駐車場用地(=雑種地)の相続税評価の方法とは?

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このサイトでは、これまで2回に分けて、土地の一種である宅地の評価方法について解説してきました。

まず、「相続税の路線価方式とは?計算方法から路線価図の見方まで徹底解説します」という記事では宅地の評価方法の基本的なお話を。

そして、「借地権割合とは?賃貸借の目的となっている宅地の相続税評価の方法」という記事ではその宅地が賃貸借の対象になっている場合の借り手側、貸し手側、それぞれの評価方法について。

今日からの内容はある意味これらの復習とも言えるものです。
テーマは「駐車場用地」です。
駐車場用地

【前提】駐車場用地は宅地ではなく雑種地です

この記事にたどり着いた皆さんは、ご自身が持たれている土地を

  • 駐車場にして車の所有者に貸し付けている
  • 駐車場用地として他の会社などに対して丸々貸し付けている

といった形で運用されている方も多いと思います。
では、こういった駐車場として使われている土地は宅地として評価をしていくんでしょうか?

相続税の路線価方式とは?計算方法から路線価図の見方まで徹底解説します」という記事の最初ではこう紹介していました。

建物の敷地として使われている土地のことを「宅地」と呼びます。

「宅地」というのは建物の敷地を指すので、建物が建っていない駐車場用地のような土地は宅地には該当しません。
これらは、数ある土地の種類の中でも「雑種地」と呼ばれるものに該当します。

どんなものが雑種地に該当する?

雑種地というのは、他の土地の区分では当てはまらないものの総称です。
その種類にはいろいろありまして、駐車場用地以外にも、たとえば

  • 墓地、ため池、保安林、道路、公園など
  • 競馬場の馬が走るコース
    (スタンドなどの建物の用地部分は宅地)
  • 遊園地、運動場、ゴルフ場、飛行場のうち、建物の敷地以外の部分の利用がメインとなる土地
    (逆に、建物の敷地部分の利用がメインとなる土地は宅地)
  • 高圧線の下、鉄塔の敷地、変電所の敷地

などが雑種地の範囲に含まれます。

たとえ見た目は宅地っぽくても、建物が建っていない(建っていたとしても付随的なものに留まる)土地は雑種地に該当する、というイメージですね。

どう評価する?(基本は宅地とほぼ一緒)

では、これら雑種地はどう評価していくんでしょうか。
雑種地がある場所や種類によっていくつかのパターンがありますが、大きく分けると2つです。

  1. ミニゴルフ場以外のゴルフ場用地や、地積が10万㎡を超える遊園地の敷地
  2. それ以外

駐車場は「2.それ以外」の方に入りますので、今日はこちらの評価方法だけをご紹介します。

その、「2.それ以外」の評価方法を文章にするとこんな感じになります。

雑種地の価額は、原則として、その雑種地と状況が類似する付近の土地について評価した1平方メートル当たりの価額を基とし、その土地とその雑種地との位置、形状等の条件の差を考慮して評定した価額に、その雑種地の地積を乗じて計算した金額によって評価する。
(以下略)

引用元:財産評価基本通達82

ザックリ言うと、
「周りの似通った土地の評価額を調整して、自分の土地の評価額を求めろ!」
ということです。(ホントにザックリ書きました)

路線価方式なら宅地とほぼ同じと考えてOK

これを、都市部にある大半の駐車場の場合に算式として置き換えると↓こうなります。

(駐車場を宅地として評価した場合の1㎡あたりの価額-宅地に転用する場合の1㎡あたりの造成費相当額)×地積

えーっと、宅地の場合と何が違うかというと、ほとんど変わりません。

もしその駐車場が

・整地や伐採・抜根、地盤改良が必要である
・土盛りや土止めの工事が必要である

といった場合には「1㎡あたりの価額」から「宅地に転用する場合の1㎡あたりの造成費相当額」を控除出来ますが、
都市部にある大半の青空駐車場の場合はそういった状況にも無いので、そういう場合、それらの控除もありません。

つまり、駐車場用地に関しては、土地の種類こそ宅地ではなく雑種地になりますが、
評価方法は宅地の場合とほぼ同じ、と考えてOK!
ということです。

駐車場用地の目の前に路線価が付いている道路があるのであれば、宅地と同じように、普通に路線価方式で計算すればいい!というわけですね。

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その路線価方式の計算のイロハは以下の記事で解説しています。
相続税の路線価方式とは?計算方法から路線価図の見方まで徹底解説します

倍率方式も宅地として…ですが、こちらは少しややこしいです

ちなみに、上記の内容は都市部(市街化区域内=路線価方式適用地域)にある駐車場用地を対象としています。

市街化区域の外(市街化調整区域など)にある駐車場用地の場合は倍率方式で計算をします。

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倍率方式の計算のイロハは以下の記事で解説しています。
相続税の倍率方式とは?計算方法から倍率表の見方まで徹底解説します

…が。この場合、通常の倍率方式のように簡単にはいきません。

というのも、大半の場所について、倍率方式で使うべき雑種地の倍率が国税庁から指定されていないからです。
(関西全域を見渡しても、雑種地の評価倍率が指定されているのは大阪府と兵庫県のごく一部のエリアだけです)

この場合、地元の自治体に「近傍標準宅地の1㎡あたりの固定資産税評価額」というものを出してもらって、それに宅地の評価倍率をかけることで駐車場用地の1㎡あたりの価額を求めます。

また、場所によっては、以下のページに挙がっているしんしゃく率をかけることもできます。
(都市部と田舎の中間にある駐車場の場合はかけられる可能性が大です)
No.4628 市街化調整区域内の雑種地の評価|国税庁

ここまでの内容を算式としてまとめると↓このようになります。

  • (1) 近傍標準宅地の1㎡あたりの固定資産税評価額×宅地の評価倍率
  • (2) (1)×評価しようとする駐車場の形状等に基づく調整計算(奥行価格補正率や不整形地補正率など)×国税庁が定めるしんしゃく率-宅地に転用する場合の1㎡あたりの造成費相当額
  • (3) (2)×地積

なんか一気にマニアック度が増して同業者向けになっちゃった気がしますが(^^;
(1)と(3)だけだと通常の倍率方式と同じですが、それに(2)が加わる!とイメージして頂ければ!

この記事は駐車場用地を前提としています。
駐車場用地以外の雑種地の場合、近傍標準宅地の1㎡あたりの固定資産税評価額を使わずに計算するケースもあり得ます。

では、駐車場用地として賃貸している場合はどう評価する?【続きは別記事にて】

以上が駐車場用地としての雑種地の相続税評価の方法です。
ちなみに、上で紹介した方法は自用地(他人に賃貸せず自分が使っている土地)の場合を前提としています。

じゃあ、もし駐車場用地を他人に賃貸していた場合にはどう評価するんでしょう?
宅地と同じように、貸し手側は借地権部分を除いた残額だけを権利として持つ(貸宅地として評価ができる)と考えてOKなんでしょうか??

その答えは、次回の「貸し付けている駐車場用地(雑種地)は貸宅地評価不可。ではどう評価する?」という記事にてお答えします!

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AUTHORこの記事を書いた人

京都市左京区で開業している税理士です。元税理士試験受験予備校「相続税法」講師。相続税に強く、クラウド会計に特化した税理士として活動中。
「専門用語をなるべく省いたわかりやすい説明」と「税理士が直接お客様に全てのサービスを提供すること」を大切にしています。
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