個人的に使っていた資産を事業で使うことにした場合に必要な会計処理とは?

 

個人事業の開業に伴い、それまで個人的に使っていた資産を仕事で使うことにした場合、その資産の購入費用のうちの一定額は事業所得の計算上の経費にできます。
そういう資産がある!という方は忘れずに会計処理を行いましょう。

そう言われても、じゃあ具体的にどんな処理が必要やねん?と思いますよね?
↓以下の国税庁のHPにその方法が書かれていますが、相変わらずわかりにくい…。
No.2108 中古資産を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却|国税庁

そこで今日は実際に私がやった処理方法をご紹介します(^^)

私の場合、開業に伴って↓パソコン(MacBook Pro)を事業用に転用しました。
一昨年に購入したもので、値段も16万円ほどしています。

会計用語で言うところの「未償却残高」もたっぷりある状況ですので、昨年度の私自身の事業所得の計算では、このパソコンの購入費用も減価償却費として経費に計上する処理をしました。

ただ、個人的に使っていた資産の場合、購入費用をそのまま経費に出来るわけではなくて、以下の手順を踏んで経費に出来る金額を求める必要があります。

1.個人的に使っていた期間中の「減価の額」を計算する
2.「減価の額」を購入費用から差し引いて「未償却残高」を求める
3.「未償却残高」をもとにして経費となる減価償却費の額を求める

順を追って求めていきましょう。

ちなみにパソコンの購入費用などの前提資料は以下のとおりです。

購入費用:167,184円
購入時期:平成26年6月
事業開始時期:平成27年9月

1.個人的に使っていた期間中の「減価の額」を計算する

まずは、個人的に使っていた期間中に減少した価値相当額(これを「減価の額」と言います。)を求めます。
求め方を前述の国税庁のHPから引用すると
「個人的に使っていた期間(6月以上切り上げ、6月未満切り捨て)について、その資産の耐用年数の1.5倍に相当する年数で、旧定額法に準じて計算」
ですが、何を言ってるか全くわけがわかんないので、実際の例に当てはめてみましょう。

167,184×(注1)0.9×(注2)0.166×(注3)1=24,977(円未満切り捨て)

(注1)旧定額法では残存価額を1割残すので、0.9をかけます。
(注2)パソコンの法定耐用年数4年×1.5=6年
   法定耐用年数6年の場合の旧定額法の償却率=0.166(こちらの表の二重線よりも右側の欄参照)
(注3)個人的に使っていた期間は平成26年6月〜平成27年9月までの1年4ヶ月→1年(6月未満切り捨て)

こういうややこしい計算を行った結果、個人的に使っていた期間中に減少した価値相当額はめでたく24,977円と出ました!
もうここまでで山は半分超えました(^^;

2.「減価の額」を購入費用から差し引いて「未償却残高」を求める

次に、上で求めた「減価の額」を購入費用である167,184円から差し引きます。

167,184-24,977=142,207

ここで出てきた142,207円というのが、去年9月に私が開業した時点でのパソコンの価値相当額です。
実際の資産の動きは個人的に使っていたものを仕事で使うようにしただけですが、会計上はこの時点でパソコンを142,207円で買ってきたのと同じ扱いになります。

3.「未償却残高」をもとにして経費となる減価償却費の額を求める

ここからの処理は新しく買ってきた場合と同じです。
142,207円という金額で資産に計上されているパソコンの価額を減価償却を通じて費用化していきます。

私が選択出来る減価償却の方法は以下の3つです。

1.普通に法定耐用年数期間で償却(ただし、中古資産の耐用年数(今回の場合は3年)が使える)

2.142,207円を1/3ずつ3年に分けて償却
 (10万円以上20万円未満の資産に認められている方法。)

3.142,207円を一気に1年で償却
 (10万円以上30万円未満の資産に認められている方法。)

3.は青色申告者にだけ認められている特例です。
2.の1/3ずつ3年に分けて償却するのを「一括償却」、3.の一気に1年で償却するのを「少額減価償却」とそれぞれ呼びます。
1/3ずつ3年で償却するよりも一気に1年で償却する方が「一括!」っていうイメージですが、名称は逆ですのでご注意を。(私はそれで覚えています(^^;)

この3つの中で自分が好きな方法を選ぶことが出来ます。
私の場合、昨年度の赤字の金額をこれ以上増やすのもどうかなぁ?とも思いましたが(笑)、悪いものは一気に出しとけ!ってことで、3.の「一気に1年で償却」を選ぶことにしました。

「事業按分」も忘れずに

最後に、完全に仕事だけに使っているわけではないので、上で決めた償却費に「事業按分割合(全体のうち仕事に使っている割合)」をかけます。
この割合はそれぞれの資産ごとに自分が思うものでOKです。
このパソコンの場合、平日に加えて土日も結構仕事で使っていますから、5日/7日をちょっと超えるぐらい=8割かな?って感じです。

142,207×80%=113,766(円未満切り上げ)

結果、パソコンについては113,766円を経費とすることに成功しました!

償却資産税も頭に入れた選択を!

ちなみに、土地や建物以外の事業用の減価償却資産は、購入金額が10万円未満などで必要経費として処理したものと「一括償却」を選んだもの以外は全て償却資産税(固定資産税の一種)の課税対象になります。
課税対象になる資産の合計額が150万円以上なら償却資産税がかかってきますので、こちらにも気を付ける必要があります。

償却資産税を毎年払っている方の場合、一括償却でも少額減価償却でもどっちでもええわ、というのであれば、償却資産税がかからない一括償却を選択するのも一つの方法ですね。

まとめ

ちょっとややこしい話になりましたが、どうでしたか??
個人的に使っていたものを仕事で使うことにした場合、適正な処理をしなければみすみす経費に出来る金額を逃してしまうことになります。
その数が多ければ節税効果もさらに大きくなりますので、忘れずに処理を行いましょう!

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AUTHORこの記事を書いた人

京都市左京区で開業している税理士です。元税理士試験受験予備校「相続税法」講師。相続税に強く、クラウド会計に特化した税理士として活動中。
「専門用語をなるべく省いたわかりやすい説明」と「税理士が直接お客様に全てのサービスを提供すること」を大切にしています。
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