相続税の路線価方式とは?計算方法から路線価図の見方まで徹底解説します

この記事は約 7 分で読めます。

「路線価方式」とは?
 

建物の敷地として使われている土地のことを「宅地」と呼びます。
↓弊事務所が入居しているマンションの敷地もそんな「宅地」の一種です。
マンションの敷地も「宅地」の一種です

この宅地が亡くなった人の遺産の中にあって、それにかかる相続税を計算する必要があるときは、
その宅地の相続税計算上の価値を求める(=「評価する」と言います)必要があります。

そして、そのための方法には、

  • 路線価方式
  • 倍率方式

の2つがあります。

この記事では、これら2つの方法のうち、「路線価方式」について、どんな方法なのかなどを詳しく解説していきます!

ここで紹介する計算方法は贈与税の計算(生きている人から土地をもらった場合)でも採用されています。
以下、「相続税」は「贈与税」、「相続」は「贈与」に置き換えてご覧ください。

市街化区域の中にある宅地の評価で用いる方法です

「路線価方式」というのは、主に市街化区域内(≒市街地の中)にある宅地を評価する際に使っていく方法です。

市街化調整区域など市街化区域の外にある宅地については、もう1つの方法である「倍率方式」で計算します。

関連記事

倍率方式の詳しい解説は以下の記事をどうぞ
相続税の倍率方式とは?計算方法から倍率表の見方まで徹底解説します

計算方法は?

では、路線価方式で計算する場合、どんなやり方をしていくんでしょう?
算式にすると↓こうなります。

【路線価方式の算式】
宅地が接している道路の路線価×宅地の形状などに応じた補正率×地積

評価しようとしている宅地が接している道路に付いている路線価(1㎡あたり)に、宅地の状況に応じた補正率をかけて、最後に宅地の面積をかけます。

具体的にはどう計算する?

たとえば、路線価340,000円の道路に接している200㎡の宅地がある場合、

【具体例】
340,000円(路線価)×200㎡(地積)=68,000,000円

これが、路線価方式の基本的なやり方です!

どうですか?
「意外とカンタンやな〜!」と思われたでしょうか??
実は、ここからが長いんです…。

「補正率」を漏らさずにかけられるかが路線価方式のキモ

上の算式だけで終わったら確かにカンタンなんですけど、上の算式はあくまでも基本のパターン。
実際はもっと複雑な算式を組む必要が出てきます。

というのも。
国税庁が公表している路線価って、↓こーんな感じの

きれいな正方形で、道路に対して垂直に接している宅地を評価しようとする場合に使う数字なんです。

でも、実際↑こんなきれいな形をしている宅地はまず無いですし、
それらの宅地は正方形の宅地に比べたら使い勝手が劣るので、評価上もそれを反映させるべく、
実際に算式を組む場合には、その宅地が置かれた以下のような状況に合わせて、路線価に様々な調整を加えていきます。

  • 宅地の奥行きの距離は長すぎたり短すぎたりしないか
  • 宅地が路線価の付いている道路に2つ以上接していないか
  • 宅地の間口の距離は狭くないか、間口に対して奥行きの距離は長すぎないか
  • 宅地がいびつな形をしていないか
  • 宅地が「地積規模の大きな宅地」に該当しないか
  • 宅地が道路と直に接しているか(道路から離れた場所にないか)
  • 宅地の中にがけになっている部分はないか
  • 宅地の中に指定容積率が異なる部分はないか
  • 宅地の中にセットバックが必要な部分はないか
  • 宅地の中に都市計画道路の予定地が含まれていないか

などなど。
※リンク先はこのサイト内の関連記事です。

冒頭で紹介した路線価方式の算式をもう一度持ってくると、

【路線価方式の算式】
宅地が接している道路の路線価×宅地の形状などに応じた補正率×地積

とあります。
今言っているのはこの算式の中の「宅地の形状などに応じた補正率」という部分です。
それぞれの状況に応じて、以下の国税庁のページに挙がっているような補正率などをかけて、宅地の評価額を調整していきます。
奥行価格補正率表(昭45直資3-13・平3課評2-4外・平18課評2-27外改正) |国税庁

これらの調整を抜け目なく加えられるかどうかが路線価方式の評価の肝です。
ここは税理士であっても抜けが生じやすいので、スキルの差が如実に現れる部分でもあります…。

路線価はその年分の数字が毎年7月に公表されます

というように、路線価方式の計算方法をひととおり紹介したところで。
以下、路線価についてもっと掘り下げていきましょう。

この「路線価」は、国税庁から毎年7月1日にその年分の数字が公開されています。
宅地を持っていた人が亡くなったのが平成30年の場合、平成30年分の数字を使って計算します。

直近7年間の路線価は以下のサイトで確認することができます。
財産評価基準書|国税庁

↓このように、地図の形式で各地点の路線価がまとめられています。(弊事務所周辺の路線価図です)
弊事務所周辺の路線価図

関連記事

自分が知りたい場所の路線価の探し方は以下の記事で解説しています。
相続税路線価の調べ方ガイド【平成30年最新版】

路線価図の見方は?

