マイナンバー制度が本格的に導入されたことに伴い、
2016年から、税務署に出す申告書には申告書を出す人のマイナンバー(個人番号)を書かなければいけないこととされています。
先日、このマイナンバーの相続税の申告書での取り扱いについて、1つ大きな変更が入りました。
相続税の申告書への被相続人の個人番号の記載に係る取扱いの変更について|国税庁
相続税の申告書の場合、従来は亡くなった人(=被相続人)と財産をもらって申告をする人(=相続人など)両方のマイナンバーを申告書に記入する必要がありましたが、このうち、亡くなった人のマイナンバーの記入が不要になりました。
税理士に申告業務をお願いしている場合でも、今後は亡くなった人のマイナンバーを税理士に見せる必要はなくなります。
この記事を書いた人
過去に税理士試験の大手予備校で相続税を教えていた経験から、相続税が専門分野。
事務所開業以来、相続税や贈与税の申告、相続税対策、相続税贈与税をテーマとした研修会の講師など、相続税に関する業務を多数行っています。
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マイナンバーを書かなくてよくなった理由はどこに?
亡くなった人のマイナンバーを記入しなくてもよくなった理由として、前述した国税庁のページにはこうあります。
相続税申告書への被相続人の個人番号の記載について、納税者等の方から、
「故人から相続開始後に個人番号の提供を受けることはできないため、相続税申告書に被相続人の個人番号を記載することが困難である。」、
「相続開始前において、相続税の申告のために、あらかじめ個人番号の提供を受けておくことは、親族間であっても抵抗がある。」
といった趣旨のご意見等をいただきました。これらのご意見等を踏まえ、関係省庁と協議・検討を行った結果、被相続人の個人番号の記載等に関する困難性及び生前に個人番号の提供を受けることの抵抗感や安全管理措置等に関する負担を考慮し、相続税申告書への被相続人の個人番号の記載を不要とすることとしました。
私も税理士として相続税の申告書を作っている中で、
亡くなった人のマイナンバーを申告書に書くことについては違和感を覚えていました。
また、上の引用にもあるとおりの状況、つまり、
「死んだ人のマイナンバーなんて、そんなのどこにあるのかわかりません」
と仰るお客さんもいらっしゃいました。
そうした場合については、亡くなった人のマイナンバーは書かずに申告書を出す予定でいましたが、
今回の取り扱いの変更のおかげで大手を振ってそうすることが可能になりました。
様式はこう変わってます
亡くなった人のマイナンバーの取り扱いが変わったことで、相続税の申告書の様式も変わりました。
現在国税庁のホームページに掲載されている相続税申告書の様式には亡くなった人のマイナンバーの記入欄はありません。(斜線が引かれています。)
以前は↓このように、被相続人の列にもマイナンバーの記入欄が設けられていました。
税務署に置いてある「相続税の申告書第1表」も修正されていました。
ただ、こちらは手書きで斜線を入れているという(^^;
近々期限の申告は旧様式+マイナンバー未記入で出します
今後の対応について、再び国税庁のページから引用してみます。
申告書の様式がいきなり変わったけど、これに関して他に気を付けるべき点は?
3 今後の対応
相続税申告書の様式を改訂し、平成28年10月以降にご提出いただく相続税申告書については、被相続人の個人番号の記載を不要とします。
なお、被相続人の個人番号欄がある改訂前の相続税申告書の様式をご使用になる場合には、同欄は記載せず、空欄でご提出いただくようお願いします。※ 既に税務署にご提出いただいている相続税申告書に記載された被相続人の個人番号については、上記の変更に伴い、税務署においてマスキングすることとします。
- 改訂前の申告書の様式を使ってくれてもいいけど、その場合、マイナンバーは書かないで出してね!
-
既に書いて出されているものについてはこっちでマスキング処理をするから安心してね!
ということらしいです。
1週間前に新しい様式が公表されたばかりですから、私が使っている申告書の作成ソフトに入っている様式もまだ古いもののままです。
本当は新しい様式にアップデートされてから申告書を仕上げるのがいいんでしょうが、
修正されるのを待っていたら確実に申告期限を過ぎてしまうので(こういう対応が結構遅いんですよね、ソフト会社って…。)、近々控えている申告は今ソフトに入っている「変更前」の様式のものを使って、亡くなった方のマイナンバーは書かずに出すことにします。
以上、この記事では、
「相続税申告書に被相続人のマイナンバーを書く必要は無くなったよ!」
という点についてお伝えしました。
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