令和5年7月3日(月)、相続税や贈与税の計算で用いる令和5年(2023年)分の路線価が国税庁の財産評価基準書のページで公開されました。
3日公表されたことしの路線価では、京都府内の7838地点の平均が去年と比べて1.3%上昇しました。
引用元:府内の路線価平均は2年連続上昇 マンション需要の高まりなど|NHK 京都府のニュース(リンク切れ)
とあるように、主に京都市内の商業地で昨年からの上昇が目立つ結果となりました。
この記事では、私が事務所を構える京都市内の主要4地点および特徴的な動きを見せた大阪、東京各1地点の路線価の動向を、
過去5年分の路線価の推移を交えつつ紹介します。
この記事を書いた人
過去に税理士試験の大手予備校で相続税を教えていた経験から、相続税が専門分野。
事務所開業以来、相続税や贈与税の申告、相続税対策、相続税贈与税をテーマとした研修会の講師など、相続税に関する業務を多数行っています。
詳しいプロフィール(経歴や活動実績など)
相続税・贈与税のサービス・料金
当ブログの運営目的は一般の方への正しい情報の提供です。
同業者等メディア運営者においては以下のページ記載の注意事項を遵守いただくようお願いします。
ブログ運営ポリシー(執筆編集方針、著作権保護のためのプラグインの使用etc.)
このページの目次
令和5年路線価発表!京都の主要地点の路線価の傾向は?
京都市下京区四条通寺町東入2丁目御旅町
まず紹介するのは、京都府下で32年連続路線価1位の京都市下京区四条通寺町東入2丁目御旅町。
京都で一番の商業地・四条河原町の交差点の北西角。某銀行がある建物の前の道路です。
こちらの路線価は1平方メートルあたり697万円でした。
前年比で3.6%のプラスです。
過去5年の路線価の推移をまとめると↓こうなります。
(スマホの方は右にスクロールさせて見てください)
- | H31/R1 (2019) |
R2 (2020) |
R3 (2021) |
R4 (2022) |
R5 (2023) |
路線価 | 5,700,000円 | 6,730,000円 | 6,530,000円 | 6,730,000円 | 6,970,000円 |
前年からの 変動率 |
+20.0% | +18.1% | ▲2.9% | +3.0% | +3.6% |
2年連続の上昇で、路線価だけで見るとコロナ前を上回ったことになります。
京都市東山区祇園町北側
京都市内の商業地でもう1つ取り上げるのが、このサイトの別記事でも定点観測を続けている京都市東山区祇園町北側。
上の場所から四条通りを東へ行った、祇園の交差点の手前。
八坂神社の目の前で、コロナ前にはいかにもインバウンド景気に沸いていたであろう場所です。
こちらの路線価は1平方メートルあたり272万円。
前年の横ばいから一転、今年は6.3%の上昇でした。
- | H31/R1 (2019) |
R2 (2020) |
R3 (2021) |
R4 (2022) |
R5 (2023) |
路線価 | 2,240,000円 | 2,800,000円 | 2,560,000円 | 2,560,000円 | 2,720,000円 |
前年からの 変動率 |
+43.6% | +25.0% | ▲8.5% | ±0.0% | +6.3% |
上の地点よりもインバウンド景気の影響がある分回復は遅いですが、
それでも、コロナ前の水準に戻りつつあります。
京都市右京区西院高山寺町
今年の京都の路線価で特徴的だったのが、意外な場所の路線価の上昇です。
それが、京都市右京区西院高山寺町。
阪急西院駅西改札口の真ん前・西大路四条交差点の南西側です。
こちらの上昇率10.8%は京都府下はおろか、大阪国税局管内の2府4県でもトップとなりました。
過去5年間の推移は↓こんな感じです。
- | H31/R1 (2019) |
R2 (2020) |
R3 (2021) |
R4 (2022) |
R5 (2023) |
路線価 | 680,000円 | 730,000円 | 720,000円 | 740,000円 | 820,000円 |
前年からの 変動率 |
+17.2% | +7.4% | ▲1.4% | +2.8% | +10.8% |
その原因ですが、
西院駅の周辺では、都市計画が見直され、高さ制限が緩和されている。
西院駅周辺では、西京極にかけてのエリアで建物の高さ制限が20mから31mに緩和されていて、
これが土地の値段にも影響を与えているようです。
京都府下の商業地の路線価は前年比2.5%増で推移
京都府の発表によると、今年の商業地の地価は
- 京都府全体で前年比2.5%増(前年は0.5%増)
- 京都市全体で同3.3%増(同0.7%増)
-
京都市中心5区(左京、北、上京、中京、下京)で同3.4%増(同1.3%増)
と、微増だった昨年を上回る上昇を見せています。
京都市上京区室町通下立売上る勘解由小路町
一方、住宅地はどうなんでしょうか。
次に紹介するのは、京都府下の住宅地で8年連続路線価1位となった京都市上京区室町通下立売上る勘解由小路町(かげゆこうじちょう)です。
京都府庁と烏丸通りのちょうど間ぐらいの場所ですね。
こちらの路線価は1平方メートルあたり53万円でした。
前年比わずか1万円のプラスとなります。
- | H31/R1 (2019) |
R2 (2020) |
R3 (2021) |
R4 (2022) |
R5 (2023) |
路線価 | 470,000円 | 500,000円 | 510,000円 | 520,000円 | 530,000円 |
前年からの 変動率 |
+9.3% | +6.3% | +2.0% | +1.9% | +1.9% |
コロナ禍以降、刻むように1万円づつ値を上げていて、その流れは今年も継続となりました。
京都の住宅地の路線価も微増傾向
京都府の発表によると、今年の住宅地の地価は
- 京都府全体で前年比0.7%増(前年は0.1%増)
- 京都市全体で同1.2%増(同0.5%増)
-
京都市中心5区(左京、北、上京、中京、下京)で同1.4%増(同0.7%増)
と、こちらも昨年を上回る上昇を見せています。
元々住宅地は商業地ほど派手な値動きは見せないので、引き続き堅調に推移、という感じでしょうか。
大阪ミナミの下落はようやくストップ
次は、京都を離れて関西全体に目を移してみます。
といっても、半ば野次馬的な目の向け方ですが…。
3年前に「コロナが無ければ来年はここが近畿圏路線価ナンバーワンかも!?」と紹介した大阪市中央区心斎橋筋2丁目(心斎橋筋)。
グリコの看板でおなじみの戎橋の北側に位置する場所です。
こちら、コロナの影響で一昨年はもちろん、昨年も引き続き大幅に下落。
今年はどうなったのかというと…?