上の路線価図のうち、私の事務所周辺をフォーカスしてみます(^^;
縦方向や横方向に走っている道路に付いている「330D」とか「340D」とかいう符号の「330」「340」という部分がその路線(道路)に付いている路線価です。
アタマの数字が路線価

千円単位で表示されているので、「330」なら330,000円、「340」なら340,000円が路線価だということになります。

「330」とか「340」の後についている「D」という記号は、その宅地の借地権割合を表しています。
宅地やその上にある建物を他人との間で賃貸借していた場合に使っていく記号です。

借地権割合については以下の記事で解説しています。
借地権割合とは?賃貸借の目的となっている宅地の相続税評価の方法

「地区区分」とは?宅地がある場所によって拾う補正率が変わる!

また、計算の中で、宅地の形状などに応じた補正率を拾うためには、その宅地がどんなエリアにあるのか=その宅地の地区区分にも着目する必要があります。

ウチの事務所周辺の路線価図のアップをもう一度貼り付けてみます。
↓左で赤丸している路線価(330D)の周りにはマルの記号がついていますが、右で赤丸している路線価(340D)の周りには何もついていません。
左の路線価の周りには丸がついているけど右にはない

これにはちゃんと意味があって、その宅地がある場所の地区区分を表しています。

宅地の場所に応じて7つの地区区分がある

路線価では、その宅地の場所に応じて7つの地区区分を設けています。

「地区区分」というと難しく聞こえますが、ざっくり言うと、
「その宅地が、主にどんな土地の使い方がされているエリアにあるのか」を分けたものです。

名称を挙げたほうがイメージが湧きやすいかもです。

  • ビル街地区
  • 高度商業地区
  • 繁華街地区
  • 普通商業・併用住宅地区
  • 中小工場地区
  • 大工場地区
  • 普通住宅地区

  • 住宅地のど真ん中だったら「普通住宅地区」
  • 住宅とお店が混在しているエリアだったら「普通商業・併用住宅地区」
  • 市街地のど真ん中だったら「繁華街地区」「高度商業地区」「ビル街地区」

そんなイメージで捉えて頂ければ!

地区区分の凡例は路線価図に載っています

上で紹介したように、宅地がどの地区区分に該当するかは、路線価の周りについている記号で判断できます。

すべての路線価図の左上には地区区分の記号の凡例が載っています。

アップにすると↓こんな記号です。
地区区分の凡例

 
ウチの事務所周辺の路線価図でもう一度確認すると、
左の「330D」の路線価をメインで使っていく場合は「普通商業・併用住宅地区」にあるものとして、
右の「340D」の路線価をメインで使っていく場合は「普通住宅地区」にあるものとして、

それぞれ、宅地の形状などに応じた調整計算をしていきます。
普通商業・併用住宅地区と普通住宅地区

同じ奥行き14mの宅地でも、
・市街地のど真ん中にあるのと
・住宅地の中にあるのと
・周りが工場ばかりの場所と
では価値が違って当然
なので、
画一的に「奥行きが何mだったらいくら!」とするのではなく、宅地がある場所や使用の用途によっての価値の違いを反映させよう!という目的でこのような区分が設定されています。

路線価方式のまとめ

以上、ここまで、宅地の評価方法の1つである「路線価方式」について、計算方法や路線価図の見方などを確認してきました。

ここまでで紹介したように、路線価方式で評価する場合には、

  • 計算する年分(亡くなった年分)
  • 宅地がある場所
  • その場所の地区区分
  • 宅地の形状などから、調整計算できる余地がないか

などなど、いろんな情報を集める必要があります。

単純に路線価に面積かけりゃ済むわけじゃないのね。奥が深いな〜。

というのが掴んでいただければ幸いです(^^

続きの記事では、もう1つの評価方法である「倍率方式」について解説していきます!

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AUTHORこの記事を書いた人

京都市左京区で開業している税理士です。元税理士試験受験予備校「相続税法」講師。相続税に強く、クラウド会計に特化した税理士として活動中。
「専門用語をなるべく省いたわかりやすい説明」と「税理士が直接お客様に全てのサービスを提供すること」を大切にしています。
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