「路線価方式」で土地の相続税や贈与税を計算するときは必ず見ることとなる路線価図。
↓こんな見た目をしています。(私の事務所周辺の路線価図です)
この記事では、この路線価図の見方(路線価図から何がわかるのか)を画像を使ってわかりやすく解説します。
という方は是非参考にしてみてください!
- どんな土地で適用するのかや計算方法など、「路線価方式の基本」を解説しています。
相続税の路線価方式とは?市街地の宅地の計算方法を詳しく解説 - 路線価図の調べ方(探し方)を図を使って解説しています。
相続税路線価の調べ方ガイド【図でわかりやすく解説】
この記事を書いた人
過去に税理士試験の大手予備校で相続税を教えていた経験から、相続税が専門分野。
事務所開業以来、相続税や贈与税の申告、相続税対策、相続税贈与税をテーマとした研修会の講師など、相続税に関する業務を多数行っています。
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路線価図の見方【路線価、借地権割合、地区区分が読み取れる】
路線価図は上で紹介したように見た目は地図そのものです。
この路線価図には、「路線価方式」の計算に必要な↓以下の3つの情報がギュギュッと詰まっています。
以下、これらがどこから読み取れるのかを順番に見ていきましょう!
路線価はどこから読み取る?
まず、主役である路線価はどこから読み取れるのでしょうか?
上の路線価図の一部をもっと拡大してみましょう。
(私の事務所周辺にさらに寄ってみました(^^;)
縦方向や横方向に走っている道路に「330D」とか「340D」とかいう符号がついているのがわかります。
この符号の「330」「340」という数字の部分がその路線(道路)に付いている路線価です。
路線価は1㎡あたりの単価が千円単位で表示されています。
ということは、「330」なら1㎡あたり330,000円、「340」なら1㎡あたり340,000円だということになります。
A〜Gの記号は借地権割合を表している
では、「330」とか「340」の後についている「D」という記号は何を表しているのでしょうか?
これはその宅地の借地権割合を表しています。
借地権割合とは、宅地やその上にある建物を2者間で賃貸借していた場合に借り手側・貸し手側の権利を計算するときに使います。
この記号はA〜Gまで7種類あり、↓路線価図の上部にも凡例が載っています。
改めて表にまとめてみました。
(スマホの方は横にスクロールできます)
記号 | A | B | C | D | E | F | G |
借地権割合 | 90% | 80% | 70% | 60% | 50% | 40% | 30% |
記号Dは借地権割合が60%なので、この周辺は
- 宅地の借り手(借地権)=土地全体の60%の権利を持つ
-
宅地の貸し手(貸宅地)=土地全体の40%の権利を持つ
地域なんだ、ということがわかります。
借地権と貸宅地の詳しい計算方法は以下の記事で解説しています。
【借地権と貸宅地】賃貸借している宅地の相続税評価の方法
地区区分は記号から読み取る
また、路線価方式で計算するためには、土地の形状などに応じて正しい補正率を拾う必要があります。
そのために必要な情報が地区区分です。
私の事務所周辺の路線価図のアップをもう一度貼り付けてみます。
↓左で赤丸している路線価(330D)の周りにはマルの記号がついていますが、右で赤丸している路線価(340D)の周りには何もついていません。
これにもちゃんと意味があって、
これらの記号の種類からその土地がある場所の地区区分がわかります。
地区区分の凡例は路線価図に掲載されています
路線価図の左上には↓このように、地区区分の記号の凡例が載っています。
全7種類を表にまとめると↓このようになります。
ウチの事務所周辺の路線価図でもう一度確認すると、
左の「330D」の路線に接している土地は「普通商業・併用住宅地区」にあるものとして、
右の「340D」の路線に接している土地は「普通住宅地区」にあるものとして、それぞれ計算するぞ!ということです。
「全地域」「道路沿い」とは
ちなみに。
凡例をよく見ると、記号の中に黒塗りや斜線の部分があったり、その横に「全地域」や「道路沿い」などという文言がついてたりします。
これにも一応意味はあって、↓こんな定義がされています。
記号の上部又は下部(路線の向きによっては右又は左)が「黒塗り」又は「斜線」で表示されている路線の地区区分は、次のとおりです。
- 「黒塗り」の場合、その地区区分は「黒塗り」側の路線の道路沿いのみが該当します。
- 「斜線」の場合、その地区区分は「斜線」側の路線には該当しません。
「黒塗り」又は「斜線」ではない「白抜き」の場合、その地区区分はその路線全域に該当します。
引用元:路線価図の説明|国税庁
↓このように、1つの道路の上下それぞれに路線価がついている場合、
それぞれの路線価・借地権割合・地区区分は黒塗りされている側の道路沿いにのみに適用され、反対側(斜線が入っている側)には適用されません。
ただし、上図内の青字で書いているように、無印(白抜き)の場合はその路線の周囲全域に適用されます。
(普通住宅地区で黒塗りや斜線が入ることはありませんが。)
具体的にはどう計算する?【詳しくは別記事にて】
では、こうして拾った3つの要素を元にどう計算をするんでしょうか?
前提条件が↓以下のような土地がある場合
- 路線価は200,000円(1本の道路にだけ接している)
- 普通住宅地区に所在している
- 土地の面積は150㎡
- 土地の奥行距離は9m(奥行価格補正率0.97)
-
他人に貸している土地ではない(=借地権割合は使わない)
計算式は↓こうなります。
200,000円(路線価)×0.97(奥行価格補正率)×150㎡(地積)=29,100,000円
ザックリ計算ですが、こんなイメージを持っていただければ!
上の計算式の組み方など、路線価方式の計算方法のキホンは「相続税の路線価方式とは?市街地の宅地の計算方法を詳しく解説」をどうぞ。
路線価図の見方のまとめ
以上が、市街地にある土地の評価で欠かすことができない路線価図の詳しい見方です。
ここまでのまとめとして、路線価図から読み取れる3つの要素をもう一度リストアップしておきます。
路線価図を見る目的は、路線価方式で土地を計算するためにこれらを正しく読み取ることです。
見間違いの無いよう気を付けましょう!
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