- | H31/R1 (2019) |
R2 (2020) |
R3 (2021) |
R4 (2022) |
R5 (2023) |
路線価 | 14,880,000円 | 21,520,000円 | 15,840,000円 | 14,160,000円 | 14,160,000円 |
前年からの 変動率 |
+25.7% | +44.7% | ▲26.4% | ▲10.6% | ±0.0% |
昨年と同じ1平方メートルあたり1,416万円と、下落傾向になんとか歯止めがかかりました。
インバウンドの影響をより受けていた分、2つ目に紹介した祇園町よりも回復は遅めですが、
その景気も戻りつつある中、今後どのような動きを見せていくのか注目です。
路線価全国1位は38年連続で東京銀座の鳩居堂前
最後に紹介するのは、全国で最も路線価が高かった場所、中央区銀座5丁目(銀座中央通り)です。
「銀座の鳩居堂前」としてすっかりおなじみの場所で、38年連続日本一!とのこと。
こちらの路線価は1平方メートルあたり4,272万円。
もし200㎡の土地を持っているとしたら、単純計算で85億4,400万円!
こちらの過去5年間の路線価の推移も紹介しておきましょう。
- | H31/R1 (2019) |
R2 (2020) |
R3 (2021) |
R4 (2022) |
R5 (2023) |
路線価 | 45,600,000円 | 45,920,000円 | 42,720,000円 | 42,240,000円 | 42,720,000円 |
前年からの 変動率 |
2.9% | 0.7% | ▲7.0% | ▲1.1% | +1.1% |
今年の路線価はちょうど2年前と同じで、まだコロナ禍前の水準には戻せていません。
背景には、インバウンド景気の消失に加えて、テレワークの浸透によるオフィス需要の低下があるとの報道もあります。
令和5年路線価発表のまとめ
ご覧いただいたように、京都市内の商業地の路線価はコロナ禍前の水準に回復してきているようですが、
全国的に見るとまだその影響がうかがえる場所も残っています。
来年にはどんな傾向を見せるのでしょうか。
路線価は全国どこでも閲覧できます【詳しくは別記事にて】
この記事で紹介したように、路線価は財産評価基準書という国税庁のページから全国どこでも好きな場所を見ることができます。
路線価図の調べ方(探し方)は「相続税路線価の調べ方ガイド【図でわかりやすく解説】」という記事で詳しく解説していますので、「自分で探してみたいな」という方は参考になさってください。
また、路線価図の見方についても「相続税路線価図の見方とは?数字や記号の意味を詳しく解説」という記事で詳しく解説しています。
以上、この記事では、私が事務所を構える京都市内の主要4地点および特徴的な動きを見せた大阪、東京各1地点の路線価の動向を、
過去5年分の路線価の推移を交えつつ紹介してみました!
令和5年分の大阪国税局各税務署管内の最高路線価|国税庁
【関連記事】
税理士試験の予備校で相続税を教えていた経験を活かし、わかりやすいアドバイスでお困りごとを解決します。
- 提供しているサービス
- 相続税や贈与税の申告が必要な方へ
相続税・贈与税の申告 - 将来どれぐらい相続税がかかるか知りたい・相続対策をしたい方へ
相続税シミュレーション(相続税対策) - 単発のご相談もお受けしています
単発スポット相談
- 相続税や贈与税の申告が必要な方へ
- 事務所の特徴(強みや大切にしていること)
- 研修動画販売(相続税)
セミナー研修講師や執筆のご依頼もお受けできます
2024年(令和6年)の京都の路線価の傾向は以下の記事でまとめています。
令和6年路線価 京都市内の傾向まとめ【2024年分路線価発表】