退職者に対して給与の源泉徴収票を発行する際の4つの注意点【過去の私の体験から】

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京都市左京区で開業している税理士です。 元税理士試験受験校「相続税法」講師。 相続税や所得税、贈与税など「個人の方にかかる税金」に特化した税理士として活動しています。詳しいプロフィール個人ブログも更新中です

※給与所得の源泉徴収票。昨年からサイズがA6版に変わっています。

現在は税理士としてフリーランスで活動している私ですが、過去には会社組織で働いていた経験ももちろんあります。
しかもいくつか渡り歩きましたので(詳しくはプロフィールをどうぞ)、退職の際にはその都度会社から「給与所得の源泉徴収票」を頂いてきました。

そして、頂いたその源泉徴収票に関して間違いやミスを発見することもとても多かったです。

そこで今日は、私自身が過去の退職の際に源泉徴収票の受給者としてどんな間違いやミスに遭遇したのか、それをいろいろと紹介してみることにします。
給与計算業務をされている方の参考になれば幸いです。

その1:そもそも出さないのはダメです

「え、そんな話?」って思います??
でも、しばらくはこんなのが続きます(^^;

私自身、退職後何度催促しても源泉徴収票をなかなか発行してくれない会社があって、とても困らされたことがありました。

中途退職者に対する源泉徴収票の発行には期限が決められています。
所得税法の第226条第1項というところに、
「退職日以後1ヶ月以内に発行せよ」
とバッチリと書かれていますので、それを過ぎてもなかなか発行しない会社は所得税法違反です。

次の項目で書いている確定申告でももちろん必要ですが、人によっては、退職後の失業保険や健康保険料の減免の申請などで必要な場合も出てきます。
中途退職者に対する源泉徴収票の発行は速やかに行いましょう!

その2:原本を送りましょう

これも実際ありました。コピーしたデータだけがメールで送られてきて結局原本は届かず。
しかも、プリントしたのを低い解像度でスキャンしたものなので文字が黒潰れしていたという…。

現在の法律では、源泉徴収票のデータでの交付自体は認められていますが、これも、交付を受ける側がデータで交付することを許可している場合のみです。
上の私のケースのように、向こうが勝手にデータで源泉徴収票を送ってくるというのは法律上は認められていません。

【参考】
以下のページにその辺のことがいろいろと書かれていますので興味のある方はどうぞ。
給与所得の源泉徴収票等の電磁的方法による提供(電子交付)に係るQ&A|国税庁

また、以下のようなケースではどのみち原本が必要となります。

確定申告をする際には原本の提出が必要

年の中途で退職した方は在籍していた会社では年末調整を受けませんので、その後同年中に他の会社に再就職しない場合、通常よりも多く取られてしまっている源泉所得税を取り戻すためには確定申告をする必要があります。
(義務ではないんですが、やらないと退職者が確実に損をするのでやる方が大半でしょう。)

そして、確定申告書を紙で税務署に提出する場合、添付書類として源泉徴収票の原本の提出が求められます。

(問15)
 電子交付を受けた給与所得の源泉徴収票、退職所得の源泉徴収票又は公的年金等の源泉徴収票をプリントアウトして確定申告書に添付してもよいか。

(答)
 確定申告書に添付する給与所得の源泉徴収票、退職所得の源泉徴収票又は公的年金等の源泉徴収票は、法令上、給与等、退職手当等又は公的年金等の支払者(交付者)から書面で交付を受けたものと規定されていますので、電子交付を受けた各源泉徴収票をプリントアウトして確定申告書に添付することはできません。給与等、退職手当等又は公的年金等の支払者(交付者)から、書面により各源泉徴収票の交付を受けた上で、確定申告書に添付してください。

引用元:給与所得の源泉徴収票等の電磁的方法による提供(電子交付)に係るQ&A|国税庁

「確定申告書に添付するなら書面で交付を受けろ」とハッキリと書かれていますね。

確定申告を電子でする場合でも原本は手元に置いておく義務アリ

ちなみに、確定申告で源泉徴収票の原本の提出が必要なのは申告書を紙で出す場合だけで、電子申告(e-Tax)で確定申告をする場合には原本の提出は不要です。

ただ、それでも税務署から「見せろ」と言われた際はすぐに見せられるように、申告期限から5年間は手元に原本を保存する義務があります。
参考サイト:e-Tax申告により添付を省略した書面については、法定申告期限から5年間、税務署等から提示又は提出を求められることがあります|e-Tax

再就職する場合ももちろん必要

また、同年中に他の会社に再就職した方はその会社で年末調整を受けることになります。
この場合、前の会社でいくら給料を貰っていたのかを確認する資料として源泉徴収票が必要となるのはご存知のとおりです。

もしここで、源泉徴収票が原本ではなくメールデータの白黒コピーだったりしたらその会社に対する印象はどうですか?
「ええ加減な会社やなー」と思ってしまいません??

退職された方が同年中に別の会社に再就職をするのかしないのかは辞める時点ではわからないケースが大半でしょうが、どちらに転ぶとしてもどのみち原本は必要です。
会社側としては原本の送付を(しかも速やかに!)心掛けたいものですね。
間違っても、時間が無いから慌ててデータをメールで送って終わり、なんてズボラなことはやめましょう…。

その3:退職日を書きましょう

中途退職したのに退職日が書かれていない源泉徴収票の交付を受けたこともあります。
それを貰ってしまうと、退職日を証明する書類として源泉徴収票を使おうと思っても肝心の退職日が書いてないから使えませんやん!ってことになってしまいます。

ですので、退職日はちゃんと記入するようにしましょう。
(そんなん基本的な話やん、なんて言わないでください。実際に私が受けたことなんですから…。)

その4:最後の給料から社会保険料を天引きするかは退職日を要チェック

最後はいきなりレベルアップします(笑
ここは源泉徴収票そのものというよりは、それに書く内容の話。
具体的には、退職者に対する最後の給料から社会保険料を引くのか引かないのかという話です。
これは退職日が月末ではない場合(例:1月の最後の平日など)に発生しやすいミスです。

実は、中途退職した場合の社会保険料の負担については

・退職日が月末の場合:その月の保険料は会社の社会保険料を払う。
・退職日が月末より前の日の場合:その月の保険料は国民健康保険、国民年金保険に加入して払う。(会社の社会保険料は払う必要がない)

と決められています。
つまり、

【ケースその1:退職日が1月31日(月末)の場合】
いつもどおり、2月に支払う最後の給料から1月分の社会保険料を天引きする。

【ケースその2:退職日が1月30日(月末以外)の場合】
いつもとは違い、2月に払う最後の給料から社会保険料は天引きしない。
(社会保険料の負担は12月分までのため)

と、退職日によって社会保険料を天引きするのかしないのかが違ってくるんです!

私自身、これは過去に在籍した会社のいくつかで受けているミスです。
(しかもそのうち1つは税理士事務所だったりします…。)
それだけ間違えやすいということでしょうから、給与計算をする方はここには特に要注意ですね。

まとめ

以上、私自身が過去の退職の際に源泉徴収票の受給者として遭遇したミスや間違いを紹介しました。

こうして見ると「大小(?)いろんなミスがあるんだなぁ」と思われるでしょうが、ただ、実はこれ、最後の1つを除いて全部1つの会社から受けた仕打ちだったりします(^^;
ま、そんな会社もあるんだなぁ、ぐらいに思って頂ければ…。

ただ、大きな会社ならともかく、小さな会社ではこういったミスのいくつかは結構やりがちなのではないでしょうか。
この記事を反面教師として頂いて、適切な源泉徴収票の発行を心掛けていきましょう!

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