【確定申告】固定資産税の経費の計上時期まとめ:いつの分を経費にできる?

固定資産税はいつの分を経費にできる?【3つの計上時期】

固定資産税(以下、都市計画税を含めます)は土地や建物、事業用の償却資産に対してかかってくる税金です。

そして、これらの資産を自分の事業や不動産賃貸に使っている場合、
その固定資産税は、その人の事業所得や不動産所得などの計算上、経費で落とせます。

ただ、固定資産税は支払うタイミングが年に何回もあったりするので、

結局いつ払う分を経費で落とせばいいの??

と迷っている人も多いんじゃないでしょうか。

この記事では、そんなあなたのために、

  • 固定資産税の課税の仕組み(課税と納付のタイミング)

  • について触れた上で、

  • いつ払う分を経費で落とせるのか(経費の計上時期)

について解説していきます。

以下、個人の方の確定申告向けとして話を進めますが、法人の場合も基本的な考え方は同じです。

この記事を書いた人


税理士 尾藤武英
税理士 尾藤 武英(びとう たけひで)
京都市左京区下鴨で開業している税理士です。
税理士試験大手予備校の元講師で、事務所開業後は所得税などの研修会講師を数多く担当。
Macユーザーで、クラウド会計を活用したスモールビジネス支援にも力を入れています。
詳しいプロフィール(経歴や活動実績など)
提供サービス:個人の確定申告 / クラウド会計税務顧問

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【前提】固定資産税はいつ確定していつ払う?

まずはこの記事の前提として、

  • 固定資産税はいつ支払い義務が確定するのか
  • いつまでに支払うのか

といったあたりを見ていきましょう。

固定資産税は1月1日現在の資産の所有者にかかる

固定資産税はその年の1月1日現在の資産の所有者に対してかかる税金です。
1月1日の時点で土地や建物の登記簿に所有者として登記されている人が固定資産税の納税義務者になります。

この日のことを固定資産税の「賦課期日」と呼びます。

何があっても1月1日現在の所有者にかかるので、
たとえ1月2日に所有者が変わっていようが、その年分(2019年なら2019年4月1日〜2020年3月31日までの分)の固定資産税は前所有者に対してかかります。

納付は一括or分割で、決められた日までに払う

固定資産税がかかる人に対しては、毎年4〜5月頃(※自治体によって違います)に、その年分の固定資産税の税額が書かれた納税通知書が届きます。

そして、そこに書かれた税額については、

  • 全額(=全期分)を一括で納付
    全額を一括で納付

  • 4回に分けて納付
    4回に分けて納付

このどちらかのタイミングで払います。

4回に分ける場合の各納期がいつになるかは自治体によって違います。
私の地元京都市の場合は4月、7月、12月、翌年2月の4回です。
以下、この記事では↑この4回として話を進めます。

これを踏まえて、以下この記事の本題です。
固定資産税って、いつ払う分を経費で落とせばいいんでしょうか??

経費計上時期は3つの中から選べます

結論から書いてしまうと、固定資産税の経費の落とし方は以下の3つのうち好きなものを選べます。

  • 【原則】納税通知書に書かれている年税額の全額を経費にする
  • 【特例その1】分割された各納期の開始の日に、それぞれの税額を経費にする
  • 【特例その2】実際に納付した日納付した金額を経費にする

以下、1つずつ解説していきます。

【原則】納税通知書に書かれている年税額の全額を経費にする

まず1つ目は原則的な取り扱いです。
納税通知書が届いた日に、そこに書かれている年税額の全額を経費に落とします。

これは、↓こちらの所得税の必要経費の基本的な考え方にのっとったものです。

2 必要経費の算入時期

必要経費となる金額は、その年において債務の確定した金額(債務の確定によらない減価償却費などの費用もあります。)です。
(中略)
この場合の「その年において債務が確定している」とは、次の三つの要件を全て満たす場合をいいます。

(1) その年の12月31日までに債務が成立していること。
(2) その年の12月31日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3) その年の12月31日までに金額が合理的に算定できること。

引用元:No.2210 やさしい必要経費の知識|所得税|国税庁

関連記事

必要経費の計上時期の原則的な考え方は以下の記事で詳しく解説しています。
12月分が1月払いになる場合の売上経費の計上時期

 
上の(1)〜(3)を固定資産税に当てはめてみると、

  • (1)(2)=1月1日(賦課期日)に要件を満たす
  • (3)=納税通知書が届いた日に要件を満たす

ことになるので、
納税通知書が届いた日に、そこに書かれている年税額の全額を経費で落とせというのが原則的な取り扱いです。

年4回の納付のタイミングとの関連性を図にすると↓こんな感じでしょうか。
原則は納税通知書に書かれている年税額の全額を経費に落とす

納期がいつかは関係なく、X1年度分の税額の全額をX1年の経費にします。
また、X1年の2月に支払ったX0年度(前年度)4期分の税額はX0年の経費で落としているので、X1年の経費にはできません。

この場合、「その税額を実際に払ったか」はもちろん問いません。
つまり、12月31日時点で翌年2月が期限の4期分の税額を払っていなかったとしても、その分は未払金として経費にできます。

 
ただ、固定資産税に関しては、この原則以外にもあと2つ、特例的な落とし方が選べます。

【特例その1】分割された各納期の開始の日に、それぞれの税額を経費にする

その1つ目は、分割された各納期の開始の日に、それぞれの分の税額を経費にする方法です。

これも図にした方がイメージがつきやすいと思うので↓こちらどうぞ!
各納期の開始の日にそれぞれの税額を経費に落とす

「各納期の開始の日」という言葉は初めて出てきましたが、
固定資産税の場合、納期開始日は通常それぞれの納期限の月初の日(1期のみ10日頃)です。

つまり、2月(前年度の4期)、4月(1期)、7月(2期)、12月(3期)にやってくる各納期の開始日に、それぞれの期限までに支払う税額を経費にしてもOK!ということです。

上の原則との違いは2月(4期分)の税額の取り扱いです。
原則の場合はX2年2月に納期が始まるX1年度分をX1年の経費にしますが、
この特例の場合はX1年2月に納期が始まったX0年度(前年度)4期分の税額がX1年の経費となります。
(って、文章にするとめっちゃややこしい…。)

【特例その2】実際に納付した日に納付した金額を経費にする

もう1つの特例は、実際に納付した日納付した金額を経費にする方法です。
払ったときに払った金額を経費で落とすので、ある意味単純です。

また、払い方によっては、↓このように5期分の税額をX1年の経費にすることもできます。
実際に納付していれば5期分の税額を経費に入れることも可能

 

固定資産税の経費計上時期まとめ:これらの特例のコラボも可能です

ちなみに、これらの方法は好きなものを年ごとに選べます。
つまり、これらを組み合わせることにより、年ごとの利益を多くしたり少なくしたり…なんてことが合法的に可能となります。

びとう
1回あたりの分納額が大きい場合は節税効果も大きくなりますね。

以上、固定資産税の3つの経費の落とし方について、図も交えながら解説してみました。
最後にまとめとして3つの方法をもう一度載せておきます。
(各項目へのリンク付きです)

原則は義務が確定した年のその年分の税額。ただ、特例として2つの方法がある。
こうおさえておいてください!


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税理士 尾藤武英

税理士 尾藤 武英(びとう たけひで)
京都市左京区下鴨で開業している税理士です。
税理士試験大手予備校の元講師で、事務所開業後は所得税などの研修会講師を数多く担当。
Macユーザーで、クラウド会計を活用したスモールビジネス支援にも力を入れています。
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