所得税には「源泉徴収」という制度がありますが、
では、源泉徴収義務者の方は、源泉徴収した税額をいつまでに国に納めなければいけないんでしょうか?
これについては、
の2つの取り扱いがあります。
- 源泉徴収義務者とは?こんな人は源泉徴収が必要です
- 源泉徴収の対象となる所得には何がある?
- 源泉徴収税額はいくらにすべき?【源泉徴収税率のまとめ】
- 報酬や料金の源泉徴収税率は何%?【種類別に紹介】
- 【源泉所得税の納付期限】原則と納期の特例の違いとは?(←今はここ)
- 中途退職者に給与の源泉徴収票を発行する場合の4つの注意点
この記事を書いた人
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原則は「支払月の翌月10日まで」
まずは原則の取り扱いから紹介します。
源泉所得税の原則の納付期限は、↓以下の国税庁のホームページでもこう書かれているとおり…、
源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納めなければなりません。
源泉徴収の対象となる所得を支払った月の翌月10日までとなります。
「実際に支払った月」の翌月10日まで!
上でマーカーで支払った月の翌月10日までと書きましたが、これ、結構間違いやすいんです。
たとえば、
-
「当月分の給料を翌月10日に支給する」
→12月分は翌年1月10日に支給する
という事業者の場合。
この場合、12月分の給料は12月の経費とするのが正しい会計処理なのですが、
では、その給料から源泉徴収することとなる所得税は、
- 経費に計上した12月分として、その翌月である「1月10日まで」に支払う
-
実際に支払った今年1月分として、その翌月である「2月10日まで」に支払う
どちらが正しいんでしょうか?
正解は、②の実際に支払った今年1月の翌月である「2月10日まで」に支払うです。
そもそも、「まだお金を払ってない」ってことは「まだ源泉徴収もしてない」ってことですから。
「してなかろうが確定してるなら先に払え!」っていうのはメチャクチャな論理ですよね。
つまり、実際1月に給料を支払った際には↓こういう仕訳を切ることになりますが、
借方 | 貸方 | ||
未払費用 | △△△円 | 現預金 | ●●●円 |
預り金 | □□□円 |
ここで発生した預り金の金額は原則2月10日までに国に収めろ、ということになります。
経費の計上時期の考え方は以下の記事で詳しく解説しています。
12月分が1月支払いになる場合の売上経費の計上時期
年2回にできる「納期の特例」も選択可能です!
ただ、原則どおり毎月支払え、となると、
という人も結構いるよね?というわけで、設けられているのが特例です。
- 給与の支払いを受ける人が常に10人未満しかいない事業所である
-
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出して、その承認を受けている
これら2つの要件を満たす源泉徴収義務者については、納付のタイミングを
- 1月から6月までの支払分=7月10日まで
-
7月から12月までの支払分=翌年1月20日まで
の年2回に変更することが出来ます。
これを「源泉所得税の納期の特例」と呼んでいます。
【ただし】対象は給与・賞与や士業への報酬に限られます
ただ、全部の所得についてこの特例の対象になるわけではなくて、対象となるのは
- 給与、賞与等
- 退職手当金等
-
弁護士、公認会計士、税理士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
これらに対する源泉徴収税額に限られます。
原稿料や講演料など、上記以外の報酬や料金はこの特例の対象になっていないので、
たとえ納期の特例の承認を受けていたとしても、これらの支払いによって源泉徴収した税額がある場合は毎月10日までに納付する必要がある点には注意が必要です。
No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例|国税庁
住民税にも納期の特例はあります【国税との違いに注意!】
ちなみに、所得税ではなく住民税の特別徴収(毎月の給与から徴収する住民税)についても、申請により納期の特例制度を受けることができます。
ただ、通常の自治体の場合、
- 6月から11月までの支払分=12月10日まで
-
12月から翌年5月までの支払分=6月10日まで
と、所得税よりも対象期間と納期限が1ヶ月早くなっている点に注意が必要です。
京都市:特別徴収税額の納期の特例に関する申請書/納期の特例取消し届出書
源泉所得税の納付期限のまとめ
以上、この記事では源泉徴収した所得税の納期限についていろいろと解説してみました!
もう1度ポイントを挙げてみると、源泉徴収した所得税の納期限は
のいずれかが選べます。
ただし、納期の特例には手続きや条件があるので、何でもかんでも選べるわけではない点には気をつけてください!
- 源泉徴収義務者とは?こんな人は源泉徴収が必要です
- 源泉徴収の対象となる所得には何がある?
- 源泉徴収税額はいくらにすべき?【源泉徴収税率のまとめ】
- 報酬や料金の源泉徴収税率は何%?【種類別に紹介】
- 【源泉所得税の納付期限】原則と納期の特例の違いとは?(←今はここ)
- 中途退職者に給与の源泉徴収票を発行する場合の4つの注意点
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