ノマドなカフェ

「カフェで仕事」を経費にするなら知っておきたい確定申告の経費の基準

京都の下鴨という場所で税理士業を営んでいるびとうです。

今はココに事務所を移している私ですが、
以前は別の場所に事務所を置いていて、そのときはたま〜にカフェに行って仕事をしていました。

周辺には大手チェーン店こそ少ないものの、そこは某有名大学に隣接する学生の街。
いい味を出しているカフェがいくつもありましたので、場所を変えて仕事がしたいなぁと思った時などによく使わせて頂いてました。
ノマドなカフェ

あと、近頃は、特定のオフィスを持たずにor持っていたとしても職場以外の自由な場所で仕事をする、いわゆる「ノマドワーカー(nomad=英語で『遊牧民』を意味する)」と呼ばれる人も増えてきていますよね。

では、こういった人がカフェで仕事をした際に、そこで支払った飲食代は経費にできるんでしょうか?
…結論は、仕事のために使ったのであれば経費にしてOK!」です。

とまぁ、結論だけだと↑これで終わっちゃうんですが、
この記事では、せっかくなのでもうちょっと深いところ(コレコレこーゆー理由でOKなんですよ、という話など)を紹介してみます。

この記事を書いた人


税理士 尾藤武英
税理士 尾藤 武英(びとう たけひで)
京都市左京区下鴨で開業している税理士です。
税理士試験大手予備校の元講師で、事務所開業後は所得税などの研修会講師を数多く担当。
Macユーザーで、クラウド会計を活用したスモールビジネス支援にも力を入れています。
詳しいプロフィール(経歴や活動実績など)
提供サービス:個人の確定申告 / クラウド会計税務顧問

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そもそも確定申告における「経費」とは?

そもそも「経費」とはどういうものを指すのでしょうか。
我々はひと口に「経費」と呼ぶことが多いですが、税法上は「必要経費」と呼んでいます。

事業でのもうけの金額(=所得)を計算する上で何を必要経費とすべきかについては、所得税法で「原則以下の2つですよ!」と決まっています。

(1) 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2) その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

引用元:No.2210 やさしい必要経費の知識|所得税|国税庁

(1)はいわゆる売上原価=商品の仕入高を指しています。
小売業などをされている方にとっては切っても切り離せない費用ですね。

また、(2)の文章の一番最後にある
「その他業務上の費用の額」
をより条文に近い文章に置き換えると、
「その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額
となります。

簡単に言うと、「儲けるために使った金額」です。

実は、一般的な必要経費について条文で定めているのはたったのこれだけです。

業務上の費用ならカフェ代も経費にしてOK!

なので、カフェの場所代として支払ったコーヒー代も、それが「儲けるために使った金額」であれば必要経費に算入してOKだ、ということです。

所得税では、我々自身が自分でいくら税金を払うかを計算して、それを申告して国に納めるのが原則です。
(これを「申告納税制度」と呼んでいます。)
ですから、「この出費が経費に該当するかしないか」も我々自身で決めればいいんです。

つまり、もしあなたが税務署から
「これは本当に経費なんですか?」
と聞かれても、
「こういう理由から経費なんです」
と明確に説明できるものであれば経費に入れてOK!
ということです。

【ただ】税務署を納得させられるかは別問題です

ただ。
経費に入れているからといって、明確に説明したからといって、
それで税務署がすんなり100%納得するかというと、それはまた別の話です。

証拠はちゃんと残しておきましょう

経費になるならないが問題となるのは、
確定申告書を提出するときではなく(その時点では領収書の提出は不要です)、確定申告が終わってしばらく経ったあと。
「これは怪しいんちゃうん?」といった感じで税務署が税務調査に来たときです。
(通常、確定申告が終わった数ヶ月後〜数年の間に来ます。)

税務調査の際にカフェ代を経費として認めてもらうためには、それが本当に経費になるんだと言える証拠を残しておくことがマストです。

お店からもらったレシートを保存しておくことは当然として、
どういった仕事でそこにいたのか(そこで仕事をしたことに正当性はあるのか)など、行動記録もしっかりと残しておくべきです。
(すぐに見せられるように、レシートの裏面にでも書いておくのがオススメですね)

食事代まではやりすぎです

また、いくらカフェで仕事をしたといっても、食事代まで経費にするのはさすがにやりすぎです。
だって、食事なんて事業をやってない人でも必ず摂るものですから。
必要経費にあげて然るべきなのは、仕事をしているからこそ出した出費=場所代として出したお金だけです。

お客さんと仕事の打ち合わせのために会食したのであればその食事代は経費で処理しても問題は無いかもしれませんが、
単なる食事代を経費と認めろ!というのはかなり苦しいです。

びとう
単なる食事代のように「事業をやっていない人でも必ず出す費用」は必要経費として認められないケースが多いです。
ここはキッチリと分けていきましょう。

事務所を借りているなら普通はその場所で仕事をするはず…

そのほか、事務所を持っている(事務所の賃借料を経費にあげている)人が「場所代」としてのカフェ代を頻繁に経費にあげるのも認められない場合が多いです。
だって、「あなたは何のために事務所を借りてるの?(事務所で仕事すれば?)」って話になりますから。

びとう
冒頭私も「カフェで仕事してた」と書きましたが、それは事務所でできないとある事情(内緒)があったからでして…。
事務所を借りてたら、普通は事務所で仕事しますよね。

外出中の時間調整のためにカフェで仕事した、ならわかりますが、
「場所を変えたいからカフェで」があまりに多いのはどうなんだ?ということですね。

 
繰り返しになりますが、ご自身が
「これは売上を生み出すために必要な経費だ!」
と説明できるものは全て経費にしてしまってOK
です。
逆に、「これはちょっとグレーだけどまぁいいか」と思うものはやめておいた方が無難です。

勘定科目は何にすべき?

というように、仕事のために使ったのでカフェ代を経費にするとした場合。
次に迷うのは、勘定科目を何にするかですよね。
場所代だったら「地代家賃」かといえば、それはさすがに違うでしょうし…。

私の場合、

  • 1人で外で仕事をするために要した費用は「雑費」
  • お客さんとの打ち合わせで使用した場合は「会議費」

で処理していますし、お客さんの入力でもその方法をお勧めしています。

「雑費」というのは金額がごく少額であるのが通常です。
つまり、「雑費」で処理するということは、経費にするとしても少額に留める、ということですね。

【まとめ】カフェ代を経費にするならここは守ってね

以上、この記事では「ノマドなカフェ代は経費にできるのか」という疑問から、
所得税の必要経費の基準や考え方をいろいろ紹介してみました。

この記事の内容を最後にもう一度まとめると、

  • 仕事のために使ったのであれば経費にしてOKだけど
  • 事業をやっていない人でも出す出費は経費として認められない傾向が強い。
  • 経費にしたければ税務署を納得させるための資料(領収書・レシートや行動記録など)は必ず残しておくこと!

といったあたりです。
是非参考にしてください!


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税理士 尾藤武英

税理士 尾藤 武英(びとう たけひで)
京都市左京区下鴨で開業している税理士です。
税理士試験大手予備校の元講師で、事務所開業後は所得税などの研修会講師を数多く担当。
Macユーザーで、クラウド会計を活用したスモールビジネス支援にも力を入れています。
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