京都の路線価発表

【令和2年分路線価発表】京都など主要な商業地は依然上昇も、忍び寄るコロナの影

令和2年7月1日(水)、相続税や贈与税の計算で用いる令和2年(2020年)分の路線価が国税庁の財産評価基準書のページで公開されました。

21の都道府県で去年を上回り、全国の平均も去年より1.6%上がって5年連続で上昇しました。

引用元:路線価公表 全国平均は5年連続で上昇 銀座は過去最高額を更新 | NHKニュース

との報道にもあるように、

  • 以前から続くインバウンド景気が引き続き路線価に反映されている一方
  • 2月以降のコロナ禍の影響は一切反映されない

形となりました。

令和6年の情報は以下の記事で紹介しています。
令和6年路線価 京都市内の傾向まとめ【2024年分路線価発表】

この記事を書いた人


税理士 尾藤武英
税理士 尾藤 武英(びとう たけひで)
京都市左京区下鴨で開業している税理士です。
過去に税理士試験の大手予備校で相続税を教えていた経験から、相続税が専門分野。
事務所開業以来、相続税や贈与税の申告、相続税対策、相続税贈与税をテーマとした研修会の講師など、相続税に関する業務を多数行っています。
詳しいプロフィール(経歴や活動実績など)
相続税・贈与税のサービス・料金
本記事の内容やテキスト・画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
当ブログの運営目的は一般の方への正しい情報の提供です。
同業者等メディア運営者においては以下のページ記載の注意事項を遵守いただくようお願いします。
ブログ運営ポリシー(執筆編集方針、著作権保護のためのプラグインの使用etc.)

令和2年分路線価公開!京都など主要な商業地の路線価の動向は?

以下、私が事務所を置く京都をはじめとする主要な商業地の路線価の動向を、
過去5年分の路線価の推移とあわせて紹介してみます。

京都市下京区四条通寺町東入2丁目御旅町

まず取り上げるのは、私の地元・京都の注目地点です。
大阪国税局の発表によると、今年京都府内で最も路線価が高かった場所は京都市下京区四条通寺町東入2丁目御旅町でした。
四条河原町の交差点の北西角。某銀行がある建物の前の道路ですね。
京都市下京区四条通寺町東入2丁目御旅町

こちらの路線価は1平方メートルあたり673万円です!

びとう
もし200平方メートルの土地を持っていたら、相続税評価額は単純計算で
673万円×200㎡=13億4,600万円
にもなります。(ひえ〜)

 
過去5年の路線価の推移をまとめてみました。
(スマホの方は右にスクロールさせて見てください)

H28 H29 H30 H31/R1 R2
路線価 3,250,000円 3,920,000円 4,750,000円 5,700,000円 6,730,000円
前年からの上昇率 17.0% 20.7% 21.2% 20.0% 18.1%

単価の高さもさることながら、毎年20%ずつ上昇を続けているのも凄いです。(5年前の約2倍…)
ただ、今年は過去3年に比べると伸びはやや鈍化しています。

ホテル需要の飽和などから、京都市内の「地価上昇バブル」は去年あたりから鈍化の気配を見せていて、
その流れが路線価にも反映されているのがわかります。

京都市東山区祇園町北側

上昇率という点ではこちらも凄いです。
このサイトの別記事で定点観測を続けている京都市東山区祇園町北側
八坂神社の目の前、観光客で賑わう四条通りの北側という、いかにもインバウンド景気に沸いてそうな場所。
京都市東山区祇園町北側

こちらの路線価は1平方メートルあたり280万円です。
単価自体は上の場所に比べたら大したことないですが、過去5年の上昇率は上の地点を上回ります。

H28 H29 H30 H31/R1 R2
路線価 960,000円 1,240,000円 1,560,000円 2,240,000円 2,800,000円
前年からの上昇率 24.7% 29.2% 25.9% 43.6% 25.0%

5年間で路線価が3倍って!
インバウンドバブル恐るべし…。
(ただ、それだけに今後が心配でもありますね)

大阪市北区角田町(御堂筋)

京都を離れて関西全体に目を移すと、今年関西で最も路線価が高かった場所は大阪市北区角田町でした。
NHKの報道によると、37年連続でナンバー1とか!
場所は梅田の阪急百貨店の真南です。
大阪市北区角田町(御堂筋)

気になる路線価は1平方メートルあたり2,160万円です。

びとう
もし200平方メートルの土地を持っていたら…って、虚しくなるだけなのでもう止めよっと(^^;

 
こちらも堅調に上昇してきています。

H28 H29 H30 H31/R1 R2
路線価 10,160,000円 11,760,000円 12,560,000円 16,000,000円 21,600,000円
前年からの上昇率 22.2% 15.8% 6.9% 27.4% 35.0%

ここ2年の上昇度合いがすごい…。
(地元民じゃないのでよくわかりませんが、梅田の再開発が要因なのかな??)

大阪市中央区心斎橋筋2丁目(心斎橋筋)

大阪市内で上昇度合いがもっとすごいのは大阪市中央区心斎橋筋2丁目(心斎橋筋)です。
グリコの看板でおなじみの戎橋の北側に位置する場所です。
大阪市中央区心斎橋筋2丁目(心斎橋筋)

こちらの路線価は前年比44.7%増の2,152万円と、なんと関西圏1位の大阪市北区角田町とわずか8万円差にまで肉薄しています。
しかもここ数年のチャージ(?)がマジでハンパない!

