税関連

亡くなった方が消費税の課税事業者であった場合には以下の手続も必要となります。

6.個人事業者の死亡の届出

亡くなったことによって消費税の納税義務者では無くなります、という届出です。
「個人事業者の死亡届出書」を提出します。
[手続名]個人事業者の死亡届出手続|国税庁

この届出書は亡くなった方の相続人が届出人として亡くなった方の住所を管轄する税務署に提出します。
なので、届出書の様式にも「届出人」を書く欄があります。
(=届出人のマイナンバーの記載が必要です!)
【提出期限】
相続開始(=死亡)後速やかに

7.消費税の準確定申告

基本的な考え方は所得税の場合と同じです。

・年の中途で亡くなった方で、その年分の納付すべき消費税額がある
・年の中途で亡くなった方で、その年分の消費税について控除しきれない仕入税額や中間納付した税額などの還付を受けたい
・前年分の消費税について申告書を出すべき(出せる)方が、その申告書を提出する前に亡くなった

被相続人が上記のいずれかに該当する場合には、その方の相続人や包括受遺者は、その方が出すべきだった消費税の申告書をその方に代わって提出する必要があります。
(これを、消費税の準確定申告と言います。)
[手続名]確定申告(消費税及び地方消費税 申告書添付書類)|国税庁

この場合、消費税でも以下の書面の添付が必要です。

「付表6 死亡した事業者の消費税及び地方消費税の確定申告明細書」
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/pdf/1461_pdf/1461_21_2.pdf

【提出期限】
その方が亡くなったことを知った日の翌日から4ヶ月以内
(ただし、上記ボックス内の2つ目、還付を受ける場合についてのみ、提出期限は5年以内となります。)

まとめ

以上、この記事では、亡くなった方(=被相続人)が事業をしていたかどうかを問わず、死亡した被相続人ご自身に関して必要となる税金の手続を紹介してきました。

続きの記事では第2弾として、「相続人が被相続人の事業を承継する場合に必要な税金の手続」を紹介していきます!

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AUTHORこの記事を書いた人

京都市左京区で開業している税理士です。元税理士試験受験予備校「相続税法」講師。相続税に強く、クラウド会計に特化した税理士として活動中。
「専門用語をなるべく省いたわかりやすい説明」と「税理士が直接お客様に全てのサービスを提供すること」を大切にしています。
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