使用貸借とは?賃貸借との違いはどこにある?

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京都市左京区で開業している税理士です。元税理士試験受験予備校「相続税法」講師。相続税に強く、クラウド会計に特化した税理士として活動中。
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「使用貸借」とは、どんな状態の貸し借りのことを言うんでしょうか?

一般的によく使われる「賃貸借」と違って、あまり馴染みのないこの言葉。

「『貸借』と付くぐらいなので多分貸し借りのことを指してるんやろうけど、詳しくはよくわかんない。」
という方も多いのではないかと思います。

そこで今日は、この「使用貸借」という法律行為を掘り下げてみます。

法律ではこう言っています

「使用貸借」とは、民法で規定されている法律行為のひとつです。
そこに何と書かれているのかというと、

使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

つまり、タダで目的物を貸し借りすることを使用貸借と呼びます。
「返還することを約して相手方から〜」などとうじゃうじゃ書いてありますが、これは「貸し借りなのであくまでも返すことが前提だよ」ってことです。
返さなかったら単なる贈与ですもんね。

賃貸借と何が違うの?

では、賃貸借との違いは何なんでしょうか。
民法でのそれぞれの表現を並べてみればよくわかります。

「賃貸借」
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

「使用貸借」
使用貸借は、当事者の一方が無償で使用及び収益をした後に返還をすることを約して相手方からある物を受け取ることによって、その効力を生ずる。

貸し借りするにあたって賃料のやり取りがあるのが賃貸借で、それが無いのが使用貸借です。
とてもわかりやすい関係ですね!

維持管理費用の負担は「賃料」にはあたらない

ちなみに、ここで言う「賃料」には、借りているモノの維持管理などに必要な費用の負担は含みません。
具体的には、土地や建物を借りていて、その土地や建物に対して毎年かかってくる固定資産税相当額だけを貸主に対して払っているような場合ですね。

確かにお金は払っていますが、維持管理費用などの負担は「借りていることに対する対価」を払っているわけではないので、これらのお金のやり取りだけがある場合も「タダ貸し、タダ借り」の範囲に含まれます。

財産評価での考え方

この使用貸借は、相続税や贈与税を計算する際の財産評価でもよく出てくる話です。

たとえば、「親が持っている土地の上に子供が家を建てて、でも地代は払っていない」というケース。

土地から家を買うとなると子供にかなりの資金力が必要ですから、親が余っている土地を子供の家の敷地としてタダで使わせてあげる、というのはよくある話ですよね。
こういった親子間の土地の貸し借りはまさに上で見てきた使用貸借に該当します。

では、こういった場合、
「貸し手側:親」と「借り手側:子供」はそれぞれ土地に対してどれほどの権利を持つことになるんでしょうか?
答えはこうなります。

貸し手側:宅地の更地の評価額の100%を持つ(=自用地評価)
借り手側:ゼロ(評価すべき権利は無し)

賃料という対価の支払いが無い以上、借り手側にはなんの権利も発生しませんし、逆に貸し手側も自分が元々持っている権利が減ることはありません。
今見ている例でいくと、親が土地の全ての権利を持って、子供は土地については一切権利を持たないことになります。

では、こんな場合はどうなる?

ちなみに、自分の土地の上に家を建ててその家を他人に貸した場合には、

・土地は貸家建付地として評価
・家は貸家として評価

をしていきました。
これは「貸家建付地とは?上にある建物を賃貸している場合の宅地の相続税評価」という記事の復習です。

では、似たようなケースとして、

1 自分の土地を子供にタダで貸して、
2 その土地の上に子供が家を建てて、
3 子供がその家を他人に貸した場合、

親と子供、それぞれの権利の評価はどうなるでしょうか?
正解は、

・親:土地は自用地評価
・子供:土地の権利はゼロ、家は貸家として評価

となります!
一瞬ややこしく感じますが、これも土地と家と、それぞれの財産ごとに取り引きを見ていけば明快ですね。

・親と子供の間の土地の貸し借り→使用貸借なので貸し手が100%権利を持つ。
・子供と他人の間の家の貸し借り→賃貸借なので貸し手が70%、借り手が30%権利を持つ。(ただし、借り手側の権利は評価しない)

これをイメージにすると↓こうなります。
自用地評価と貸家のイメージ図

まとめ

この記事では、使用貸借についていろいろと確認してきましたが、ポイントは2点です。

・タダで目的物を貸し借りすることを「使用貸借」という
・使用貸借の場合、財産評価では借り手側の権利は無い(貸し手側が100%権利を持つ)と考える

これらをしっかりと押さえて下さい!

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