令和4年7月1日(金)、相続税や贈与税の計算で用いる令和4年(2022年)分の路線価が国税庁の財産評価基準書のページで公開されました。
府県別では京都府が前年より0.2%上がり、2年ぶりにプラスとなった。同府内では国内旅行の需要回復で経済活動が再開することへの期待感から、2地点を除くすべての地点で前年と比べプラスか横ばいになった。
昨年は新型コロナの影響で全国的に6年ぶりに下落に転じ、京都市内も同様の傾向でしたが、
今年はその前年からやや微増と、下げ止まりが見られる結果となりました。
この記事では、私が事務所を構える京都市内の主要3地点および特徴的な動きを見せた大阪、東京各1地点の路線価の動向を、
過去5年分の路線価の推移を交えつつ紹介します。

当サイトでは右クリックコピーをリアルタイムで記録しており、盗用目的と思しき挙動が確認できた場合、該当IPアドレスのアクセスを制限します。
税金記事に関する免責事項及び著作権について
このページの目次
令和4年分路線価発表!京都の主要な地点の路線価の傾向は?
京都市下京区四条通寺町東入2丁目御旅町
まず紹介するのは、京都府下で40年連続(区切りがいい!)路線価が1位となった京都市下京区四条通寺町東入2丁目御旅町。
京都で一番の商業地・四条河原町の交差点の北西角。某銀行がある建物の前の道路です。
こちらの路線価は1平方メートルあたり673万円でした。
前年比で3.0%のプラスです。
過去5年の路線価の推移をまとめると↓こうなります。
(スマホの方は右にスクロールさせて見てください)
- | H30 | H31/R1 | R2 | R3 | R4 |
路線価 | 4,750,000円 | 5,700,000円 | 6,730,000円 | 6,530,000円 | 6,730,000円 |
前年からの 変動率 |
+21.2% | +20.0% | +18.1% | ▲2.9% | +3.0% |
上昇から一転して下落に転じた前年の影響を最小限で食い止め、
奇しくも2年前の路線価に戻った形となりました。
京都市東山区祇園町北側
京都市内の商業地でもう1つ取り上げるのが、このサイトの別記事でも定点観測を続けている京都市東山区祇園町北側。
上の場所から四条通りを東へ行った、祇園の交差点の手前。
八坂神社の目の前で、コロナ前にはいかにもインバウンド景気に沸いていたであろう場所です。
こちらの路線価は1平方メートルあたり256万円。
コロナの影響で8.5%減となった前年と同じ=横ばいとなりました。
- | H30 | H31/R1 | R2 | R3 | R4 |
路線価 | 1,560,000円 | 2,240,000円 | 2,800,000円 | 2,560,000円 | 2,560,000円 |
前年からの 変動率 |
+25.9% | +43.6% | +25.0% | ▲8.5% | ±0.0% |
こちらもなんとか下げ止まっています。
コロナ前のような急上昇はもちろん望めないにしても、
あとで紹介する大阪ミナミと比べたら踏ん張ってるな、という印象です。
京都の商業地の路線価は前年比微増で推移
京都府の発表によると、今年の商業地の地価は
- 京都府全体で前年比0.5%増(前年は1.8%減)
- 京都市全体で同0.7%増(同2.1%減)
-
京都市中心5区(左京、北、上京、中京、下京)で同1.3%増(同1.1%減)
と、コロナの影響で下落が目立った前年よりは持ち直しつつあるようです。
京都市上京区室町通下立売上る勘解由小路町
一方、住宅地はどうなんでしょうか。
次に紹介するのは、京都府下の住宅地で7年連続路線価1位となった京都市上京区室町通下立売上る勘解由小路町(かげゆこうじちょう)です。
京都府庁と烏丸通りのちょうど間ぐらいの場所ですね。
こちらの路線価は1平方メートルあたり52万円でした。
前年比わずか1万円のプラスとなります。
- | H30 | H31/R1 | R2 | R3 | R4 |
路線価 | 430,000円 | 470,000円 | 500,000円 | 510,000円 | 520,000円 |
前年からの 変動率 |
+10.2% | +9.3% | +6.3% | +2.0% | +1.9% |
ここ2年、刻むように値を上げています(^^;
それでも、コロナ禍なのに下がっていないのはさすが。
京都の住宅地の路線価はほぼ横ばい
京都府の発表によると、今年の住宅地の地価は
- 京都府全体で前年比0.1%増(前年は0.6%減)
- 京都市全体で同0.5%増(同0.4%減)
-
京都市中心5区(左京、北、上京、中京、下京)で同0.7%増(同±0.0%)
と、こちらも昨年からは持ち直しています。
元々住宅地は商業地ほど派手な値動きは見せないので、引き続き堅調に推移、という感じですね。
大阪ミナミの下落率は全国最大に
次は、京都を離れて関西全体に目を移してみます。
といっても、あまりいい目の向け方ではないのですが…。
2年前に「コロナが無ければ来年はここが近畿圏路線価ナンバーワンかも!?」と紹介した大阪市中央区心斎橋筋2丁目(心斎橋筋)。
グリコの看板でおなじみの戎橋の北側に位置する場所です。
こちら、コロナの影響で昨年は大幅下落。
そして、その傾向は今年も続くこととなりました。
今年の路線価は1平方メートルあたり1,416万円。
前年からの下落率10.6%は2年連続で全国最大です。
- | H30 | H31/R1 | R2 | R3 | R4 |
路線価 | 11,840,000円 | 14,880,000円 | 21,520,000円 | 15,840,000円 | 14,160,000円 |
前年からの 変動率 |
+22.4% | +25.7% | +44.7% | ▲26.4% | ▲10.6% |
コロナ前までは2つ目に紹介した祇園町と同じような伸びを見せていたんですが、
こちらは祇園町と違い、コロナの影響が依然色濃く残る形に…。
このあたり、報道では以下のような分析がされています。
去年秋ごろから国内観光客が戻ってきた京都市内と比べ、ミナミ周辺の観光地のインバウンドへの依存度の高さがさらなる下落につながった要因とみられます。
コロナ前にインバウンド景気の恩恵を受けていた場所ほど路線価の回復が遅い傾向がありそうです。
路線価全国1位は37年連続で東京銀座の鳩居堂前
最後に紹介するのは、全国で最も路線価が高かった場所、中央区銀座5丁目(銀座中央通り)です。
「銀座の鳩居堂前」としてすっかりおなじみの場所で、37年連続日本一!とのこと。
こちらの路線価は1平方メートルあたり4,224万円。
もし200㎡の土地を持っているとしたら、単純計算で84億4,800万円!
