使用貸借とは。賃貸借との違いや相続税評価の方法を解説します

「使用貸借」とは、どんな状態の貸し借りのことを言うんでしょうか?

一般的によく使われる「賃貸借」と違って、あまり馴染みのないこの言葉。

『貸借』と付くぐらいなので多分貸し借りのことを指してるんやろうけど、詳しくはよくわかんない。」
という方も多いのではないかと思います。

そこで今日は、この「使用貸借」という法律行為を掘り下げてみます。

この記事の運営元:京都市左京区の尾藤武英税理士事務所
元税理士試験受験予備校「相続税法」講師が運営する税理士事務所です。
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使用貸借=無償でモノの貸し借りをすること

「使用貸借」とは、民法で規定されている法律行為のひとつです。
そこに何と書かれているのかというと、

使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
(民法第593条)

つまり、使用貸借とは、タダで目的物を貸し借りすることを言います。

「返還することを約して相手方から〜」などとうじゃうじゃ書いてありますが、これは
「貸し借りなのであくまでも『返すことが前提』だよ」ってことです。
返さなかったら単なる贈与(あげる・もらう)になっちゃいますもんね。

賃貸借との違いはどこ?

では、賃貸借との違いはどこにあるんでしょうか。
これも、民法でのそれぞれの表現を並べてみればよくわかります。

  • 賃貸借
    賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
    (民法第601条)

  • 使用貸借
    使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
    (民法第593条)

貸し借りするにあたって賃料のやり取りがあるのが賃貸借で、それが無いのが使用貸借です。
とてもわかりやすい関係ですね!

維持管理費用の負担は「賃料」にはあたりません

ちなみに、ここで言う「賃料」には、借りているモノの維持管理などに必要な費用の負担は含みません。
具体的には、土地や建物を借りていて、その土地や建物に対して毎年かかってくる固定資産税に相当する金額だけを貸主に払っているような場合です。

この場合、借主は貸主に対してお金を払ってはいるものの、
それは単に維持管理費用を負担しているだけで、借りていることへの対価を払っているわけではありません。
なので、こういったお金のやり取りしかない場合も法律上は「使用貸借=タダ貸し、タダ借り」の範囲に含まれます。

使用貸借している不動産の相続税評価の考え方とは?

この使用貸借は、相続税や贈与税を計算する際の財産評価(=相続税評価)でもよく出てくる話です。

相続税評価では、不動産(土地や建物)の貸し借りがあった場合、
貸し手側・借り手側、それぞれが一定の割合でその不動産に対して権利を持っていると考えます。

では、その貸し借りの形が使用貸借の場合はどうなるでしょうか?
たとえば、「親が持っている土地を子供がタダで借りて、その上に子供名義のマイホームを建てる」という場合です。

マイホームを土地から買うとなると子供にかなりの資金力が必要ですから、
親が持っている土地を子供のマイホームの敷地としてタダで使わせてあげる、というのはよくある話ですよね。
こうした親子間の土地の貸し借りは、まさに上で見てきた使用貸借に該当します。

貸し手側・借り手側それぞれどれだけの権利を持つ?

この場合、
「貸し手側:親」「借り手側:子供」はそれぞれこの敷地に対してどれだけの権利を持つと考えるんでしょうか?

考え方は↓こうです。

賃料という対価の支払いが無い以上、借り手側にはなんの権利もなく、貸し手側が100%その不動産の権利を持っていると考える。

つまり、親が子にマイホームの敷地を使用貸借させている場合、

  • 貸し手側(親):敷地の100%の権利を持つ(=自用地として評価する)
  • 借り手側(子):敷地に対しては一切の権利を持たない(=敷地について、子の財産として評価できるものは何もない)

と考えます。

まとめ

以上、この記事では、

  • 使用貸借とはどのような法律行為か
  • 使用貸借している場合の相続税評価の考え方はどうなるか

について確認してきました。

ポイントは以下の2点です。

  • 賃料無しで目的物を貸し借りすることを「使用貸借」という
  • 使用貸借の場合、相続税評価では借り手側の権利は無い(貸し手側が100%権利を持つ)と考える

賃貸借(賃料ありの不動産の貸し借り)の場合とは取り扱いが大きく変わりますので、お間違えのないように!

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AUTHORこの記事を書いた人

京都市左京区で開業している税理士です。元税理士試験受験予備校「相続税法」講師。相続税に強く、クラウド会計に特化した税理士として活動中。
「専門用語をなるべく省いたわかりやすい説明」と「税理士が直接お客様に全てのサービスを提供すること」を大切にしています。
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