特例贈与財産とは?新設された贈与税の「特例税率」を解説します

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特例贈与財産欄と一般贈与財産欄

今週の月曜日(平成28年2月1日)から、平成27年分の贈与税の申告書の受付が始まっています。
平成27年分の贈与税の申告からは、変更されたり新たに加わっている取り扱いがいくつかあります。

その中でも最も注意なのは贈与税の税率です。

平成27年分からは、その年の1月1日現在で20歳以上の方が直系尊属(父母、祖父母、曽祖父母など)から一定額以上の財産を貰った場合、贈与税率の軽減が受けられることとなりました。

つまり、贈与税の税率は現在は2種類あるということです。

今日はこの2種類の贈与税の税率について詳しく解説してみます!

この記事では、贈与税の通常の計算(「暦年課税」)における税率について触れています。
(贈与税のもう1つの計算方法である「相続時精算課税」については省略します。)

そもそも贈与税ってどんな税金?

本題に入る前に、まずは「贈与税っていったいどんな税金?」という話を軽くしておきます。

贈与税というのは、

生きている人からタダで財産を貰った場合に、その財産を貰った人にかかる税金

です。

財産を貰った人単位で、

  • 1/1〜12/31の間に全ての人から貰った財産の金額の合計が110万円(基礎控除)を超える場合
  • に、

  • その超える部分の金額に対して

贈与税がかかります。

関連記事

詳しくは↓こちらの記事で解説しています。
贈与税ってどんな税金?贈与税の「キホンのキ」をご紹介!

今日の内容は
「その『超える部分の金額』に対してどれだけの割合の贈与税がかかってくるの?」
ということです。
現在、その種類は2つあります。

2つの税率をそれぞれ紹介します!

ではその「2つある」という贈与税の税率をそれぞれ紹介していきましょう。

一般税率(高い方)=以前からあったもの

まずは、昔からずっと使ってきた方の税率です。
(今回の改正で1,000万円超の税率が一律50%→3段階に変更になっています。)
今はこれを「一般税率」と呼んでいます。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
200万円超 300万円以下 15% 10万円
300万円超 400万円以下 20% 25万円
400万円超 600万円以下 30% 65万円
600万円超 1,000万円以下 40% 125万円
1,000万円超 1,500万円以下 45% 175万円
1,500万円超 3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

こちらは下の「特例税率」が使えない場合に使っていく率です。(具体的な話は後述)

特例税率(安い方)=今回新設されたもの

そして、今回新しくできたのがこの「特例税率」です。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
200万円超 400万円以下 15% 10万円
400万円超 600万円以下 20% 30万円
600万円超 1,000万円以下 30% 90万円
1,000万円超 1,500万円以下 40% 190万円
1,500万円超 3,000万円以下 45% 265万円
3,000万円超 4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

こちらの税率は

  • その年の1月1日現在で20歳以上の人が
  • 直系尊属(父母、祖父母、曽祖父母など)から財産を貰った場合

に使える率です。
使える場面が限定されているので、名前も「特例」税率となっています。

2つの税率の違いは?

2つの税率の違いをわかりやすくするために、税率にフォーカスした表を作ってみました!

基礎控除後の課税価格 特例税率 一般税率
200万円以下 10% 10%
200万円超 300万円以下 15% 15%
300万円超 400万円以下 15% 20%
400万円超 600万円以下 20% 30%
600万円超 1,000万円以下 30% 40%
1,000万円超 1,500万円以下 40% 45%
1,500万円超 3,000万円以下 45% 50%
3,000万円超 4,500万円以下 50% 55%
4,500万円超 55%

「特例税率」のオイシイ部分を赤字にしています。
税率の区分は10%〜55%の8段階で変わりませんが、「特例税率」の方が上がり方が少し緩やかですよね。

「一般税率」だと基礎控除後の課税価格が300万円(=基礎控除前だと410万円)を超えてくると税率が1段階上がりますが、「特例税率」の場合はそれが400万円(=基礎控除前だと510万円)になっています。

基礎控除後の課税価格が300万円超〜4,500万円以下の場合、通常よりも低い税率で贈与税を計算することができる、という仕組みです。

特例税率の適用条件を整理!

