源泉徴収義務者とは?源泉徴収すべき人の決まりを解説します

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京都市左京区で開業している税理士です。元税理士試験受験予備校「相続税法」講師。相続税や所得税など「個人の方にかかる税金」に特化した税理士として活動中。個人で運営し、「税理士が直接お客様に全てのサービスを提供すること」を大切にしています。詳しいプロフィール「DEEN 税理士」「Nikon 税理士」で検索1位な個人ブログはこちら

よく「源泉徴収」という言葉を耳にしますが、これって具体的にどんな制度か皆さんご存知でしょうか。
また、私自身、源泉徴収をしなければいけないのにしていない取引を見かけることも多いです。

そこで、今日から全5回に分けて、この源泉徴収制度について、
どんな制度で、誰が、どんな金品のやり取りについてしなければいけないものなのか
をいろいろとまとめてみます。

第1回目の今回のテーマは「誰が源泉徴収しなきゃいけないの?」です。

【源泉徴収関連の記事一覧】
初回の記事:源泉徴収義務者とは?源泉徴収すべき人の決まりを解説します(←今はここ)
2つ目の記事:源泉徴収の対象となる対価の支払いとは?こんなときは源泉徴収が必要です!
3つ目の記事:源泉徴収税額はいくらにすべき?支払う対価の種類によって金額は変わります
4つ目の記事:報酬の源泉徴収税額はいくらにすべき?
まとめ記事:源泉徴収のまとめ記事。徴収した税額はいつまでに納付しないとダメ?

【前提】源泉徴収制度ってどんな制度?

本題に入る前に、まずは「源泉徴収ってそもそもなんであんの?」という話からしておきましょう。

我々国民はみんな納税の義務を負っていますが、
所得税では、我々自身がいくら税金を払うかを計算して、それを申告して国に納付するのが原則です。
(これを「申告納税制度」と呼んでいます。)

ただ、所得税について完全にこの方法だけにしてしまうと、

・サラリーマンも含めたすべての方が確定申告をしなくちゃいけなくなる(確定申告の時期は今以上に混乱すること必至!)
・取りっぱぐれがとてつもなく増えそう?(+それを捕捉するのも大変)

など、運用上のデメリットが大きいので、
給与や報酬など、一部のお金のやりとりについては、その支払いの際に、支払いをする人が仮払いの所得税(源泉所得税)を徴収して国に納付し、支払いを受ける人はその残額のみを受け取ることになっています。

これが「源泉徴収制度」です。

ちなみに、支払いをする人が差し引いた源泉所得税は、原則、給与や報酬を実際に支払った月の翌月10日までにひと月分をまとめて納付しなければいけません。

ただ、これを半年に1回に出来る特例もあります。
(詳しくは「源泉徴収のまとめ記事。徴収した税額はいつまでに納付しないとダメ?」という記事で紹介しています)

源泉徴収は原則「支払いをする人すべて」が行う

上を踏まえて、本題である「誰が源泉徴収しなきゃいけないの?」という話に移ります。

この源泉徴収は、原則、給与や報酬などの支払いをするすべての人が行う義務があります。
個人、法人、特定の団体、官公庁問わずです。

え?でも私が税理士に相続税の申告報酬を支払ったときは源泉徴収なんてしてないけど??

 
そう思われた皆さん、ご安心下さい(^^)
あくまでも「原則」なので、以下に該当する方は源泉徴収をする必要はないとされています。

個人は全員が対象ではありません

国税庁のHPにこんな文言が挙がっています。

個人のうち次の二つのいずれかに当てはまる人は、源泉徴収をする必要はありません。

(1) 常時2人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与や退職金を支払っている人
(2) 給与や退職金の支払がなく、弁護士報酬などの報酬・料金だけを支払っている人(例えば、給与所得者が確定申告などをするために税理士に報酬を支払っても、源泉徴収をする必要はありません。)

引用元:No.2502 源泉徴収義務者とは|国税庁

給与や退職金を支払っていない個人は源泉徴収不要!

つまり、個人で

・家のお手伝いさんにだけ給与や退職金を払っている。
または
・給与や退職金自体誰にも払っていない。

人は、いくらどんな目的で税理士などに報酬を払おうが、それに対して源泉徴収をする必要はありません。

逆に言うと、
個人であっても誰かに給与や退職金を支払っている人は、
その給与や退職金自体に源泉徴収税額があろうが無かろうが、
税理士などに支払う報酬について源泉徴収をする必要があります。

青色事業専従者給与を払っている方はもちろん源泉徴収が必要です

ここで言う「給与」には、配偶者や家族に支払う「青色事業専従者給与」ももちろん含まれます。

上に書いているとおり、誰かに給与を支払っている人はその給与自体に源泉徴収税額があろうが無かろうが源泉徴収をする必要があります。

家族1人に対する毎月の専従者給与の支給額が88,000円未満の方は、その給与から源泉徴収をする必要はありません。
でも、「誰かに給与を支払っている」という事実は変わりないので、他に税理士などへの報酬の支払いがある場合には、その報酬に対して源泉徴収をする義務が生まれます。

ここ、専従者給与を支給されている方は忘れがちな点ですので気を付けましょう!

源泉徴収義務違反には利子+罰金のペナルティが

源泉徴収をしなかった場合や源泉徴収した税額の納付が漏れていた場合、源泉徴収義務者に対して次のようなペナルティ(利子+罰金)がかかります。

不納付加算税
加算税の一種で、源泉所得税に対してのみ設けられているものです。
納期限(原則翌月10日)に遅れた場合、納付額の5〜10%が加重されます。
ただし、期限から1ヶ月以内に納付して前科(?)も無い場合には免除されます。
延滞税
納期限の翌日から実際に納付した日までの日数に応じて課される利子です。

たとえ、相手から受け取った報酬の請求書に源泉所得税の記載が無かったとしても、自分自身が源泉徴収義務者である方は、報酬などを支払う際には源泉徴収をする必要があります。
そして、源泉徴収が漏れていたことによってペナルティを受けるのはあくまでも支払いをする側のみです。

報酬を請求する側も、相手が源泉所得税の徴収漏れを起こさないように、請求書を発行する際には相手が源泉徴収義務者にあたるかどうかの確認は忘れないようにしたいものですね。

次の記事では、この記事を踏まえて、
「どんな種類の金品のやり取りについて源泉徴収をしなければいけないのか」
について見ていきます。

【源泉徴収関連の記事一覧】
初回の記事:源泉徴収義務者とは?源泉徴収すべき人の決まりを解説します(←今はここ)
2つ目の記事:源泉徴収の対象となる対価の支払いとは?こんなときは源泉徴収が必要です!
3つ目の記事:源泉徴収税額はいくらにすべき?支払う対価の種類によって金額は変わります
4つ目の記事:報酬の源泉徴収税額はいくらにすべき?
まとめ記事:源泉徴収のまとめ記事。徴収した税額はいつまでに納付しないとダメ?

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