H28 H29 H30 H31/R1 R2
路線価 7,120,000円 9,680,000円 11,840,000円 14,880,000円 21,520,000円
前年からの上昇率 39.7% 36.0% 22.4% 25.7% 44.7%

5年前から3倍の伸びというのは祇園町と全く同じで、まさにインバウンドバブル様々。
このままいけば、37年続いてきた「近畿圏路線価ナンバー1」の座を来年は奪うかも!?と、通常であれば期待されるところですが…。

びとう
ただ、ミナミはキタ以上にコロナの影響が大きいでしょうし、超えるのは厳しいでしょうね…。

中央区銀座5丁目(銀座中央通り)

最後に、日本で最も路線価が高かった場所は中央区銀座5丁目(銀座中央通り)でした。
「銀座の鳩居堂前」としてすっかりおなじみの場所で、こちらも35年連続日本一!とのこと。
中央区銀座5丁目(銀座中央通り)

気になる路線価は1平方メートルあたり4,592万円
はがき1枚分で約68万円だそうです。

こちらの過去5年間の路線価の推移も紹介しておきましょう。

H28 H29 H30 H31/R1 R2
路線価 32,000,000円 40,320,000円 44,320,000円 45,600,000円 45,920,000円
前年からの上昇率 18.7% 26.0% 10.0% 2.9% 0.7%

ここ数年は伸び率も収まり加減ですね。
前出の記事によると「銀座の再開発がひと段落したことが要因か」とのこと。

ちなみに、東京国税局の発表によると
東京都内で最も上昇率が高かったのは台東区浅草1丁目(雷門通り)で、前年比33.9%増の403万円だそうです。
こちらも祇園町心斎橋筋同様、インバウンド景気に沸いていたであろう場所ですね。

路線価は財産評価基準書から全国どこでも閲覧できます【詳しくは別記事にて】

このように、路線価は財産評価基準書という国税庁のページから全国どこでも好きな場所を見ることができます。

びとう
ご自身のご自宅はもちろん、
「自分が好きなあの場所(球場とかホールとか)の路線価はいくらなんやろ?」
なんて楽しみ方(?)もできますよ。
路線価図の調べ方(探し方)は「相続税路線価の調べ方ガイド【図でわかりやすく解説】」という記事で詳しく解説していますので、「自分で探してみたいな」という方は参考になさってください。
また、路線価図の見方についても「相続税路線価図の見方とは?数字や記号の意味を詳しく解説」という記事で詳しく解説しています。

 

コロナ禍の影響は反映されず。今後は減額補正も視野!?

…と、例年であればここで話は終わりですが、
今年は2月に入ってから新型コロナウイルスの感染拡大がありました。

ただ、ここまで見てきたように、今年の路線価にはその影響は全く反映されていません。
これは、路線価はあくまでもその年1月1日時点の土地の実際の取引価格を参考にして決まるからです。
そして、そうして決まった路線価は基本、その年中(1/1〜12/31まで)に発生した相続税・贈与税の計算で使っていきます。

【通常の場合】1月1日時点の取引価格を基にその年分の路線価が決まります
【通常の場合】1月1日時点の取引価格を基にその年分の路線価が決まります

ということは。
もし今(=コロナ後)相続が起こって土地の計算をする場合でも、
それが令和2年中であれば、コロナ前の取引価格を基準とした路線価を使って土地の相続税を計算することになってしまいます。

コロナ前の価格を基とした路線価がコロナ後にも適用される??
コロナ前の価格を基とした路線価がコロナ後にも適用されてしまう??

それはさすがに納税者にとって不利な場合もあり得るよね…というわけで、
国税庁はコロナ禍により広範囲で地価の大幅な下落が確認できた場合には路線価を減額補正することを検討中のようです。

大阪国税局のホームページにも、今年の路線価の公開と同時に、過去には見ない↓以下のような告知文が掲載されています。

(注) 今後、国土交通省が発表する都道府県地価調査(7月1日時点の地価を例年9月頃に公開)の状況などにより、広範な地域で大幅な地価下落が確認された場合などには、納税者の皆様の申告の便宜を図る方法を幅広く検討いたします。

引用元:令和2年分の路線価等について|国税庁

9月下旬に発表される基準地価(←詳しくはリンク先を)次第では国税庁から何らかの措置が発表されそうです。

【2020.10.31追記】
これがその後どんな流れになったのか…は↓以下の別記事で紹介しています。
コロナによる路線価の減額補正、令和2年上半期は見送りに

【関連記事】


 相続税や贈与税でお困りの方へ
弊所では代表税理士がすべての業務を直接担当。
税理士試験の予備校で相続税を教えていた経験を活かし、わかりやすいアドバイスでお困りごとを解決します。 相続税・贈与税でお困りの方へのサービス

この記事をシェアする

この記事を書いた人

税理士 尾藤武英

税理士 尾藤 武英(びとう たけひで)
京都市左京区下鴨で開業している税理士です。
過去に税理士試験の予備校で相続税を教えていた経験から、相続税が専門分野。
事務所開業以来、相続税や贈与税の申告、相続税対策、相続税贈与税をテーマとした研修会の講師など、相続税に関する業務を多数行っています。
詳しいプロフィール(運営者情報)を見る
税理士業の日常を綴るブログ