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【確定申告】医療費控除の対象になるもの・ならないもの

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、

  • マスクを買った
  • PCR検査を受けた
  • オンライン診療を受けた

場合、これらの出費は医療費控除の対象となるのでしょうか?

先日、国税庁ホームページ内の「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」というページでその答えが公開されました。
(注:現在はページ消去によりリンク切れ)

この記事ではそれらの内容を紹介しつつ、何が医療費控除の対象になるの?という点について詳しく解説していきます。
考え方自体はコロナ後の今も変わりませんので、「医療費控除について詳しく知りたい」という方は是非参考にされてください。

この記事を書いた人


税理士 尾藤武英
税理士 尾藤 武英(びとう たけひで)
京都市左京区下鴨で開業している税理士です。
税理士試験大手予備校の元講師で、事務所開業後は所得税などの研修会講師を数多く担当。
Macユーザーで、クラウド会計を活用したスモールビジネス支援にも力を入れています。
詳しいプロフィール(経歴や活動実績など)
提供サービス:個人の確定申告 / クラウド会計

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医療費控除の対象となるもの・ならないものの基本的な考え方

今回見ていく3つの出費(マスク代、PCR検査代、オンライン診療代)が医療費控除の対象となるのかを考えるには、
まずはそもそもどんな出費が医療費控除の対象となるのか、その考え方を知ることが大切です。

というわけで、「こんなのに限るよ」と定義されている所得税法の条文↓を紹介してみます。

医療費控除の対象となる医療費とは、次に掲げるもののうち通常必要かつ著しく高額でない部分の金額とする。

  • 医師又は歯科医師による診療又は治療
  • 治療又は療養に必要な医薬品の購入
  • 病院、診療所又は助産所へ収容されるための人的役務の提供
  • あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師、柔道整復師等による施術
  • 保健師、看護師又は准看護師による療養上の世話
  • 助産師による分べんの介助
  • 介護福祉士による喀痰(かくたん)吸引等

所得税法第73条所得税法施行令第207条より抜粋引用】

支払い先がたくさん列挙されているのでごちゃごちゃして見えますが、結論は↓1つです。

医療費控除の対象は診療や治療・療養のための出費に限る。
→予防や健康増進など、診療や治療・療養に直接関係ないものは対象ではない。

これがこの記事の内容を理解するポイントとなりますので、まずはこれをしっかりと押さえてください!
その上で、国税庁のページで紹介されている事例を1つずつ見ていきましょう。

マスク購入費用は医療費控除の対象?

まず1つ目は、マスクの購入費用は医療費控除の対象となるのか?という点です。

問12 マスク購入費用の医療費控除の適用について
私は、新型コロナウイルス感染症を予防するために、マスクを購入しましたが、この購入費用は、確定申告において医療費控除の対象となりますか。

引用元:新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係 | 国税庁(リンク切れ)

答えはNOです。
なぜかといえば、マスクを購入して着用することは予防に過ぎない=診療や治療・療養に直接関係ないからです。

びとう
同じ結論(予防なのでダメ)で有名なのはインフルエンザワクチンの予防接種ですね。

PCR検査費用は医療費控除の対象?

2つ目はPCR検査です。
PCR検査の費用は医療費控除の対象となるのでしょうか?

問12-2 PCR検査費用の医療費控除の適用について
私は、先日、新型コロナウイルス感染症のPCR検査を受けましたが、この検査費用は確定申告において医療費控除の対象となりますか。

引用元:新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係 | 国税庁(リンク切れ)

これは大きく3つのパターンに分かれます。

  • 医師等の判断によりPCR検査を受けた場合
    診療や治療のための出費にあたるのでOK※
  • 感染していないことを証明する目的など、自己の判断でPCR検査を受けた場合
    診療や治療・療養に直接関係ないのでNO
  • ただし、↑上の結果「陽性」であることが判明し、引き続き治療を行なった場合
    治療に先立つ診療のための出費にあたるのでOK※

※控除できるPCR検査費用は自己負担した金額に限る。

というように、(その後も含めて)どんな状況でPCR検査を受けたのかによって控除の可否が変わります。

びとう
上の取り扱いは健康診断費用や人間ドックの場合も同じです。
参考URLNo.1122 医療費控除の対象となる医療費|国税庁

オンライン診療の費用は医療費控除の対象?

3つ目はオンライン診療に関してです。
コロナをきっかけにオンライン診療も随分定着した今、
オンライン診療を受けるための諸々の出費は医療費控除の対象となるのでしょうか?

問12-3 オンライン診療に係る諸費用の医療費控除の適用について
私が通院している医療機関では、新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、オンライン診療を導入しています。
このオンライン診療においては、自宅から医師の治療が受けられるのはもちろん、診療により処方された医薬品については、医療機関から私が希望した薬局に処方箋情報が送付され、その薬局から自宅への配送もできる仕組みとなっています。
オンライン診療は大変便利ですが、この仕組みを利用するためには、以下のとおり、オンライン診療料に係る費用のほか、システムの利用料の支払が必要となりますが、これらの支出は医療費控除の対象となりますか。
 1 オンライン診療料
 2 オンラインシステム利用料
 3 処方された医薬品の購入費用
 4 処方された医薬品の配送料

引用元:新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係 | 国税庁(リンク切れ)

それぞれの答えは↓こうなります。

  1. オンライン診療料診療や治療のための出費にあたるのでOK
  2. オンラインシステム利用料診療や治療のための出費にあたるのでOK
  3. 処方された医薬品の購入費用治療や療養のための出費にあたるのでOK
  4. 処方された医薬品の配送料診療や治療・療養に直接関係ないのでNO

というように、処方された医薬品の配送料は医療費控除の対象外ですよ、ということが示されています。

医療費控除の対象になるもの・ならないもののまとめ

以上、この記事では、

といった場合にこれらの出費が医療費控除の対象となるのか?について、医療費控除の考え方も交えつつ解説してみました。

私自身、お客さんと接していると

医療費控除ってどんな出費が対象になるの?
だいたいイメージは湧くけど、細かいところがよく分からなくて

と聞かれることも多いんですが、そんな方には記事内で紹介した↓この結論をお伝えしています。

医療費控除の対象は診療や治療・療養のための出費に限る。
→予防や健康増進など、診療や治療・療養に直接関係ないものは対象ではない。

これに当てはめればOKかNOかもある程度イメージが湧くのではないでしょうか。

この記事が
「医療費控除の対象になる・ならないの境界線がよくわからない」
という方の参考になれば幸いです。


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税理士 尾藤 武英(びとう たけひで)
京都市左京区下鴨で開業している税理士です。
税理士試験大手予備校の元講師で、事務所開業後は所得税などの研修会講師を数多く担当。
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