単元未満株式(端株)とは?

上場株式の相続では端株(単元未満株)の存在も要チェック!

亡くなった方の遺産の中に上場株式が含まれていた場合、
生前に口座を開設していた証券会社以外に、株主名簿管理人である信託銀行などにも必ず株式の残高の照会を行いましょう。

なぜなら、そこに端株(単元未満株)が遺されているかもしれないからです。

私自身も、お客さんの相続税の申告書を作成する中で
遺産の中に上場株式が含まれていた場合には、この確認を必ず行っています。

この記事を書いた人


税理士 尾藤武英
税理士 尾藤 武英(びとう たけひで)
京都市左京区下鴨で開業している税理士です。
過去に税理士試験の大手予備校で相続税を教えていた経験から、相続税が専門分野。
事務所開業以来、相続税や贈与税の申告、相続税対策、相続税贈与税をテーマとした研修会の講師など、相続税に関する業務を多数行っています。
詳しいプロフィール(経歴や活動実績など)
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端株(単元未満株)とは?

「端株」というのは「単元未満株」と呼ばれるものの一種で、その名のとおり、
証券会社で取引される1単位(=単元)未満の株式」のことを言います。

端株が生まれたきっかけは、平成21年(2009年)1月5日から導入されている株券の電子化です。
参考URL株券の電子化 | 日本証券業協会

それまで紙で発行されていた上場会社の株式について、この日以降

  1. 株主の権利のすべてが証券保管振替機構(ほふり)と証券会社の口座で電子的に管理されることになったと同時に、
  2. 証券取引所の売買単位や単元に満たない株式=端株は株券電子化の対象外とされ、証券会社では基本的に管理されないことになり、
  3. 証券会社で管理されない端株については、株主名簿管理人である信託銀行などに開設されている「特別口座」単元未満株として移され、以後、ここで管理されることになりました。
    (端株に対する配当金受け取りの権利は従来どおり確保されています)

つまり、亡くなった方が株券の電子化以前から持っていた株式については、
証券会社だけでなく、株主名簿管理人である信託銀行などにも「単元未満株(端株)」として存在している可能性がある!ということです。

株主名簿管理人とは?

「株主名簿管理人」とは、株主名簿の作成や株主名簿に関する事務などを株式会社から請け負っておこなう人のことをいいます。
上場会社については設置が義務付けられていて、通常、大手の信託銀行などが担当しています。

株主名簿管理人を確認するには?

株式を発行している会社がどこに株主名簿管理人業務を委託しているかについては、
配当金の支払通知書(株主名簿管理人から発行されます)を見れば確認できます。

ただ、相続人の方の場合「そんなんどこにしまってあるかわからん…」というケースもありえるので、
より手っ取り早いのが、その会社のホームページから確認する方法です。

↓私の地元京都を代表する企業・任天堂さんの場合、三井住友信託銀行さんに委託しているようです。
(引用元:株主・投資家向け情報:株式情報 – 株式手続き | 任天堂株式会社
任天堂の株主名簿管理人は三井住友信託銀行

このように、持っている株式ごとに委託している株主名簿管理人が違いますので、
証券会社から取り寄せた残高証明書にあがっている銘柄ごとに、
ホームページの株主情報ページなどを見て、どこに株主名簿管理人業務を委託しているのかを確認しましょう。

株主名簿管理人に電話で端株の有無を確認すればOK!

株主名簿管理人さえわかれば、あとはそこに電話をして、
「株主が亡くなったので端株(単元未満株)が無いか確認したい」
旨を伝えればOKです。

会社によって対応の流れはまちまちですが、

  • 亡くなったご本人の名前や住所、電話番号
  • その管理人(信託銀行など)が管理しているすべての銘柄
  • 亡くなった人の相続人である旨

などを伝えれば、単元未満株(端株)が無いか(=「特別口座」が開設されていないか)確認してくれて、
もしあった場合、そのまま特別口座の相続手続きへと流れていきます。

特別口座の中に残っている単元未満株をそのまま相続することはできないので、端株(単元未満株)の相続の方法としては

  • お金に換える(上場会社に買い取ってもらう)
  • そのまま単元未満株として自分の証券会社の口座に移す
  • 買い増しして1単元にして自分の証券会社の口座に移す

といったあたりがあるようです。
(どの方法が採れるかは株式を発行している上場会社によって異なります)

【同業者向け情報】
税理士が電話で残高証明書を請求することも可能です。
株主名簿管理人に電話して残高証明書の送付を依頼、送られてきた証明書を見て端株の有無を確認します。
(会社によっては、被相続人の住所にしか送付不可=被相続人死亡後もその住所が使われていることが前提の場合があります)

端株(単元未満株)も相続財産。相続税がかかります

最後に、税理士的な観点から1つお得ではない情報も…(^^;

1つ上の章でも確認したように、端株は換金性がある立派な「相続財産」の一種です。
ということは、残念ながら、端株にも相続税がかかります。

端株の有無は↓国税庁も要チェック項目として挙げているほどです。

③ 増資等による株式の増加分や端株についての計上漏れはありませんか。
国税庁「相続税の申告のためのチェックシート(平成30年4月以降提出用)」

引用元:相続税の申告のためのチェックシート(平成30年4月以降提出用) | 国税庁

金額が少額なので税額への影響は少ない(というか、ほぼ無いケースも多い)でしょうが、
あるのと無いのとでは申告書に対する税務署の印象も変わるのかな、と。

というわけで、ちゃんとした申告書を作りたいという同業者の皆さんはこれを抜かさないように気をつけましょう!

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「相続税はお金に換えられる価値のあるものにかかる」という解説は以下の記事をどうぞ
相続税はどんな財産にかかる?【本来の財産とみなし相続財産】

 

上場株式の相続では端株(単元未満株)の存在も要チェックです

このように、上場株式を相続する場合、
亡くなった方が生前に口座を開設していた証券会社以外に、株主名簿管理人である信託銀行などにも株式が遺されている可能性があります。
(亡くなった方が株券の電子化以前から株を持っていた場合は特に!)

銘柄数が多い場合は株主名簿管理人を調べるのも結構大変ですが、
たいてい数社に固まっているので(特にM菱UFJが多い)、それさえわかれば
あとは通常の名義変更手続きと同じ流れでいけるのかな、と思います。

びとう
といっても、相続手続きをしなきゃいけないところがまたいくつか増えちゃうので、めんどくさいのは事実ですが…。

以上、この記事では、上場株式の相続では端株(単元未満株)の存在に注意!というお話をお伝えしました。

上場株式の相続税評価の方法は「相続税・贈与税の財産評価とは?評価額の計算方法総まとめ」という記事で詳しく解説しています。
(↑リンクをクリックで該当箇所に直接飛びます)

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