と、ここでどんな場合に「特例税率」が使えるのかをもっと詳しく見ていきましょう。

上にも書いたように、「特例税率」は

  • その年の1月1日現在で20歳以上の人が
  • 直系尊属(父母、祖父母、曽祖父母など)から財産を貰った場合

にのみ使える率で、それ以外の贈与で貰った財産は全て「一般税率」で贈与税を計算します。

つまり、↓このような場合は全て「一般税率」しか使えません。

【特例税率が使えない=一般税率で計算する場合】

  • 20歳未満の人が財産を貰った場合
  • 配偶者の父母(義父、義母)から財産を貰った場合
  • 配偶者、兄弟、子供、孫から財産を貰った場合

など、「特例税率」の要件に当てはまらないもの

この辺りは結構勘違いが生じやすいところかと思われますので、しっかりと押さえておきたいところですね。

養子でも特例税率は使えます

ちなみに、ここで言う「直系尊属」には養親ももちろん含まれます。

つまり、

  • 20歳以上の養子が養親やその親から財産を貰った場合
  • にも特例税率は使えます。

    ただし、そうであっても、

  • 養子縁組前(他人の状態のとき)にも財産を貰っていたとき

には、その時点ではまだ直系尊属・卑属の関係では無いので、その財産に対しては特例税率は使えませんので要注意です。

実際の贈与税はどれぐらい違う?

「表を見ただけじゃあ具体的にどれぐらい違うのかよーわからん!」
と感じられていると思いますので、ここでひとつ具体例を出してみましょう。

1人の人が年間で貰った財産の金額が1,000万円だとすると、

【一般税率で計算した場合】
(10,000,000円-1,100,000円)×40%-1,250,000円=2,310,000円

【特例税率で計算した場合】
(10,000,000円-1,100,000円)×30%-900,000円=1,770,000円

と、「特例税率」で計算した方がなんと54万円も贈与税が安くなります。

54万円は大きいですよねー。
貰った金額が大きければ大きいほど、この差も大きくなっていくイメージです。

関連記事

より複雑な計算パターン(特例税率と一般税率の両方を使って贈与税の計算をする場合)は以下の記事でまとめています。
特例税率と一般税率の両方を使う場合の贈与税の計算方法

特例税率で計算するなら添付書類(戸籍謄本)の提出が必要です

税務署への手続の話にも触れておくと、
「特例税率」で贈与税を計算した場合には、申告書を出す際に

  • 自分が20歳以上で
  • かつ、

  • 直系尊属から贈与を受けた

ことを証明する書類(具体的には、申告をする方などの戸籍謄本)の添付が必要です。

特例を受けたければ
「自分はこの人とちゃんと血が繋がってますよ〜。」
ということを証明しろってことですね。

上でも紹介したとおり、「一般税率」と「特例税率」で違いが出るのは基礎控除後の課税価格が300万円(=基礎控除前だと410万円)を超えた場合です。
つまり、基礎控除後の課税価格が300万円以下の場合には、税率は変わらないので戸籍謄本の添付も不要となります。

特例贈与財産・一般贈与財産って何?

ちなみに、

  • 一般税率で贈与税の計算をする財産のことを「一般贈与財産」、その対象となる贈与のことを「一般贈与」

  • 特例税率で贈与税の計算をする財産のことを「特例贈与財産」、その対象となる贈与のことを「特例贈与」

とそれぞれ呼んでいます。

これらの用語は贈与税の申告書を書くときに意識しなければいけないものです。
贈与税の申告書では、「特例贈与財産分」「一般贈与財産分」と、使っていく税率に応じて欄が2つに分かれています。
贈与税の申告書

特例税率で贈与税の計算をするなら「特例贈与財産分」の欄一般税率で計算するなら「一般贈与財産分」の欄をそれぞれ埋める必要がありますのでご注意を!
申告書のイメージだと↓こうなります。
特例贈与財産分と一般贈与財産分で分ける!

…てか、いつも思うんですが、相続税法ってこうした仰々しい名前の規定が多すません??

「特定贈与財産」とか「特定事業用資産の減額(今は無い規定です)」とか、わざわざわかりにくい名前が付いている規定がたくさんあることが私の受験生時代の相続税法嫌いを加速させていたことは間違いありません(^^;

まとめ 2つの税率があることを意識しよう!

というわけで、この記事では、現在の贈与税の税率について紹介してきました。

今は贈与税の税率は2種類あって、
財産を貰った人とあげた人がそれぞれどんな人たちなのか
によって使える贈与税の税率が変わる、ということでした。

税率が安い「特例税率」を使えるのは

  • その年の1月1日現在で20歳以上の人が
  • 直系尊属(父母、祖父母、曽祖父母など)から財産を貰った場合

のみで、これに当てはまらないものは全部「一般税率」で計算をしなければいけません。

申告書を作る際は、ご自身がどちらの税率で計算できるのかを必ず意識するようにしてください!

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AUTHORこの記事を書いた人

京都市左京区で開業している税理士です。元税理士試験受験予備校「相続税法」講師。相続税に強く、クラウド会計に特化した税理士として活動中。
「専門用語をなるべく省いたわかりやすい説明」と「税理士が直接お客様に全てのサービスを提供すること」を大切にしています。
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