相続税の計算の流れとは。「相続税の申告書第1表」で確認します

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最近、相続税の試算のご依頼を頂く機会が増えています。
そこで皆さん一様に驚かれるのが、ご自身の中で想定されていた相続税額と試算結果との乖離です。

先日ご相談に来て頂いた方も、

「ウチの親がある程度財産を持っていることは知っていたけど、それに対してこんなに相続税がかかってくるとは思わなかった。」

と驚かれていました。

去年の1月1日以後開始の相続からは、相続税の基礎控除額がそれまでの6割に引き下げられていますが、試算や申告書の作成をしていても、この基礎控除額の引き下げというのは、単純に課税される金額が増えること以上に税額への影響が大きいなと感じています。

敵(?)を攻略するにはまずは敵を知らなければいけません。
そこで今日からは数回に分けて、相続税の計算方法を確認していきます。

まず今日は、実際の申告書の様式を紹介しながら、相続税の計算のおおまかな流れ、「相続税の計算方法のキホンのキ」を掴んで頂きます。

これが「相続税の申告書第1表」です

ここでご登場頂くのが本日の主役、「相続税の申告書 第1表」です。

実際の申告ではこれ以外にもたくさんの書類を出していくんですが、それらの書類の表紙的な位置付けにあたるのがこの「第1表」です。
ここに数字が入ることによって、亡くなった方(被相続人)がどれだけの財産を残して、結果、どれだけ相続税がかかるのかが一覧で確認出来ます。

これを見ながら、相続税の計算の流れを確認していきましょう。

大きく分けて3つの流れがある

上の申告書の表の中で、左端の方にタテ軸で「課税価格の計算」「各人の算出税額の計算」「各人の納付・還付税額の計算」という3つの文章があるのがわかるでしょうか?

相続税の計算には大きく分けるとこれら3つの流れがあります。

手順1:「課税価格の計算」=被相続人が遺した財産のうち相続税の課税の対象になるものの金額(「相続税の課税価格の合計額」)を求める。

手順2:「各人の算出税額の計算」=手順1で求めた金額をもとに、各人別の相続税の税額を求める。

手順3:「各人の納付・還付税額の計算」=手順2で求めた税額について各人の置かれた状況に応じて微調整を行い、最終的な納付税額を求める。

それぞれを順に確認しましょう!

手順1:課税価格の計算

ここでの手順で、まずは被相続人がどれだけの財産を遺して、結果、どれだけの金額が相続税の課税の対象になるのかを求めていきます。

マル1には不動産や株式、現預金などのプラスの財産の金額が入ります。
生前に贈与を受けていた財産について相続税の課税対象になるものの金額は、暦年贈与はマル5、精算贈与はマル2に入る形で加算されます。
また、借入金や未払いの税金など、亡くなった時点で被相続人が負っていた債務や、葬儀費用の金額はマル3に入って控除されます。

これらの加減算の結果、最終的に残った正味の財産の金額をマル6に入れます。
これでまずは相続税の課税の対象になる金額が出ました。
(これを「相続税の課税価格の合計額」と呼んでいます。)

手順2:各人の算出税額の計算

手順1で求めた金額を踏まえて、次はその財産の金額に対する税額を求めていきます。

まずは、ここまでは税金がかかりませんよ、という「遺産に係る基礎控除額」を求めます。
求め方は「3,000万円+600万円×相続税法で定める相続人の数」です。
相続人が妻と子供2人の場合、3,000万円+600万円×3人で4,800万円が基礎控除額となります。(平成26年以前はここが8,000万円でした。)

次に、マル7に入る「相続税の総額」を求めます。

相続税の計算で特徴的なのはこのマル7に入る数字の求め方なんですが、具体的な計算は「第2表」で行いますので、ここではその「第2表」で出した数字を入れるだけです。
「第2表」でどんな計算をするのかについては、触れ出すと記事が長くなるので「相続税の総額の計算方法とは。「相続税の申告書第2表」で確認します」という記事で改めてネタにしています。

マル7には、手順1で求めた課税対象額全体に対する相続税額が入ることになります。

次に、財産を取得した各人のそれぞれの取得割合を求めて(マル8。全体のうち半分を取得していたら0.50、1/4なら0.25など)、その割合をマル7の税額にかけることで、マル7の税額を各人が取得した財産の割合に応じて割り振ります。(マル9)

こうしてマル9に割り振られた税額が、財産を取得した各人の納付税額の基礎になります。

また、配偶者や一親等血族以外の方は大半が「相続税額の2割加算」の対象となるので、これらの対象の方はマル11でその税額を加算します。

手順3:各人の納付・還付税額の計算

ここは欄が縦に長くて見た目ややこしそうですが、配偶者だ、とか、生前に受けた贈与について贈与税を払っていた、などの特別な事情が特に何も無ければ、マル9に入っている税額をそのままマル19とマル22とマル27に下ろしてくるだけです。(マル27は百円未満切捨後の数字を記入)

よく知られている「配偶者の税額軽減」(マル13)や「贈与税額控除」(暦年贈与はマル12、精算贈与はマル20)などはこの手順の中で控除していきます。

また、マル21や23から26は事業をされている方が特殊な計算をする際に記入していく欄です。
事業をされていない一般の方の申告では関係ありません。

こうしてマル27の欄に入ってきた金額が、その人が払わなければいけない最終的な納付税額となります。
お疲れ様でした(^^;

補足事項

ちなみに、被相続人が遺した宅地に対して適用のある「小規模宅地等の減額」の規定や、生命保険金や退職手当金の非課税の規定は、マル1の金額を計算する過程で考慮されます。

また、今年の1月1日以後に発生した相続の申告書には財産を取得した各人のマイナンバーを記載していかなければいけませんが、マイナンバーの記入欄が設けられた今年版の申告書の様式はまだ公表されていません。
今回の記事は昨年版の様式を用いていますが、今年版の様式はここに挙がっているものから若干の変更があることをお知り置き下さい。

以上、相続税の計算のおおまかな流れをざっと確認しました。
次回の記事では前述のとおり、マル7の欄に入れる「相続税の総額」の計算方法を見ていきます。

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AUTHORこの記事を書いた人

京都市左京区で開業している税理士です。元税理士試験受験予備校「相続税法」講師。相続税に強く、クラウド会計に特化した税理士として活動中。
「専門用語をなるべく省いたわかりやすい説明」と「税理士が直接お客様に全てのサービスを提供すること」を大切にしています。
この記事は、投稿日現在の法律・状況などに基づいて書いています。
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