こちらの過去5年間の路線価の推移も紹介しておきましょう。
- | H30 | H31/R1 | R2 | R3 | R4 |
路線価 | 44,320,000円 | 45,600,000円 | 45,920,000円 | 42,720,000円 | 42,240,000円 |
前年からの 変動率 |
10.0% | 2.9% | 0.7% | ▲7.0% | ▲1.1% |
下落幅は前年よりも縮小していますが、2年連続の路線価下落。
背景には、インバウンド景気の消失に加えて、テレワークの浸透によるオフィス需要の低下がありそうです。
下落率の上位には上野や池袋など都心部の商業地が並んだ。下落幅は多くの地点で前年より縮小したが、インバウンド消費がなくなった影響が長引いている。オフィスの賃料が下落傾向にある丸の内や八重洲のビジネス街でも下落した地点が目立った。
令和4年分路線価発表のまとめ
以上、ここまで合計5つの地点の路線価の推移を見てきました。
全国約32万地点の標準宅地は平均で前年に比べて0.5%上昇した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響が徐々に緩和され、人流の増加などの期待が集まった観光地や繁華街などでプラスに転じたり、下げ幅が縮小したりした地点も多く、2年ぶりに前年を上回った。
京都市内は上の引用どおりの傾向で下げ止まり感も出ていますが、
この路線価はあくまでも令和4年1月1日現在の数字。
その後襲ったオミクロン株による「第6波」の影響は考慮されていません。
コロナの影響はまだまだ残っている現状。
インバウンド景気やオフィス需要の回復などもすぐには見込めそうにないだけに、
場所によっては、また、今後の景気次第では、路線価の下落傾向はまだまだ続きそうな気がします。
路線価は財産評価基準書から全国どこでも閲覧できます【詳しくは別記事にて】
このように、路線価は財産評価基準書という国税庁のページから全国どこでも好きな場所を見ることができます。
路線価図の調べ方(探し方)は「相続税路線価の調べ方ガイド【図でわかりやすく解説】」という記事で詳しく解説していますので、「自分で探してみたいな」という方は参考になさってください。
また、路線価図の見方についても「相続税路線価図の見方とは?数字や記号の意味を詳しく解説」という記事で詳しく解説しています。
以上、この記事では、私が事務所を構える京都市内の主要3地点および特徴的な動きを見せた大阪、東京各1地点の路線価の動向を、
過去5年分の路線価の推移を交えつつ紹介してみました!
令和4年分の大阪国税局各税務署管内の最高路線価|国税庁
【関連記事】
- 相続税の路線価方式とは?計算方法の基本を詳しく解説
- 令和4年分の相続税路線価は7月1日(金)公開
- 【令和3年分路線価発表】京都の商業地の路線価は久々に下落へ
- 【令和2年分路線価発表】京都など主要な商業地は依然上昇も…
弊所では代表税理士がすべての業務を直接担当。
元予備校講師の経験を活かしたわかりやすいアドバイスでお困りごとを解決します。
オンラインでもお受けしていますので、お住まいの地域問わずお気軽にどうぞ!
- 事務所の特徴(強みや大切にしていること)
- 提供しているサービス
- 相続が起きてしまった・贈与を受けたという方へ
相続税・贈与税の申告 - 将来どれぐらい相続税がかかるか知りたい・相続対策をしたい方へ
相続税の試算(相続対策提案) - 単発のご相談もお受けしています
単発・スポット相談
- 相続が起きてしまった・贈与を受けたという方へ
- 研修動画販売(相続税)
- セミナー研修講師や執筆のご依頼もお受けできます
税理士・尾藤 武英(びとう たけひで)
過去に税理士試験の予備校で相続税を教えていた経験から、相続税が専門分野。
事務所開業以来、相続税や贈与税の申告、相続税対策など、相続税に関する業務を多数行っています。
運営者情報(詳しいプロフィール)を見る
相続税でお困りの方へのサービス